ざざむし。

キヌガサタケ幼菌が美味かったが変なものを練成してしまった

台風9号が掠めていく大雨の中でキノコ狩りをしていたバカちんは私です。
行ったはいいが目的地に着く頃には大雨すぎて車から出られず、1時間ほど襲ってきた暴風に嫌な予感。
台風一過、晴れ渡った隙に手近なキノコを探すも、まぁポキポキ折れたり吹っ飛んでたり惨状が広がっていた。

そんな中、同様にへし折れまくりながらも目立っていたキノコがあった。
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キヌガサタケだ。
何キヌガサかは知らん。
いちばんまともなのでもこんな状態で横たわっていた。

絹のような美しい傘を持つという名の通り成長すればとても美しいキノコなのだが、防御力ないくせにアタリ判定がでかすぎるんだよ。
雨ニモマケル風ニモマケル・・・
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卵を破って伸びてきたばかりのやつはなんとかこの後も伸びられそう。
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シルクのパンツを脱がされ無残に横たわる臭いちんちん・・・
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豪雨に傘を叩き落とされただけでなく、グレバまで綺麗サッパリ洗い流されながらもまだ伸びかけ・・・
どれだけ雨の勢いが強かったのか。

擬人化させると可愛らしく描かれることが多いとても美しいキノコなのだが、この姿を見てキヌガサタケは先っぽ隠したただのシースルー包茎ちんちんであったことに気がついてしまい複雑な心境になった。

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周囲にはまだテニスボールくらいの幼菌がたくさんあった。
こいつらが伸びる頃に来たかったなぁ。

キヌガサタケは有名な中華の高級食材で、見た目の美しさと特徴的な歯応えが身上だ。
頭の黒いところはグレバといって、悪臭を放つことでハエなどを寄せ、胞子の入った粘液をくっつけてあちこちにバラ撒いてもらうという戦略をとっている。
このグレバだけ洗い流してしまえば美味しいキノコなんだが、今回は残念ながら粉々のものだらけだったのでいくつかマシなのを拾っただけに落ち着いた。
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しかし幼菌多いな。
全部で20個以上は見た。
せっかくだからいくつか持って帰って試してみようか。

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伸びて折れていた残骸はよく洗って湯通し、水に晒してグレバの臭いを飛ばしてスープに。
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チャキチャキ感が心地よい。
不味そうな表現をしてしまえば「美味しいスポンジ」だ。
一見すると麩にも見えるが、一本一本の細い部分がチャキチャキと良い歯応えで、それらがスポンジ状に折り重なることでスッポンタケ科だけともいえる独特の歯応えを生んでいる。
構造上、出汁を含み易いというのも良いよね。

今回は残骸ばかりだったので絹の部分は一緒にスープに入れてしまったが、中華料理で最も珍重されるのはこの部分だよね。
まぁ、当たり前の部分は今回どうでもよい。

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で、幼菌である。
どうしたものか。
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この裏の申し訳程度についてる根みたいなのって役に立ってんのかね。
これじゃ風で飛ばされもするだろうよ。

まぁね、ひとつに食べてみたかった理由はあるんで、まずはそれを。
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キヌガサタケ幼菌の刺身

普通はキノコは生食しない。
というか、してはいけないものが多いと思ったほうがいい。
シイタケですら生食は中毒の可能性があり海外では毒茸扱いのところもある。
だから先駆者でもいない限りは生食しようとは思わないのだが、やっぱり趣味友遊でやっていたのがキヌガサタケ幼菌の刺身だった。
一人や二人が試して大丈夫だったからって安全な保障はないのだけれど、個人的にはこれは試さないではいられない。

どれ・・・
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ん―んんぅ!?
情報が多すぎて一瞬で「美味い」に変換できなかった。
まずグレバの予想外の堅さが印象に来る。
堅いといっても伸びたものを知っているからこそ生まれる違和感なだけで、確かにこれは薄切りの生マッシュルーム程度の歯応え。より注意するとそれが微細な多孔質になっているようなサクサクでありながらシリシリいうような歯触りを感じる。
爽やかでいろんなキノコが混ざったような香りに「ここ何かいるだろ」って感じる生きた森の土の匂いを僅かに足したような香り、成長したグレバの悪臭からは想像もできない香りがクゥワーッと広がる。
そして周囲の透明部分。
プルプルだがちゅるわーっと気持ちよく口の中で砕け、この強度が絶妙。極僅かな酸味を感じるがすぐ飲み込んでしまうと気付かないくらいで、余計なクセは全くない。
そして薄い皮。
香りはここがいちばん強く、とても爽やかな茸香がある。擬音で表すならすぃーん!って香りだ。
そしてゼリー部分を包んでいる膜程度かと思いきや、ここが生み出す弾力がまた絶妙で押し返される歯が喜ぶ感じさえする。
皮の歯切れはプツッという感じで一瞬だが、皮に触れているゼリー部分2~3mm程度だけが若干固めなのでソクッという歯応えを生んでいるんだな。

