ざざむし。





「がさりうむ」という遊び、いいと思います。

みなさんは「がさりうむ」という遊びを知っていますか?
ガサガサ+アクアリウム=がさりうむ
水辺で網を使って生き物を捕まえる、通称「ガサガサ」とアクアリウムを合わせた造語です。
捕まえる方法はガサガサに限らず釣りでも素手でもなんでも構わないでしょう。
ターゲットも魚に限らず水生昆虫やウミウシなど好きなものでやればいいと思います。


私は最近まで知らなかったのですが、なるほどこれは優れているのでは?と思ったので試してみました。
いままでは採ったものを撮るにも、理由は記録的な意味合いでしかありませんでした。

だからいわゆる観察ケースがあればよかった。


 ■■■ ルリスズメダイ・カザリキュウセン・ロクセンスズメダイ ■■■

観察ケースは観察ケースでとても優れていて1つ持っているととても便利。
大が小を兼ねづらくなるので結局サイズ違いで買うことになってしまうのですが。
(プラ製はすぐ傷ついて透明度が悪くなっていくので、少々高めでもアクリル製がいいです。)

しかしなんというか、「自力で見られた」「手にできた」という感覚こそ調味料にはなるものの、後で見てもなんとなく無機質で、客観的に見ようとすると図鑑と何が違うのかという印象も受けます。


 ■■■■■■■■■■ リボンスズメダイ ■■■■■■■■■■

しかし、器を変えるだけで生息環境の空気や動の部分が拡張できるんですね。
生じる影すら名脇役になってくる。
これに現場でなんやかんやとレイアウト組みながら撮影する遊びが「がさりうむ」です。

実際にやってみて気付いた「がさりうむ」の長所を挙げてみる。

「がさりうむ」の長所

1)道具が少ない
必須なのは撮影用のケースとカメラ、捕獲用具くらい。あとは水滴を拭けるもの。
ケースは撮影者のセンス次第で可能性無限大。
その瞬間限りの水槽や盆栽を組むようなものなので、本来なら飼育に向かないようなものも使い放題。

2)オブジェは現場のものが使える
水草や砂利などはできるだけ現場のものを使うことで、実際にその生き物がいた現場や思い出を切り取ることができる。(濁り水や泥など限界もあるので絶対ではないが、できれば好ましい。)河川の砂利は勝手に持ち帰ると河川法に抵触するのだが、現場で少量を使って戻すのでなんら問題ない。
現場のものを使わねばならないということではないので、砂利も予め好きなものを準備しておけばインスタ映えするものもできると思う。

3)見るだけではわからない生き物の扱いが少し学べる
撮影したものを見ると一目瞭然なのが生き物のコンディション。
魚なら鰭や鱗の状態がよくないと美しくならないし、酸欠になってくると写真からも結構わかってしまう。釣りならばいかに傷つけずに釣るかにも繋がり、それは結果的に魚の回復の早さにも繋がる。つまり見ているだけでは理解できない、手際よく優しく扱う感性が身につくと思われる。水生昆虫なら種によっては魚類よりもわりと楽にできると思う。
4)ちゃんとできれば自然に優しい
最後には元通りに逃がすのだが、状態のよい写真が撮れているのなら乱暴に扱ったものとはダメージが明らかに違うはず。だから慣れるほどに必然的にコンディションが良い状態で元に戻せるようになるでしょう。水草なども普通種で一部分であれば問題なく再生するので殆どの場合は心配ないでしょう。
5)その気になれば特定外来生物も使える
現場での扱いだけなのでブラックバスでもブルーギルでもとりあえずバケツに入れているのと変わらないから法律上は問題ないはずですね。
リリース禁止の場合は撮影の後になんらかの形で処分しないといけませんが。

簡単そうに見えて、やってみると意外に難しい。
撮っている時には被写体の動きに囚われすぎて水滴や結露を見落としていたり、手間取りすぎて酸欠になりそうでリリースして仕切り直しになったり。安い容器だと透明度や製品ムラによる湾曲も問題で、こだわりだすと沼かもしれない。

