ざざむし。





ハチノスツヅリガはやっぱり魚にしたほうがいいかな

ハチノスツヅリガと言っても、なんのこっちゃ?という人は多いかもしれない。
渓流釣りをする人なら、ああ、アレねって人もいるでしょう。
ブドウムシ1養殖されている、いわゆる「ブドウムシ」ってやつです。
本来ブドウムシっていうのはブドウの蔓の中に巣食うブドウスカシバの幼虫で渓流魚がよく釣れる餌なですが、本来は害虫だから付く前に駆除する対象だわ、養殖は困難だわで、蔓に入ったまま束で売ってて1匹100円(ハズレあり)という高価なヤツだったのです。
そこで、代用に白羽の矢が立ったのがハチノスツヅリガ。
ハチそっくりなカッコいいブドウスカシバと違って、成虫はどこにでもいそうな地味な奴ですが、幼虫は負けず劣らずの害虫です。
その名の通り蜂の巣を綴って繭を作るのですが、そのひとつがミツバチの巣。
養蜂箱の中で巣や蜜を食い荒らしブクブク太る厄介者ですが、こと養殖となれば廃巣や小麦のフスマでいとも簡単に増やせるとのことで、釣餌やペットの餌に浸透していった昆虫です。

で、食用に関してはどうなのかというと、本気で考えている人はいるみたい。
なんせ、廃材のようなものでの養殖が容易で環境負荷が少ないというのは食料としては有能。
そのへんは食用昆虫科学研究会などにお任せするとして、私ら一般人はいかに普通に食べられるものなのかを伝えるだけのことです。
今回はたまたま余ったブドウムシを2つ引き受けたので、渓流シーズンも終わりですし、せっかくだから美味しくいただきましょう。

さて、ハチノスツヅリガに関わらずですが、その食材がある程度の数ある場合はまず味見をしてからメニューを考えます。
ブドウムシの場合、販売保管期間によって悲しい状態になっていることもあるのでチェックはしたいです。
ひとまず1匹茹でましょう。
ブドウムシ2とりあえず何もつけず味見。
ぷつっ
・・・ふむふむ。

大型に改良されているタイプで元気いっぱいのやつだったので期待はありましたが、なかなか良いです。
はじけるようなプチ感は弱く、液化した脂質は少なく高蛋白を想像させるモッチリした肉がしっかり詰まっています。
味は強くないですが、ほんのりナッツを思わせる香りがあります。
未消化物は殆どありませんが、あったとしても蜜蝋やフスマなら安心というのも良いですね。
これは揚げてスカスカになるのは勿体無いね。

とりあえず1パックの残り29匹全部軽く湯通しして~
ブドウムシ3たまたま珍しく虫が1匹もついていない完璧なヌメリイグチが3本採れたので、
虫を補ったパスタにしてみました。
本末転倒とか言うナー

ヌメリイグチにはポルチーニのような強烈な風味がないのも手伝ってか、オリーブオイルに当てられたハチノスツヅリガは茹でただけよりもかなりナッツ香が強く主張してきてなかなか面白いです。
食感も喧嘩しないレベルに落ち着いていて程よいプチ感、これはなかなかいけますね。
名づけてムシォギナータ。
アリだと思います。

あと1箱30匹どうしようか。
ハチノスツヅリガに限らず、ハチノコみたいな幼虫って味や色がつけにくいものも多いんですよね。
逆にそれを利用してみましょう。
ブドウムシ4デデ~ン!
釜飯にしてみました。
幼虫は水に浮くのでなかなか豪華な?見た目になってしまいましたが、混ぜるとそうでもないですね。
ブドウムシ5風味は落花生御飯とか枝豆御飯みたいな豆御飯的風味をかもして仕上がってくれてれば結構イケるんでないの?
先日干しあがったコウタケを多めに投入して御飯を黒く染めることで、ハチノスツヅリガの白さが浮き出て美しいんじゃないかと想像したのですが、黒さが足りなかった。
松崎しげるよりは黒くなると思ったのに。
醤油の黒だけじゃないから、色のわりに全然味濃くはないんですよ。

では実食。
コウタケの風味が強いのに、幼虫自体を噛むとはっきり判るのようなコーンのような香り。
しかも大きいから食べ応えもある。
目瞑って食べさせられたら、何食べてるか当てられない人のほうが多そうだ。
つーか、この風味どこかで・・・
あ、
これ、トウモロコシについてるアワノメイガの味そのまんまじゃないか。
なんで釜飯にしたらこんな風味になるの?
あれがそのまま巨大化したらこんな味だよ。
餌にトウモロコシの粉でも混ざってたのかな?

なんにしても、養殖が比較的簡単でいて且つこの味なら可能性は感じる虫ではあります。
揚げたら言うまでもなく万人向けの味になりますね。
まぁ、でも今回は頂いたので豪華に使えましたが、本格的に食用養殖でもされて安くならないと割りには合わないです。
よっぽどの薬効でもない限りは、60匹で1400円だったら肉か魚買うもんね。
自分だったらコレで魚やカエル釣ってきたほうがずっと肉増えるしー。

~追記~
ハチノスツヅリガの幼虫がプラスチックを食べて分解できることがわかったようです。
なんでもビニール袋に穴を開けていたところから調べて発覚したとかで、完全に消化しているんだそうで。
実際は大量の幼虫に不要なプラスチックを食べさせて処理するのは非現実的なので、消化酵素などシステムのほうを研究して分解する薬品を作る方向への期待が高まった。害虫か餌かの2択しかないかと思われた虫にも思わぬ底力があったようですが、こういうことがあるから一見不要な生物だからって安易に駆逐してはいけないんですよね。
多様性って大事だなぁと思う一件でした。

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