冷静に考えて、ゼリー部分と皮が美味しいのかな?と、端のほうだけを口にしてみた。

物足りない。
皮の爽やかさはよりはっきり感じるが、ゼリー部分の良さが何故かボヤけてしまう。
これ、グレバ部分の歯触りと風味があって初めて三位一体の完成度を誇っていたんだとようやく理解した。
プツソクップルちゅるわーからのサクサクシリシリでクゥワーッとすぃーんががっしり手をとる。
そして醤油が更にまとめ上げる。
やばい。
言ってて意味がわからない。
グルメ漫画だったらジェットストリームアタックくらってるところだった。
しかし食べてみて生まれてくる感想が殆ど趣味友遊のままだったことに驚きと嬉しさがあった。

でもこれ、どれかひとつでも苦手な人は不味いに繋がる諸刃の剣だろ。
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幼菌のバター炒め

趣味友遊では胡麻油で炒めてイマイチとあったが・・・わかる。
グレバの食感・風味はある意味安心感を感じる「加熱されました!」って感じの硬さ・風味に変わり、それ単体だけなら良いと思う。
しかし周囲の透明部分はプルプル感が変質し、しつこいほど舌に粘りつく。
皮の爽やかな香りも平凡なキノコ臭に変わり、外装の透明部分は僅かな酸味だけのネバネバなものに成り下がってしまった。

ぶっちゃけダメだ。

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いくら刺身が美味かったとはいえ、安全面でも万人に薦められないのでは意味がない。
だから茹でて冷蔵庫で冷やしてみた。

同様にスライスしてみて、安全度の増した刺身ならばどうだろうか?
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キヌガサタケの茹で幼菌刺身
調味は醤油・ポン酢・塩胡椒・塩胡麻油の4種で味を見てみる。

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うーん・・・微っっっ妙。
やっぱり冷やしてもゼリー部分の絶妙な歯切れは戻ってこないようだ。
ポン酢と醤油での味わいについては基本は生の時と変わらないのだが、グレバが硬くなり、逆にゼリーが柔らかくなってしまうことでバランスが崩壊している。
生のバランスを知ってしまっていると納得できるものではない。
グレバが微妙に土臭く感じるのも気になる点だが、塩胡麻油と塩胡椒で食べた際には不思議にこの土臭さが気にならなかった。
好みの問題だろうが、僅差で茹でて冷やした幼菌の刺身は塩胡椒で食べるほうがいいかなぁ。

残念だけど、オススメするほどの味とはいえない。

そして最後にもうひとつ試したものがある。

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ちょうどホワイトソースの缶の直径にピッタリだったので、茹でたものを出汁醤油に2日漬けてみた。
見た目だけピータンで全然違う味のものにならないかなぁと

思った

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スタッフ----------っ!!!!!

思ってたのと違うから!

ぜんぜん違うから!

そうじゃないでしょ
なんでグレバ溶けてんの!
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でろり

微細な砂泥っぽい舌触りにキノコと泥を混ぜたような香り。
成長したグレバのような異臭はないので食べられなくもないが美味しく利用するのも難しそう。
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頭の部分はまぁチャキチャキも残ってるし普通に食べられる。
しかしヘドロの沼に落とした竹輪にしか見えないな。
何かに応用するほどの量もないので味見ついでに食べきってしまった。
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問題はここだ。
このまま食べてみると
みたらし団子を放置しておいたらキノコ生えちゃいました!
みたいな味がする。
食感はどぅるんどぅるんで歯応え無し。
ミズウオのように味まで鼻水ではないので何かには使えそうだが・・・
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どぅるんどぅるんながらも固形感は僅かに残っているのでさいの目に切り

衣笠幼菌麦とろにしてみようか。
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コーヒーゼリー丼のようにしか見えないものを練成してしまった。

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あ、悪くないわコレ。
あれだけ出汁が染みた上でとろろに混ぜてるのにキノコの香りの存在感めっちゃ強いなこれ・・・
それでいて歯触りでとろろの滑らかさを全く阻害しないから余計に食べてて不思議な感じがする。
これで良いなら、成長したキヌガサタケの足元に残ってるゼリーの塊でできるんじゃないのかなぁ?