気付いた欠点・注意点も挙げておく。

「がさりうむ」を行う上での注意点

1)現場に適用されるルールに従う
当然のことですが立入禁止や採取禁止の場所ではできません。
季節による制限や漁法の制限、漁網のサイズ制限などもあったりするので注意。
遊漁券が必要な場合は遊漁券を購入。(実際問題として近所ならともかく急な遠征先や里帰りなどで天候に合わせて動く場合、突然必要になっても販売店が開いていないケースは多々あるので、個人でのがさりうむ程度ならば現場券対応でさほど問題になることもないでしょう。イベントなど行う際には日程も定まるでしょうから話は変わってきますが。全体にオンライン決済できるようにすればいいのにね。)逆に予め確認して不要と言われたとしても現場券販売員と揉める可能性も視野に入れておくくらいの意識でいたほうがいいですね。
2)扱えない生物がある
天然記念物には触れること自体が禁じられているので、持ち帰らないからといってもがさりうむに使用することはできません。
3)持ち帰らないなら何をしてもよいという訳ではない
希少な生物は地域ごとに絶滅危惧レベルが違うので十把一絡げには語れないが、弱りやすいものや環境を元に戻せないものは使用を避けるべき。
4)採取ポイントがわからないよう配慮する
これ非常に重要。
どうしても風景と共に撮影したくなるのだけれど、場所が特定できるような橋や看板などの人工構造物は特に注意して画面に入らないようにしましょう。
特に内水面に顕著ですが、法規制外だからと悪質な乱獲をする人の幇助を意図せずすることに繋がります。自分を楽しませてくれる自然を大切に残したければ常に念頭に置いておきましょう。
5)思ったより時間がかかる
捕れた!撮影!リリース!
というほど秒では終わらないです。レイアウトからシャッターチャンスまで含めるとわりと時間が必要。計画にはある程度ゆとりを。
6)ゴミを残さない
がさりうむに限った話ではないですが、がさりうむの場合に出る可能性があるゴミといったらケースの破損ゴミでしょうか。
特にガラスの器は割れる可能性があるので注意が必要です。石など硬いものを入れる際は先に水を入れておくだけでも衝撃は小さいです。私はまだ割れた経験はありませんが、万が一自然の中でガラスを割ってしまうと破片の完全な回収は困難になります。不安な方は透明樹脂でできた歪みの少ないケースやコップなども販売されているので、そういった割れにくい素材をチョイスすると良いかと思います。不慣れなお子さんに勧める場合も透明樹脂製のものが良いでしょうね。
7)採捕制限の解釈
これが微妙なところなんですよね。
漁業調整規則は県ごとに異なりますが、大抵は対象魚種ごとにサイズ規制がされています。
実際のところ確実に避けることはできない為いわゆる混獲は全国的に日常茶飯事に起こっていますが、事実上持ち帰らなければOKということになっていると解釈できます。渓流魚なんかはたまに悪質な人が検挙されますが、鈎を飲んで死んでしまったものは悪意なくとも持ち帰れば今は違法になっちゃうんですね。(現場で食えばOKということではないよ)
そう考えた時、ガサガサなんて実際のところフナでもコイでも規定サイズ未満だらけなんですよね。厳密に言ったら違反してる人だらけです。そこで果たして持ち帰る訳でもないウナギや渓流魚の稚魚幼魚などが入った場合に使っていいのかという問題が気になってきます。
ぶっちゃけ、同じ漁協でも聞く人によって回答はバラバラです。
がさりうむに関しては短時間な上、特に状態に留意して扱うのが前提なのでグレーな中でもあまり気にしなくて良いと個人的には思っています。証明できる材料はそれなりに揃うでしょうから、下調べした上で認可されたはずなのにも関わらず問題になりそうならその時は堂々と戦えばいいんじゃないでしょうか。なんならリリースシーンも撮る癖をつけておけば、ほぼ完璧。(リリースするならOKを拡大解釈すると釣りで捕まる例も出てくると思われます。そこまで頭が可哀そうな人はいないと思いたいけど…いそう。)
不安な人はガチガチに漁業調整規則に従え。

