ざざむし。





ビートルナッツを試してみた話

英名でビートルナッツと呼ばれ、日本で扱われない嗜好品があります。
パプアニューギニアではブアイ、ミクロネシアのヤップ語でブウ、インドでパーン、台湾でビンロウ、ミャンマーでコンヤーなどと呼ばれて普通に売られており、嗜好品として一般的に流通していることがわかります。
それだけに海外に行く人の目にもつくのか、体験してみたレポは検索するとたくさん出てきます。
でも海外経験の少ない私は未経験だったんですよね。


なんでビートルナッツなのかは謎。カナブンっぽいからだろうか。
でも大きさは日本のカナブンよりだいぶ大きめ。
と思ってたらキンマ(Betel)と一緒に噛む木の実って意味みたい。


これが当然のようにフィリピンにも売ってたんですね。
なんて言ったか、現地の呼び名聞いたけど忘れてしまった。聞いたことない4文字くらいの短い単語だったと思う。この実はヤシ科の実なんだけど覚醒作用のある成分が含まれていて依存性もあるんだとか。
口が真っ赤な人に会ったら大抵これをやっているということ。


道のあちこちにあった赤い痕跡はこれを噛んで吐き捨てた跡だった訳です。
つまり足元にこういう痕が見えはじめたら近くに売ってる。

ちなみにこの時は何をしにフィリピンに行ってたのかって話なんだけど、

ここで書く訳にいかなかった顛末が2/26発売予定の海の怪魚釣りマガジンに書かれているので興味ある方は見てみてくださいな。あれに同行したというだけのことです。一般的には頭おかしいかもしれません。

閑話休題

港町の屋台で聞いたら5Pだっていう。
タダみたいなもんだし、すぐ噛めるようにしてくれるっていうので試さない手はない。

各地で様々な組み合わせで嗜まれているらしいけど、基本的には石灰のアルカリと反応させることで効果が出るもの。そこさえ合っていればあとは地方ごとの材料で問題なく同様の効果が出ているようだ。


まずはキンマと呼ばれるコショウ科の植物の葉にビートルナッツを噛み易いサイズに四つ割りして皮を剥いて乗せる。
ここに赤茶けた粉を乗せていたが、焼いた貝殻の粉らしい。ここではこれが石灰成分の役割を担っているのがわかる。

地域によって白い石灰だったり、マスタードシースを添えたり等いろいろあるって話。
ここでは・・・

噛みタバコを乗せた。
各地いろんなパターンがある中で強力なパターンの組み合わせっぽい。

これをクルクルと巻いて噛む訳です。

モシャモシャやってるおっちゃん達と同じように口に入れて咀嚼してみます。

青臭さと共にと猛烈に襲い来るエグ味。
そしてとんでもない勢いで溢れてくる唾液。
あんだほれは・・・

なるほど口の中は歯から舌から全てか真っ赤に染まりはじめ、ちょっとカラーテスターを思い出させる。
この真っ赤な唾液だけを吐きながらよく噛み続けるものらしいが、若干口がビリビリと麻痺したような感じになり、唾液だけを器用に吐くのがちょっと難しい。何が楽しくてこんなもの噛むんだと思った。

噛みはじめて僅か1分ほど、2回唾液を海に吐いたあたりで既に酔っぱらったかのように体も頭もフワフワしはじめた。物凄い即効性だ。こんなもん噛みながら店に立ってる人もいたけど正気か。

ここでふと、飲んでみたらどうなのかと興味が湧く。
唾液を軽く一飲みしてみる。
胃に入ったかなと思える2秒後
オロロェェェェッっぺ
無理。
意思とは無関係に体が拒絶反応を示して一気に吐き戻してしまった。
完全にアカンやつや。体が毒と判断してる。
吐いた勢いで噛み尽くすまでいかないまま捨ててしまったが、十分すぎるほどキマってしまった。効き方は個人差あるかもしれないけど、個人的には僅かこの数分の咀嚼で50度の酒を1合ほど呑んだのと同じくらいの酔い状態に突入。
いやまぁ、一飲みしちゃったのが余計だったかもしれないけど。ずっと噛んでいたらどんどん効果が出る訳で、これは強烈だといえる。

とはいえ、それも歩いているうちに30分もしないで完全回復。
酒で酔っぱらうフワフワ感の何が楽しいのか正直わからない人なのでこれを嗜好品として続けたくなる気持ちはサッパリわからないが、即効性があり明確に酔いの状態に飛ぶことができるので好きな人はハマってしまうんだろうか。

