ざざむし。

カイコの真価

カイコを食べるといえば「ざざむし」と並んで長野県な印象か。
でも実際はタイや韓国などでは今でも好まれるおやつ的存在。
だいたいは絹糸を取った後の副産物として出る蛹なので、既に重曹などを加えて茹でられてしまったものを更に加工してできたもの。
それだけに酸化した風味が強いクセとなり、食べるのが苦手な人が多い昆虫食材だ。
(高蛋白でアミノ酸もバランスよく含んでいるが、ヒスチジンも多めなのでアレルギー体質の方は一応注意)

一般には蛹ばかり目立っているけど、糞は「蚕沙(さんしゃ)」と呼ばれ古くから漢方薬にされてきた。
卵から幼虫、蛹、成虫、糞に至るまで食用可能な昆虫だ。
ちなみに成虫の甘露煮も売られていて蛹よりぜんぜん食べやすかったのだが、老舗のかねまんさんが倒産してしまったので残念ながらもう買えない。
あの食べ易さもやはり蛹と違い、食べる為に加熱ができる時間の問題だったんではないかと思う。

日本の商品としては殆ど佃煮でしか見たことがないけれど、かなりクセを殺すはずの佃煮ですら蛹の香りは独特。
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おなじみの甘辛味なんだけど、だがしかし!な感じ。

タイや韓国の缶詰だと薄味の醤油で煮たような味つけが多いでしょうか?
カイコ(タイ)慣れるとそうでもないんですが、
牛乳を拭いた雑巾を干してピーナッツの皮で包んだような風味は好き嫌いがハッキリ出ます。

カイコ蛹(燻製)だから、燻製にしたりとか、余計な風味をなんとかしようとするんですが、見た目も風味も根本的な解決はされない。
そしてどれもだいたい共通して言えるのは、どんなに誤魔化しても一度茹ですぎてるので中身がパサパサになってるんですよね。

そこで、気になっていたのが生カイコだったんです。
「なま」です。
チャンスはちょくちょくありながら休みが合わず未食だったのですが、やっと叶いました。
カイコ3種1現実に糸を取る為の加熱がされていないカイコの蛹を味わおうと思ったら、それなりの伝手でもなければ自分で飼育するしかない。
なにせ、繭を切ってしまえば糸にはできない。
実際飼育するにしてもキットも安くはないし、そこから手間も時間もかかる。
将来的な昆虫食を考えた際にも、副産物としてはアリでも蚕の生蛹はあらゆるコストが高すぎて普及は考えにくい。
そんな理由で普通は食べるのがなかなか難しい新鮮なカイコですが、今回シルク展のイベントで昆虫料理研究会のブースに3品種の非加熱繭を用意していただきました。カイコ3種2左から品種別に、白繭 ・ ローザ ・ TY40 だそうです。
染色した訳ではなく、同じ桑の葉を食べて自然に出てくる色。
カイコのことはよく知りませんが、実際見ると不思議ですね。
桑の葉から赤い色素なんてこんなに蓄積できるものなんですね。

これらは茹でることなく、繭を冷凍したものです。
各自、繭を切って蛹を取り出し、軽く茹でていただきました。
カイコ3種3並び順は上記のままですが、TY40で私の繭だけ前蛹が出てくるというオチがついたのでもう一個貰いましたw
味つけは好きなものでよかったので、そのままと塩のみで1つずつチェック。
先に前蛹の味だけど、蛹よりも皮が気になりすぎるね。
ただ、繭を作るのに糸を吐ききっているからか不快になるほどではない。
繭を作る前の幼虫だと、加熱した後の体内に糸の素の長い塊があって、これが硬くて不快なんだよね。
前蛹は茹でるより高温で炒めたほうが美味しそうだな。
フン茶合間合間に蚕のフン茶で舌をリセットしながら味見。

さて、問題の生から茹でた蛹の味だけど、3種は微妙な違い。
好き嫌いは個人差でしかないと思うし、食べた感じでは2個ですら個体差を感じたものもある。
おそらく、蛹化してからの時間で微妙にステージが変化しているのもあると思う。
前蛹が出てきたくらいだしね。
だから、あくまでも今回の個人的な感想でしかないのを前提に。

まず全て共通するのが噛んだ瞬間の香りがピーナッツの皮。
そしてとろけ出す中身は非常に濃厚クリーミーで、豆乳を濃縮してナッツっぽさを僅かに加えたような感じ。
普通の白繭を基準に考えると、小さなローザが少し香りが鋭角で後を引かず、TY40は僅かにエグ味が強い?
それも極僅かな違いだと思う。
いずれにしても、普通に食べられているものとは全く別物なので同列に比較してはいけないレベル。

さて、ではこの生蛹(冷凍だけど)を食用とするにあたり、需要はどうかと考えたら、ここまで普通のイメージと違うならなんとかならないこともないんじゃ?と思う。

まず、繭の見た目が綺麗。
味は間違いなく旨い部類として通用する。
なんせ、フグやタラの白子が人気あるくらいだしね。それらよりは断然旨味は強い。
そしてポンテギのような酸化脂肪酸の嫌な風味が殆ど無い。
チーズ感覚でつまんでもいいかと思える。
これ、2~3色一皿にして500円とかなら、目新しさもあるから変わったメニュー出す店で十分通用するんじゃないかな。
冷凍も効くから、その都度必要分だけ茹でて出すだけでいいというのも楽。
どこかやってみたいというお店の方、いらっしゃいませんかね?w

ちなみに、残った繭は揚げても少し髪を焼いたようなニオイが出ただけ。
見た目も変わらず、噛み切ることすらできませんでした。
なんでも揚げれば食える法則、ここでも敗れるwww

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Comments & Trackbacks

  • コメント ( 2 )
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  1. ニセゴミムシダマシモドキ

    「蚕は桑の成分が蓄積されるから臭くて美味しくない」と何処かで読んだことがあるのですが、
    別にそういうわけではないんですね。
    毛嫌いしないで行ってみればよかったなぁ…

    • それ大嘘でしょw
      確かに食物の風味が肉に影響するけど、桑自体クセないですし。
      あれは中身を半分ミルクに混ぜてアイスにしても美味しそうだと思いましたよ。
      一般のはあくまでも出汁ガラからの〜だからですよ。

コメントしたければしてもいいのよ?(カエストハイッテナイ)

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