ざざむし。





カツオノエボシを食べるにあたりどう考え扱うか

みんな大好き(大嫌い)カツオノエボシ。

生き物的にはクラゲっぽいのにヒドロ虫の群体で部位により役割分担している不思議な生物で、あの成りして単細胞生物というウミブドウと真逆の意味でわけわからないやつ。
美しい風船状の部分は10㎝前後にも関わらず毒のある刺胞を発射する触手は数mから50mにも達するものまでいるという不思議な魅力の塊なのだけど、海水浴客やサーファーなどにとってはアンドンクラゲと並ぶ恐怖の対象。

初めて見たのは小学生だったか中学生だったかはっきり覚えていませんが、海水浴に行った時の夜明けの浜辺。
親戚のおじさんに触ったらあかんと言われ、風船部分をつついて終わった記憶。
時は流れ、2chで「カツオノエボシを茹でるとカツオみたいな出汁が出る」的な書き込みを目にする。
ホンマかいなと、それから大量打ち上げのニュースを耳にする度に海へ行ってはみたものの、サラリーマン生活しながらだとどうしてもタイムラグがあり、接岸のタイミングが海水浴シーズンというのも重なって清掃されてしまうのでなかなか巡り合えないでいました。遊泳能力がないだけでなく風でもモロに流されるプランクトンなので、海流や風に人間のスケジュールが合わせられないとどうにもならないんですよね。

そしてさらに10数年経った今年も湘南に大量接岸の報。
せっかくフリーなのに北陸へ越しちゃってるんだよなぁ。
と、思って指を咥えていたら度々変態お世話になっているペンさんがアホみたいに大量に拾っており、送ってくれました。今年はコロナの影響で海水浴場も閑散としているだろうから、天候を読めば例年よりは遭遇しやすそうではありますね。うらやまけしからん。
本当は自分で拾いたいところですが、どうせ打ちあがるものだから砂だらけ、綺麗にする間に死んだり鮮度低下は免れないはず。既に出会ったことある生物だし、ファーストコンタクトの感動はないのでありがたく頂くことにしました。

と、扱う前に考えられるリスクを挙げておきたい。

例えばアンドンクラゲの毒素はCaTX-Aとして単離されているのですが、サーファーなどがよく被害に遭うクラゲであることは先に述べた通り。毒による直接な痛みは当然酷なもので死者すら出た例がありますが、時にそれだけで終わらない。
個人的に警戒したいのが納豆アレルギーです。

なんのこっちゃと思う人も多いかもしれないが、クラゲに刺されることで納豆アレルギーが発症することがあるのがわかっています。クラゲはポリガンマグルタミン酸(以下PGA)を使うことで刺胞を発射するのですが、納豆の粘り成分にもPGAが含まれるので、刺されることにより過剰に危険だと覚えてしまった抗体が納豆のPGAも危険と判断してアナフィラキシーショックを起こしてしまうというわかりやすい関係。
要約すると確率は低いが「クラゲに刺されてから納豆食べて死ぬ可能性がある」ということ。

一度アレルゲンとなれば中華クラゲの経口摂取でもアレルギー反応は出てしまいます。
これがまた全て同じPGAかと思いきやアレルゲンとなるクラゲの種類によっても発症する対象が変わってくるのは事実としてあるようで、まだわかっていないことも多いのが現状です。そして、厄介なのが海で刺されて納豆アレルギーになった人がどのクラゲにやられたせいなのかもわかっている場合ばかりではないんですね。
被害の数としては生息範囲の問題からかアンドンクラゲとカツオノエボシが2強、次いで毒性はアンドンクラゲ以下だけど巨大で毒総量が多く被害が大きな南方のハブクラゲ。痛いクラゲとしてはアカクラゲも東京湾あたりやたらといますよね。
そういったことから考えると納豆アレルギーの原因のひとつにカツオノエボシも入っている可能性は多いとも言い切れないけどゼロにもしきれないんですね。個人的にはポックリ逝けるならそれはそれでべつに構わないのですが、仮に痛みはたいしたことなくても荒ぶる抗体ができてしまったばかりにクラゲも納豆も好きでも食べられないという生き地獄が付きまとうようになるのはまっぴら御免な訳です。