今回試した組み合わせなんかはアレコリンにニコチンまで加えている訳で体にいい訳がない。
ビートルナッツに含まれるアレコリンはニコチンに近い構造のアルカロイドでムスカリン性と聞くだけで細かいことわからなくても大量摂取ダメ絶対って気持ちになる。発癌性も示し口腔癌が増えるらしいので常用するなら覚悟はしたほうがいいだろう。一度や二度で恐れるようなものではないと思うが依存性を考えるとハマってしまう人は危険性が増すということになる。

このビートルナッツだけど近い成分のものがあったら面白いかな~と思うじゃん?
そのままズバリ日本でもビンロウ(檳榔)といって沖縄にたくさん植えられている木なんですよね。若芽は食用にすることもあれど、実は利用されないので真っ赤に熟して終了してるみたい。
2018年2月時点で禁止ドラッグなどには指定されていないだろうけど、やってれば口が赤くなって一発でバレるし、こんなのやりながら車を運転したらアルコール検出されなくても飲酒運転と変わらない。
泥酔時と同じで人によって症状がどんなふうに出るかわからないし、まぁ、やらないほうがいいんじゃないのかなと思うよ。

ビートルナッツはアジア圏に広く利用しているところがあって嗜好品としての発祥はどこかわからないけど、昔の人が何故石灰と合わせることに行き着いたのかがとても興味深く一度経験してみたかったもの。
全くオススメしないし、好きかどうかは別としてこうかはばつぐんだ。

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Comments & Trackbacks

  • コメント ( 20 )
  • トラックバック ( 0 )
  1. やったー!久しぶりの更新だ!
    更新間隔が開くともしや何かに当たったのでは?
    と、心配になります(笑)

  2. 本で読んだ事があります、
    ビンロウジとキンマの葉っぱは、夫婦円満の印として現地の結婚式の引き出物とかにあるみたいです。
    ただ最近では嗜む人も少なくなってきているとか……
    どんな味がするのがとても気になっていたので、今回のレポは本当に興味深かったです。
    ありがとうございます、今後も体に気をつけて。

  3. アフリカ方面の旅行記で出てくるカートに似ていますね。
    現地の人はずっとクチャクチャやってるという。

  4. 明けましておめでとうございます♪(旧正月も過ぎてますがw)

    ミャンマーのヤンゴン市内でも歩道がコイツを吐いた後で赤茶けまくってますね。

    現地人の知り合いは街が汚れるので本気で嫌ってました^^;

  5. ニューギニアから生還した元日本兵の方が、手記の中で「檳榔(ビンロウ)樹の木は太いほど先の新芽も大きく甘味があり、これを食べて山脈を越えた」と書き残しております。

    もし機会が有りましたら、新芽の食味もよろしくお願いいたします。

  6. 鉄鍋のジャンにでてたやつだー

  7. ガンギマリのせつなさんがダブルピースしてる写真が見たかったと、ちょっと思ってしまいました。

  8. なんか色んな可能性を感じるけど具体的に何に使えば良さそうかが思い浮かばない。

  9. 『くさ』に『むし』と『どく』はこうかばつぐんって
    こういう事だったのですね

    つりびとの端くれとして
    怪魚の本は購入させていただきます(-人-)

  10. 待ってたー!!

  11. 初めまして。
    ビンロウはずっと気になっていたのですが、
    タバコくらいかと思っていたので、そこまで強烈なものとは驚きでした。
    毎回楽しい記事をありがとうございます。

  12. 久しぶりの更新だぁ!!!!11月からずっとまってたんで嬉しいです!!
    ありがとうございます!!

  13. 連投すみません。
    気になってたのですが植えたウチワサボテンはどうなりましたか?

  14. ビンロウは前から興味があるけど今一つ試す気になれないんだよなぁ。
    ヤシじゃダメなんだろうか

  15. うわああああああああああああああああ!
    うんこたれええええええええ!
    良かった更新された良かった良かった
    本当に良かった

  16. 台湾の長距離の運ちゃんたちもよく噛んでるみたいですね。
    でも酔っ払うようなものならば危険なのかも。
    30年くらい前、台湾のちょっと田舎の方ではなぜかセクシーなお姉さんたちが
    コレを売ってました。なぜボディコンなのかは謎。

  17. 石灰…。
    なんかのはずみで石灰のある場所に落として、テキトーにはらって噛んだらキマったとか。
    場所は…石切場や貝塚とか。

    もしくは、初期は単純に家の竈、魚や貝を焼いた灰だったのかもしれませんね。

  18. ミクロネシアに行ったとき自分以外の人はみんな噛んでましたけど、私は受け付けませんでした。
    私はフリスクで十分だと思いました。

  19. 噛みタバコの時点で結構リスクあるのに倍プッシュですからねー。

  20. 水木しげるの本に出てきた「カナカウィスキー」と同じですね

コメントしたければしてもいいのよ?(カエストハイッテナイ)

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