あと、石垣島など沖縄方面へ行くと「熱帯魚をとらないでください」という条例があります。
どこからどこまでが熱帯魚なのかアバウトすぎてわからない。そして「触らないでください」ではないのは何故なのかと以前から思う訳です。
サンゴと同じで観賞魚として流通しやすそうなものの乱獲を阻止するのが理由なんじゃないかと思っているのですが、島全体であったり、場所指定であったりするのでこれも注意したほうがいいと思います。
全国的に見かける「海藻をとらないでください」の看板も、字面をそのまま捉えすぎてあまり厳密に考えると一切何も採れなくなっちゃうんですけどね。
目的は何なのかを読み解く力と、都合よく解釈しすぎないバランス感覚はある程度必要になることが増えました。

正直、あんまり向かない被写体も多いです。
大型の被写体に対しては容器の問題やレイアウトを組む限界があるし、濁った場所や泥質傾向の場合は再現が難しい。ガチの人は大型水槽持ち歩いてやっちゃうかもしれませんが、普通は必然的に小型中心の被写体になります。


 ■■■■■■■■■■ ミナミトビハゼ ■■■■■■■■■■

どんなに綺麗に準備してから入れても一瞬で壁面バタバタくっつき歩いてベタベタにしてくれるトビハゼとか、底質を入れない時は気にならなかった難しさがありますね。これはこれでありのままで可愛いんだけど。
壁面が垂直の容器だとあっという間によじ登って脱走しますが、口が小さく内側に反っていればこの低さでも脱走は防げます。
しかし落ち着きがなさすぎ。
ちなみに手近なエサがなかったので瘡蓋で釣りました。


 ■■■■■■■■■■ サンギルイシモチ ■■■■■■■■■■

まず単純にグラスに入れただけ。
透明度が高く、厚さにムラのない薄いガラスがよさそうだとは思ったけど、意外に底は厚いと面白いかもしれない。底に青空が来るの、地味によいと思う。
グラスはダイソーで100円の普通の厚手のもの。


 ■■■■■■■■■■ クダヤガラ ■■■■■■■■■■

学生時代にチカの外道としていくらでも釣れた魚で唐揚げで食べていましたが、いまでは準絶滅危惧種です。
いつも普通に横に泳いでいる魚なのに、何故かグラスに入れただけで海藻なしでも殆ど逆立ちする。そういう性格だったのか。

タツノオトシゴだったら画になる箱を作り易そうですね。


 ■■■■■■■■■■ ルリスズメダイ・スミゾメスズメダイ ■■■■■■■■■■

砂もよく洗わないと魚の動きで想像以上に濁ることを学ぶ。
背景には空よりも同系統の砂浜を持ってくると濁りを誤魔化し易いようだ。
地味に砂を超えて底面に移り込む青い空も味があるのでは。


 ■■■■■■■■■■ イワナ・ヒメドジョウ ■■■■■■■■■■

唐揚げ用外来種にイワナっ子がモリモリ入ってきてしまうので。
水温が低すぎて結露拭くのが間に合わなく白っぽくなってしまう。
そして殆ど潜ってしまうので多めに入れないと姿が写らない。
セリアの100円蓋付き展示ケース。
このケース、いろんなサイズがある上にプラなので使い勝手良いと思います。


落ち着くまで時間がかかると酸欠で弱ってしまうので、ネットかぶせて水をかけ続けると酸欠にもならず落ち着きやすいことがわかってきた。


 ■■■■■■■■■■ シマヨシノボリ・カジカ中卵型 ■■■■■■■■■■

ダイソーの100円薄グラスシリーズの丸グラス。
容量大きいけどめっちゃ割れそうで気を使う。
気楽さを考えると似た形状なら最初に使っていた厚いグラスのほうが使い勝手はよい気が。
弱らせないことを優先させつつも、バランス的に水位を下げたいからスポイト的なものもあったら便利かも。


 ■■■■■■■■■■■■■■■ アカザ ■■■■■■■■■■■■■■■

こっちはダイソーの100円薄グラスシリーズの円筒タイプ。
レイアウトはしやすくて使い勝手はよさげ。


ちなみに円筒グラスは像の歪みも単純でわかりやすいのだけど、外への勢いをそのまま加速させてしまうので魚もオートリリースしやすいという欠点があるっぽい。
君の勝ちだ。さようなら。
振出しに戻る。