カツオノエボシも含めクラゲ毒は全体に不安定で活性を失いやすいことはわかっているようですが、それがイコールPGAが不安定という訳ではない(納豆の粘りに普通に存在するくらいだからね)ので既に納豆アレルギーだという人は警戒する必要があり、そもそも食べるべきではない可能性が高い。
そして、毒成分の分離が難しいくらいなので不安定が前提なのだが、仮に毒成分が安定な状態でキッチンに登場した場合、果たしてどこまで触れてよいのかという問題。「刺胞は刺激で発射される」というもっともらしい話だけが独り歩きしているように感じられることが多いけれど、「刺激」ってなんでしょうか。
カツオノエボシの場合は刺針というセンサーのようなものがあり、これに触れると発射される仕組があります。ただ、本当にこれだけなのかなという疑問があります。

同じ刺胞動物で見るとイソギンチャクの場合はマグネシウムイオン濃度が低いと射出するものがあることがわかっており、これを利用してマグネシウムイオンが高濃度な粘液をまとうことで身を守っているのがニモでも有名なクマノミの仲間です。そこで果たして刺胞動物のクラゲはどうかというと、クラゲにもつきまとう魚がいるんですよね。ハナビラウオなどの仔稚魚はクラゲに守られるように浮遊生活を送りますが、エボシダイなんかはその名の通りカツオノエボシにもつくんですよ。彼らはカツオノエボシ毒耐性をもつ時期があるという話ですが、イソギンチャク類に張り付かれる感触を思い出しながら大量の刺糸注入による捕食シーンを見ていると、発射されたらいつも毒耐性程度で逃げ切れるものとも思えません。クマノミの粘液を拭い去って戻すとイソギンチャクに食われてしまうと聞いたことがありますが、エボシダイでも同じことが起こりそうな気がしています。
多くのクラゲ被害に有効な酢がカツオノエボシには逆効果で刺胞発射を促すこともわかっているようなので、クマノミと同様の刺胞発射を抑制するなんらかのシステムも持っているんじゃないでしょうか。クラゲの例だとミズクラゲではカルシウムイオンの変化も発射を促すようですが、イソギンチャクほど条件が単純ではないようです。と、考えると、やはりカツオノエボシの刺胞発射メカニズムも刺針に対する直接的な物理刺激だけではない可能性は無視できない。覗き込むだけで刺胞発射が増加する話もあり、水面を漂う生物なので上からの影にも反応するのかもしれない。考えられる要素が多すぎる。おそらく刺針以外の何かのスイッチは確実にあるよね。

仮にクラゲ同様と考えると海水中は刺胞の発射を促すイオンバランスが整っている場合が多いので発射されやすいのでしょうが、空気中であっても肌の表面が発射を促す成分である場合、または発射を促す成分が肌についていた場合、且つ皮膚の弱い部位は危険ということになり得る訳です。カツオノエボシは魚を捕食することから考えて、釣りの際など魚に触れた手で触るのなんて自殺行為かもしれません。
そう考えると、少なくとも生きている状態の触手や超鮮度の触手は触れるべきではないでしょう。
今回の場合、死んでいたものだとしても「刺胞が機能している」「機能する毒成分が残っている」「アレルゲンが残っている」はすべて別に考える必要があるでしょう。
単に痛いで済む程度のものならさほど慎重になることもないかと思うのですが、このへんを考えずに絶命していくらか経ったカツオノエボシ含むクラゲ類を触って平気と言っている人がいたら勘違いする人の二次被害を発生させる可能性が出てくるので注意したほうがよいと思います。私なら責任感に嘘がつけない境目の向こうですね。

