私はなんでもかんでも早く知りたい訳でもないんですよ。
そんなひとつがマツカサウオだったり。
美味しいという話は昔から聞いていたけど、できれば初めては交通事故的にでもいいから釣るか捕るかして食べたかった。水族館や水槽のガラスという壁を越えて中途半端に情報を体に入れてしまうと、初めての時に感動が薄まってしまうのが嫌だからだ。
見方によっては初めては好きな子とじゃなきゃ嫌だと言い張るDTみたいでキモイけど。
今まで幸いなことに目の前に売り物のマツカサウオが現れることはなかったが、ついに偶然出会ってしまった。
PAの鮮魚売場にて、イロモノ魚介類が入っていた水槽の中にそれはいた。
値札もついていないので聞いてみた。
「マツカサウオって売り物なんですか?」
「そうですよ」
「いくらですか?」
「300円です」
「ください」
人生には避けられないことはたくさんあるのです。
水槽から出されて無造作に横たわるマツカサたん・・・
良い。
こんなふうに置かれてるだけで人を満足させられるようになりたい。
第一背鰭の棘条が後ろ半分欠損していた。
これは網に刺さって絡まっていて、回収の時に折られたんじゃないかな。
飼育するには残念な感じだし、だから安かったのかも?
よく見ると頭部って透けてるんですね。
ちなみにマツカサウオって顎に発光バクテリアを共生させていて光るんだけど、最初は知られていなかった。
魚津水族館で飼育展示されていた時に停電があって、その時に
「うわぁぁぁぁぁ光ってるぅぅぅぅぅぅ!!!!!」
ってことがあって光ることが発見されたというのも魚好きの中ではわりと有名な話。
腹は内臓を守るように強固な装甲が発達しており動かない。
腹腔より後ろがフレキシブルに動くようになっており、こんな見た目だがハコフグより可動域は広い。
さて、マツカサウオが美味しいなんてのはもう有名な話で、ただ食べてもつまらないです。
こういったものを好む人の気持ちを代弁するというのもアリだと思うので、私ならこうするかなというのを試してみましょう。
来る、いつか釣れた時のための練習台となってもらいます。
腹側はタンカーの船底のような構造が強靭なのでめんどくさそうです。
本意ではないですが、今回は背中から攻めてみることにします。
背鰭のラインに沿ってハサミでチョキチョキ。
簡単に中の綺麗な身が姿を現します。
自転車のパンク修理のように隙間にマドラーを差し込んでいけば、いとも簡単に身が装甲から剥がれます。
小さくて切れないものであればバターナイフでもなんでもいいと思います。
残り半身も同じように切り出します。
いきりたった鰭が邪魔で横に固定もできず、したところで半身が抜けていると固定の意味がないので手の上で出刃を入れていきます。
案外簡単だったけど、小さいから出刃よりメスのほうが楽かもしれない。
ね?簡単でしょ?
今回は小型だったこともあり身が小さく少ないので半身ずつの味見程度。
半身は塩だけしてテフロンのフライパンでソテーしてみます。
うめぇぇぇぇぇ!!!!!
見た目でわからなかった脂が焼くことで溢れ出し、身はしっとりしていて優しい歯切れと舌触り。
上品なのにテクニシャンだなこいつ。
舌と脳が一瞬で落ちた。
残り半分は生中心にいこう。
刺身・胃袋ハラス肝臓の湯引き。
刺身もうまいなコレ!
透き通った歯応えながら皮目だけやや噛み応えあり、咀嚼していると明確に甘味が出てくるこれは脂の旨味だろうか?
胃袋は普通にコリコリ。
ハラスは湯引きしたら勿体無かったな。あまり意味が無い。
肝は醤油で食べるとウニとカワハギの肝のハイブリッドのような味わい。
醤油つけて口に含んで二噛みくらいウニっぽさがガツンときたかと思うと、ブワワワッと広がってくる旨味はカワハギの肝だ。
ということは・・・こうすれば・・・
んんんんんめぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
で、外装のほうはどうなったかというと
こんな感じ。
尻尾を洗濯バサミで挟んでぶら下げて1日干しただけで殆ど元に戻りました。
もう少し乾燥させたら接着して置物に。
空洞で透けるからケミホタル入れれば光らせることもできますね!
本番ではウロコに沿ってハサミを入れたほうがいいかな?
こういうイロモノを入手すると、「食べたい」と「手元に残しておきたい」という感情が相対して困った状況になるのが男の子というものではないでしょうか。
マツカサウオはどちらも叶えてくれるいい奴です。
さすがマツカサウオいろいろ楽しませてくれる。
一匹なのにバラエティパックなだけのことはあるね!
事前情報があるにも関わらずその反応ってことは…ガチでうまいんすね??
いいなあ…僕も機会を松ことにします^q^
ところで、なんでこんなさばき方するんだろう??
→あっでもマツカサたんの身やっぱりキレイ…ウットリ(もう疑問に思ったことは忘れた)
→最後 アイエエエ!?!?
それに苦心されただろうとは言え、綺麗にマツカサ部分残しましたね!
ガチで美味いですね。
解体は今回適当なので本当に簡単でしたよ。
本番はちゃんとした精密鋏でやると思います。
先日、魚屋でイナダの値段聞いたら300円だったんですよ。
冷やかしで聞いてみただけだったんだけど、想像以上に
安かったんで反射的に「ください」って言ってました(笑)。
釣り始めてから、前より魚を買って食べるようになりました(?)。
自分は初めて釣ったクロダイの嘴はとってあります。
食べた後にも楽しめるって良いですよね☆
イナダマダイヒラメは暴落してますからね。
面白いもの釣るとなんかゴミ増えちゃうんですよね。
はじめまして。最近こちらのサイトを知り、とてつもない面白さにどハマりしてしまいました!
博識でらして文章もお上手で…正直私、虫はとんでもなく苦手なのですが、調理後に美しく盛り付けられているのを見ると「食べてみたいかも」と思えてしまって自分でもびっくりしております。
ところで今回の記事に載っているPAでのお写真はせつなさんご本人様でしょうか?
なんだか俳優のようなオーラがあって素敵です。(とか言って違っていたら恥ずかしい)
また来ます!
ありがとうございます。
嬉しいけど褒めても何も出ないタダのオッサンです。
虫は先入観さえ払拭できればなんてことないものも多いですよ。
それでもキッツイのもありますが。
Joy of Eating……
どうせ食べるなら最大限に楽しみたいですね
伊豆で釣りしてればいつか釣れるんでしょうかね?
そのうちどこかで釣れそうなんですけどね。
こいつばっかりはよほど高密度にいるところでもわからないと狙って釣るのは難しそうです。
他の魚に先にエサ食われそうだし。
うーん、見れば見るほど意味わからんフォルムですね
マツカサって何だろうってずっと気になってたんですけど松ぼっくりの事なんですね
…言うほど似てるか?
開いてないマツカサはまさにこんな感じですね