とりあえずはどうにか味的にカタチにはなったものの、やっぱりいちばん個性的で美味しいと感じたのは生幼菌の刺身だった。
食べてから3日経っても平気なので大丈夫だろうが、万人が大丈夫とは言い切れないのでオススメはできない。
茹でての刺身はたいして美味くないし、食べるなら自己責任の生幼菌か、ゼリーの有効利用かな。
ゼリーに関しては下味のつけ方によってまだまだ道が開けそうな気がするので、美味しい方法があったら教えてほしいなぁ。

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Comments & Trackbacks

  • コメント ( 16 )
  • トラックバック ( 0 )
  1. 変なものを練成してしまった  

    練成? なんですかそれ。

  2. おかげさまでしっかり楽しめました。
    もっと教えて下さいませ。

  3. おかげで、ずっと謎だった物体の正体が判明しました。まさか幼菌だったとは!・・・
    松露の類いと自分で勝手に決め付けていたので、スッキリしました!!

    • スッポンタケ科の卵はみんな同じに見えて私には見分けつかないですけどね。
      今回みたいに伸びてるのが一緒に生えててくれないとサッパリですわ。

  4. おさんぽついでにお●んぽ採取とは・・・・・。
    健啖隊動画でも軸を中心に食ってましたね、この茸。

    • 健啖隊って何かと思ったらあの人の動画ですか。見覚えありますわ。
      軸は万人向けに美味いですしね。あればあるだけ欲しいです。

  5. 衣笠幼菌麦とろ!マウンテン感が素晴らしい!
    キノコ採集は禁止されているので手が出せない…

    • よくわからない=危ない物感が強いですし、キノコの理解者はやっぱり限られるでしょうねぇ。
      成長したキヌガサやマツタケくらい間違えようのないものなんかは許可下りてもよさそうなもんですが。

  6. うおおおお!これは熱い挑戦ですね。
    スカートが短めでマクキヌガサタケかなぁと思いますが。
    スッポンタケもですが、中華スープは鉄板美味いですよね。
    しかし、生でタマタマが食べられるとは存じませんでした。
    食べるには臭くてデロデロな気持ち悪いものと思い込んで
    いましたが、ちょっと今後は熱い視線を投げかけてみようと思います。

    • マクキヌガサタケですか。あのへんみんな同じ味なんだろうなと思うと頑張って調べるに至りませんでしたw
      あの食感は大好きです。逆にイグチ系がポルチ以外そんなに好きでもないんですよね。

      生玉限定なのでリスクはあるかもしれませんが、口に合うかどうか試してみる価値はある個性でした。
      正直、美味いってホンマかいなと思っていたのですが「微妙×3=面白美味い」になるとは思いませんでした。
      個人的にはまた採ってもいいかなと思います。冷蔵庫で2~3日成長を止められるので時間操作もできますし。

      • イグチ苦手、わかる気がします!
        多くのイグチはザリガニバターに通じるようなエグいバター臭さみたいなのが感じられるようで、好んでは食べません。良く言えばコクがあるのですが・・・乾燥したのをニンニクと共にパスタソースの香り出しにちょっと使うくらいで。

        別枠なのはヤマドリタケとキンチャヤマイグチの傘で、美味しいと思います(他にもいくつかは有りますが)。ハナイグチ系のごく幼菌をナメコ的に汁ものやマリネに入れるのも好きですけど、それを目的に採りに行くほどではないですね。

        • イグチの仲間ってキノコ臭の中に独特の土臭さみたいなのがあるもの多いじゃないですか。
          あれがカビ臭い場所の内臓とらないナメクジの風味にちょっと似てるんですよね。

          ヤマドリとかモドキとかあのへんって、あの土臭さが殆どないですよね。
          旨味のベクトルもなんか全然違うし。
          土臭系ヌルヌルは最近良いナメコが安いからそれで十分だよなぁと。

          • カビ臭い場所の内臓とらないナメクジの風味ですかw 自分にとってはナゾ風味ですが、ヌメリ系イグチは大きくなると不味いと思ってまして、その事なのかもしれません。 傘の開いてないのロリロリな子を土に付けずに切り取ってくるようにしてます(土臭さが無いのは前提で、それでも好んでは食べないのですが)。ナメコ様は美味すぎて、たしかにヌメリ系をどれか箱舟に乗せるとしたらナメコが選ばれてヌメリ系イグチは全滅しますね。
            ヤマドリは昨日焼いて食べましたが、あの甘い汁、生卵のような滑らかなコクがあるのに香り麗しく、たまらんです^^

            • あかん、今年は自分の行動パターンとポルチーニのタイミングがかみ合わなすぎて寂しいですわ。
              イグチってすぐ大きくなるからよほど多い所じゃないと幼菌ばかりたくさん集めるのとか難しいですよね。

コメントしたければしてもいいのよ?(カエストハイッテナイ)

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