「よいこはまねしないでね!」
と略されている中にはこういうのが詰まっているんですよ。


はい。
前置きが非常に長くなりました。
これらをふまえて悪いおじさんは送っていただいたものを見てみましょう。

青く液化している部分も多く、明らかに生きている状態から比較すると劣化が見られます。死んでも刺胞の残骸はゴロゴロしているかもしれないけど、この状態で毒性が安定ならとっくの昔に毒成分の解析も進んでいるような気がする。かといって分析の過程で不安定というだけで、この状態ではまだ安定な可能性もあるので油断はできない。
海で刺された際の緊急対応としては、最悪の場合は指で張り付いた触手を取り除くという方法があり、指の腹くらいの表皮の厚さがあれば戦えるということはわかっています。ただこれもデリケートさは個人差があるので誰でもとは言えないですね。子供とか多分ダメだし。
直感ではもうこれならゴツい大人の掌くらいであれば触ってまったく問題ないでしょう。刺胞は触手の青いところに集まっているのでむしろ液化した青いところを皮膚に塗りたくるほうが危険そう。

ちなみに気体の入った部分は気泡体、刺胞のある鞭状のところは感触体というんだけど伝わりにくいので風船とか触手と呼ぶことにします。
実際のところ本体は素手で大丈夫でしたが、どんなに条件説明をしたところでインターネットの海には都合の良いようにしか理解できない読解力のないアンポンタンがたくさん存在することがわかっており、曲解され流用をされる可能性があるので写真は手袋をしたものだけにしておきます。送ってくれたペンさんもそこは留意して挙げなかったようでさすがでございます。

早とちりしてうっかりやらかす人ほどエピペン常備なんてしてる訳ないと思いますから、そこは慎重にいきたいですね。

さて・・・数は多いけど小さいです。数が試せるのは助かる。
生臭さはあるけど海の香りといえばそんな程度。腐敗臭ではない。
やっていきましょう。

まずは基本の味見、虫と同じで素茹でから試しましょう。

爆発するのはわかっているので急激な温度上昇が起こらないよう100度ギリギリの低温を維持したところ、いつまで茹でても意外にパンクしません。そして不思議なのが、クラゲ状のものを茹でているにも関わらず何かの魚の皮を茹でているかのようなタンパク感のある香りがします。カツオみたいな出汁というのはこのことを指していたんだろうかと思うような香り。
期待して味見してみると風船部分はやる気のない柔らかさ。薄すぎるからでしょうかね。
味は・・・まぁあるんだけど、老廃物の具合によっても変わりそうだしこれを通常のカツオノエボシの味と評価してよいのかどうかは微妙。少なくとも捕獲から死んで到着まで冷蔵2日は経過したものですからね。そこを踏まえて考えないといけない。魚を丸呑みするタイプの生物な上にシンプルすぎる構造だから直前に何を食べたかでも影響が出そう。ただ、中華クラゲにありがちな独特なゴムっぽい風味がないのは個人的に長所かもしれない。しかし茹で汁の香りからは肩透かしをくらうレベルなので、やはりもっと鮮度のよいものも比較しないと何とも言いきれない。そして茹で汁は香りと不純物程度の塩味だけで味が殆どない。カツオ出汁とは一体・・・。

やはり単純ではあるけどクラゲ同様の処理で食べるのがいいんでしょうかね。
はー。
そうなるとまた面倒なんですよね。
クラゲって日本で食用流通している種は5~6種らしいんですが、種によってベストな処理が変わるそうなんですね。中華クラゲは基本的にはミョウバンと塩の混合物で漬けたものなんだけど、ミョウバンを加えるのはタンパク質固定する効果があるからという話。でもこの割合も人によったりクラゲによったりで、数も3回漬けなおすらしいんだけど一方では1回で済ますものもあると。そんなにいろいろなパターンがあるのに、塩抜きの仕方もそれに合わせて、また料理の仕上がりに合わせて多様ときたもんだ。ちょっとした沼に対して当然、コレ!といえるほどの経験数はないので感想の前に条件記載は必須。
内容の薄さの割に自分用のメモにもなるのでクソ長くなりますがご勘弁という感じ。