 ■■■■■■■■■■ ドジョウ・アカハライモリ ■■■■■■■■■■

透明な器という長所を活かすなら、あえて底質を入れないで背景を利用するという使い方もアリなんではないでしょうか。
ただし、浅い皿や鉢に元気な魚を入れると初動で結構逃げる。持ち込んだ生物なら大変なことだけど、捕獲現場ならではの緩さがあって気楽です。
セリアの100円プラ皿に苔ついた石入れて水張って、水面を覆うセリとコカナダモの上に置いただけ。


 ■■■■■■■■■■■■■■■ トミヨ ■■■■■■■■■■■■■■■

ダイソーの100円ワイングラス。グラスの足は水中に沈んでいる。
これも水温が低いのでとにかく結露するのが早い。

1㎝くらい水を減らして撮りたいところだが、結露を拭きながらでは魚が落ち着かないし間に合わないので水をかけながら撮らざるをえなかった。必然的に酸欠と無縁。わりとうまくいったのでPCの壁紙として使っています。

今後マシなのが撮れたら追加していくかもしれません。
ダンゴウオやタツノオトシゴはいつかやってみたいなぁ。

昨今、自然と共にある趣味の世界をとりまく環境は年々厳しくなりつつあります。
動植物の採捕の制限、火の扱いの制限、ゴミの後始末の仕方などなど挙げればキリがありませんが、中でも採捕の制限に関しては本来なら豊かな自然が維持されて且つ、その地で細々と利用されている分にはあまり考える必要がないものが多かったのだと思います。
しかし「良いモノ」とされるものを知ると人は飛びつき、そうはいかなかった。

例えば目的が飼育や栽培であるにしろ、標本であるにしろ、食用であるにしろ、その地の再生産力に対して大きすぎる搾取は個体数を減らすことに繋がります。だから目先しか考えない販売目的のトリコなどが昔から問題視されてはきたのですが、情報網が肥大化した現在となっては「ある程度自制心のある人×n」の採捕数ですら全く無視できなくなってきているのが現状だと思います。
こうなってくると、いずれは採集という行為自体が全て禁じられる世界もありえなくはないのではないかとすら思えてきます。全てがスキューバダイビングやバードウォッチングのように見るだけ撮るだけという世界は果たして望ましいものなのかどうか。食材と生産者が大きく隔たったことによる弊害部分も多く見てきた身からすると不安を感じずにはいられません。
私としては生物多様性の恩恵のひとつには「触れられること」や「食べられること」も含まれるものであり続けてほしいと思っている。特に内水面の捕獲禁止となると、確かに捕獲圧からは守られるかもしれないが、なかなか海のようにはスキューバで気軽に楽しめる・・・とはいかない。人々に触れられる機会がなくなると、よほど地域でシンボル的に守られでもしていなければ、下手をすると汚染や工事や侵略的外来種、または悪質な密猟などの影響でひっそり絶滅しても気付かれないということだって起こりうる。

そんな中にあって、このがさりうむという遊びは最小限の負荷で触れる楽しさを得ることができ、なかなか優れている。これが「この環境を守っていきたい」という意識に繋がればいいし、隔離されてしまうよりはなんらかの異変にも気付き易いのではないか。

こだわりだせば道具もキリがないが、試しにやってみたこの記事で撮影に使ったものはコンデジと100均のアイテムだけ。結露を拭く布巾くらいは最初からあると私のように苦労しないです。いまは写真もスマホで簡単に撮れる時代だし、むしろスマホのほうが効果的な写真が撮れる方法もあり、敷居はとんでもなく低いので是非残り少ない夏休みにでもやってみてほしいと思う。
イイナ!
と思った方は、教えてくれた泉さんのサイト瀞鮪物産店も覗いてみてください。
あ、がさりうむが破壊に繋がったら本末転倒なので100均だからって絶対に捨てていくんじゃないぞ。

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Comments & Trackbacks

  • コメント ( 2 )
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  1. 食に関する物ではない記事は珍しいですが凄く良かったです、これ試してみたくなりますね

  2. 逃げ出すアカザの絵面が個人的には最高でした(^^)

コメントしたければしてもいいのよ?(カエストハイッテナイ)

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