そもそもクラゲの組成って95~97%くらいが水分で、残りの僅かがコラーゲンなどのタンパク質。
カツオノエボシの組成も一般的なクラゲに近いものと想定すると、まず今回のサイズは3㎝~5㎝程度。厚い組織でも2mmなさそうなので成分の浸透は早かろう。漬けるのは1回、塩抜きも短時間でよかろう。
次に漬け材料の選定。このサイズの2%やそこらのタンパク固定にそんなにミョウバン必要か??
前例のわからないものだからミョウバン:塩=1:3と、天然塩のみを比較対照してみよう。結果次第でいつか再来する本番の最適解へ近づけられる。


まずミョウバン塩1:3混合物で24時間漬けたもの。

見た目は風船も割れておらずあまり変化がないように見えるが、微妙に触手が太く透明になったように見えなくもない。
これを湯通ししてから塩抜きするのだけど、クラゲの塩抜きは通常しっかり漬けられているものほど高温で、回数の少ないものほど柔らかく崩れるから80度程度の低温で行うのだけれど、カツオノエボシは生茹での時点で崩れるほど脆くはなかったので高温で大丈夫だろう。崩れたら考えることにしてGo!

同じ爆発したのでも、生から茹でた時のクニャクニャな風船と全然違うな。
白く、見た目にも固くなって見えるがどうだろうか。
水晒し20分して、味見してみる。

・・・ただのクラゲになっとるやんけ。
風船部分の変化がすごい。その歯応えはこんなに小さくても中華クラゲのそれ。
中華クラゲに感じる独特なゴム臭さみたいなものも僅かに発生しているが、不思議な煮干しのような香りも若干あるかな。小さいことから考えて塩抜きを短くしたが、ほんのり残る程度の塩味が微妙な旨味を底上げして良いバランスではある。10㎝くらいのカツオノエボシなら十分に料理に使えるのではないか。


では塩だけで漬けたものはどうか。予想ではこれで十分なんだけど。
同様に沸騰した湯で10秒、水晒しで塩抜き20分。

あーはいはい。完全にクラゲだわ。
残念なことに中華クラゲによく感じるゴムっぽ風味までついてきちゃったわ。
どっちでもよいならミョウバンわざわざ入れることもなさそうね。
っていうか、中華クラゲのゴムっぽい風味ってやっぱり保存料関係ないんだな。

しっかりした歯応えだから醤油やポン酢つけるだけで美味しいよ。
ただ、サイズ的に淹れたての熱いお茶を口に含んだ時にめくれた口内の表皮みたいで、見た目が完全に残念だよね。厚さがある分だけ強いけど、食感も似てるぞ。

ミョウバン塩混合物も天然塩もいずれも美味しくいわゆる食材としてのクラゲにはなったが、いずれも薄いとはいえ生から茹でた時の微妙な旨味はクラゲ風味に移行したことでわかりにくくなってしまった感がある。ただのクラゲ味ならいくらでも採れる大きく安全なミズクラゲで作ればええやん。
ならばカツオノエボシ食ったというくだらないステータス的なものしか残らないじゃないの。
最近そういうのが嫌なんですよね。
何か、ソレであるからこその「らしさ」がほしい。

塩漬けしている時にふと思ったんですが、最初に洗い流れてしまった鮮やかな水色が私の目には蛍光めいて見えて、塩漬けしている最中のカツオノエボシに紫外線当ててみたら、僅かに残った部分が水色に光って見えたんですよ。
しまったなぁ。
やっぱり現地で綺麗な状態で拾ってなんやかんやしたさが湧いてきて心残りになる。

ということで甘く煮含めてカツオノエボシゼリーにしてみました。


イメージは海に浮かぶ電気クラゲで。
昔、エチゼンクラゲ入りのアイスクリームあったよね。クセがなければ同様にスイーツのアクセントになるかなと思ったんだけど、アイスに混ざったクラゲのよくわからなさから考えてゼリーにしてみた。
青い色は生体の青さを利用したかったけど、今回は湯通しまでの工程で殆ど流れてしまったのでバタフライピーから軽く抽出してあります。

しかしカツオノエボシが来た時のコリコリ感は確かにアクセントにはなれど想像と違う。

その原因はこれだよなぁ。
本当はゼラチンで固めようと思ったんだけど、何故かカツオノエボシが入っているといつまでも固まらない。
サッと煮て取り分けたエボシ肉無しの液体は固まったので、多分ゼラチンを固めない何かが作用している。
仕方ないから寒天を少し加えて固めなおしたので球体だけゼリーではなく寒天になっており、透明感の喪失だけでなく全体がナタデココに少し近い食感になってしまい差が縮んでしまうんですよね。
見た目に反して味のインパクトが薄い。

失格。

結局、最初に味見した直後に試したのがカツオノエボシ料理らしさNo.1だった。
「夏の元気なごあいさつ~♪」
何故か脳裏にサラダ油のCMが流れたんですよね。


カツオノエボシのお吸い物~♪
捕獲2日経過から100度弱で転がしながら3分くらい茹でているのでまず無毒化できているはず。
浮袋の中は代謝物で一酸化炭素などのガス中心だけど、普通の脊椎動物ほど固形物をモリモリ食べる生物ではないので見た目に違和感なければ未消化物を気にする必要もないだろう。鮮度が悪いと臭くなりそうだけど酸素が足りない状態なので酸化による腐敗も少なかろう。

ということで海に浮かぶカツオノエボシを触手までそのまま再現。
味は、風船部分は塩漬けに比べるとかなり心もとない食感だが、塩漬け後のようなクラゲ臭がないほのかな旨味は出汁とも相性悪くない。
そして触手部分は細いにも関わらずコリコリしっかりした食感で、出汁も吸っているようでしっかり味がある。
見て面白く、味も悪くなく、誰が見てもカツオノエボシ。
透明なギョウザが浮いているように見えなくもないけど。

できれば3㎝くらいの魚でも具に使って捕食シーンを椀の中で再現したかったけど、夏の元気なご挨拶には即効で応えたくなったので仕方がない。

正直なところ、塩漬けしないで味だけなら風船部分いらない。触手だけ大量にあったら多分もっと美味しい。

宿題は残ったけれどそれなりに試してみた結果、どんなに頑張ったところで捕獲から調理にかけてのリスクと効率の悪さがマイナスすぎるので食材としての将来性は皆無に近いよね。
まぁ、納豆アレルギーじゃない人は素直にクラゲ食っとけという、試さずともなんとなくわかる話。

刺されたらどうするの?

触らなければどうということはない生物ですが、万が一海で意図せずカツオノエボシに刺された場合はできるだけ患部をいじらず、病院へ行きましょう。下手に掻きむしったりすると刺胞が壊れて刺糸が次々と注入されまくることになるので、触手が残っているようなら病院に行くまでは直接触れないように取り除いて我慢、できれば45度以上の湯に漬けましょう。ここはタンパク系の毒にわりと共通するところですね。クラゲに刺されたら酢がよいとか湯がよいとか小便がよいとかいろんな話が昔からありますが、クラゲの種類によっても対応が変わるので患部に触手しかついていなくて何だかわからない場合は何もせず病院へ行くのがよいです。カツオノエボシに酢や真水は厳禁。

カツオノエボシ含め、クラゲの種による応急処置は危険生物ファーストエイドハンドブックが手頃で参考になります。打ち上げられたものを触って刺されたなら近くのコンビニで対応できそうなものも多く大変役に立つ情報源ですが、泳いでいて刺された場合に種まで素人が特定できるかといえば難しいでしょう。
危険性を伴う行動が多い方はエピペンを処方してもらいフィールドワークの際は常備していると安心でしょう(他人には打てません)。
そうそうあることではないですが、頭の片隅に置いてあるのとそうでないのでは全然違いますからね。対応を知っていれば過剰に恐れる必要もなくなります。

とはいえ、訓練された人以外は安易に食べないほうがいいですよ。


ちなみにギンカクラゲとカツオノカンムリは殆ど溶けてしまい、セルロース感というかキチン感というか、そんな部分が残っただけで味はよくわかりませんでした。
ぴえん。

 

参考文献)
刺胞動物のタンパク質毒素 :永井宏史 みどりいし13(2002)
タコクラゲ摂取によりアナフィラキシーを起こした14歳男児例 :アレルギー66-6(2017)
刺胞射出構造の解明 :国立研究開発法人科学技術振興機構
危険生物ファーストエイドハンドブック

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Comments & Trackbacks

  • コメント ( 19 )
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  1. 更新嬉しいです

  2. 普通に文献として興味深い内容ですね。
    こうして今の食文化が作られてきたんだろうなと思うと、さらに面白く感じます。
    また読者への気遣いや配慮も素晴らしい記事ですね。

  3. 参考文献をしっかり載せているあたり、丁寧かつアカデミックで好き

  4. 更新楽しみにお待ちしておりました…!

    子供の頃2回巻きつかれましたが、幼少期に刺されたどのクラゲより痛かったです。
    どちらも千切れた触手のみでしたが、夜中寝ている時も腕が痛いし熱を持ってあつくてたまらなかった…。

  5. ぉぉおおおお更新されてる!!!待ってました!!!

  6. 更新がこんなに嬉しいブログがあるとは…

  7. あいかわらず凄まじい探求心感心するばかりです。
    とりあえずこれを食べることは生涯なさそうなのでクラゲに刺されたら納豆は危険かもねだけ覚えておきます。

  8. 待ってましたー!
    お吸い物見た目の清涼感がいいですねー。

  9. びっくりした
    更新すなら言ってやー笑

  10. この小皿、KGB感あるな

  11. 久々の記事待ってました!

  12. こいつを食おうという発想が無かった…
    昔いった遠洋航海では太平洋のど真ん中にこいつが無限に発生してて巻き上げる延縄に絡みついて跳ね上がってきて地獄絵図でしたが
    古老の乗組員はこいつが腕や顔に張り付いてもノーダメージで同じ人類とは思えませんでした
    洋上で見るこいつはピンポン玉くらいの小ささで大きく育った奴が風に乗って沿岸にたどり着くんでしょうね
    相当な密度で広域に発生してたので海域の魚の重要な食料源って印象でした

  13. 更新待ってました。
    相変わらずの通暁さとチャレンジ精神感服するばかりです。
    ちょっと先日刺胞について調べたのですが、射出時の加速度でが5,400,000 m/s^2 というとんでもないものと知り驚きました。
    速すぎることが研究が進まない一因でもあるようです。

  14. うおう、まさかのカツオノエボシ!
    ニュースで何かに使えればいいのに勿体ないと思ってたらw
    ちょっと美味しそう。

  15. うお!更新してる!?

  16. やったーざざむしが更新されているー!!!!生きがいが一つ増えました

    カツオノエボシを見ていると点滴を思い出します
    栄養価は高くなさそうですけど……

  17. 更新嬉しい

  18. お久しぶりの更新、楽しく読ませてもらいました。
    ゼリー、アガーを使えば食感の違いを楽しめつつちゃんと固まるのかなあと思いますがそこまでしてやるか?というのは別問題ですね。

  19. ホムペほ一年以上音沙汰無しでツイッターしかチェックしてなかったのに、しれっと更新とかステルスすぎっしょw

コメントしたければしてもいいのよ?(カエストハイッテナイ)

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