後ほどまとめてUPするので順序が逆になるが、豊栄水産から魚種おまかせで魚を送って頂いた。
届いた中に3種のシタビラメが入っていた。
釣りをする利点は鮮度最高のものが手に入ることだけど、欠点はこうした同属複数種を揃えて釣るのが難しいところだ。
似たものは時間を空けてしまうと様々な条件で評価にズレが生じてしまうので、こういった比較ができるのはとても嬉しい。
こいつらの仲間は知らない人が見たらおそ松さんより見分けが難しいのがいる。
上から
クロウシノシタ (ウシノシタ科タイワンシタビラメ属)
イヌノシタ (ウシノシタ科イヌノシタ属)
コウライアカシタビラメ (ウシノシタ科イヌノシタ属)
クロウシノシタは関東沿岸でもよく釣れる普通種で、稀にチョイ投げで数十枚も釣れる爆釣モードも発生するので馴染み深い魚。
イヌノシタはフレンチでいうフュメ・ド・ポワソンの材料とされるアカシタビラメと区別されず流通している。アカシタビラメかイヌノシタどちらかと思ったが有鱗側の側線が2列なのでイヌノシタだね。
コウライアカシタビラメは刺身でも美味しいらしいが今回は3種で最も小型、食べ比べるに身が少ないので刺身は断念する。
剥いた。
本当はもっと鮮度よかったんだけど、他の魚を先に食べててこちらの都合で鮮度が落ちてしまって申し訳ない。
まず、明確にイヌノシタだけ皮が飛びぬけて楽に剥ける。
ウシノシタの仲間は大抵どれも皮剥きが簡単なのだが、そんな中でもより皮が薄く身との密着力も弱いように思う。これだけ違うと調理作業も楽で価値がある。
塩胡椒し、小麦粉をはたき、バターでムニエルにする。加熱や仕上がり温度差を減らしたいので1枚のフライパンで同時に焼いたが、30~35cmあってフライパンサイズ的に限界でボロったw
まぁ、味は一緒なので食べ比べには問題ない。
さて、どうか。
クロウシノシタ
ほんのりと血泥っぽい風味がある、食べ慣れたクロウシノシタの味。
身離れはよく食べ易い。
イヌノシタ
泥臭さやクセは全くなく、明らかに舌触りが滑らかで甘味が強く、香ばしさが抜群に良い。
いかにも高級な店で出るザマスといった旨味甘味と優しい舌触りだ。
コウライアカシタビラメ
筋肉同士の密着力が強く、クロウシノシタやイヌノシタより更に身離れがよく、どちらよりも明確に肉質がしっかりしている。
イヌノシタに及ばないながら甘さがあり、マイナス要素のクセもなく、最も小さい個体にも関わらず食べ応えという面では一番強い印象が残った。
おいしゅうございました。
正直、似たシタビラメが3種並んだ時点で嫌な予感しかしなかった。
夏休みなだけに、またカブトムシの秘密の出番かよとまで思ったが、そんなふうに表現できる味ではなく全て個性が違っていて意外だった。属の違いでわかれるというような単純なものでもなかったのでやっぱり侮れない。
個人的なムニエルの評価としては
イヌノシタ > コウライアカシタビラメ >> クロウシノシタ
ではもうひとつの料理でもその差が出るのか食べ比べてみたい。
「げたのかけ飯」
げたというのは地方名で、ウシノシタの仲間はゲタとかクツゾコとか平べったいからそんな感じの呼び名が多い。
ムニエルで食べ比べたかったので骨は使えず、予め切り出しておいた裏側の身だけを使用。
具材と身を炒め、水を足して煮出して魚の出汁の力でまとめていくのが普通なのだと思うが、食べ比べるに今回は量が少ないのと、骨が使えないのと、同時に3種食べ比べるには難があるので冷汁仕様にアレンジする。
単にクソ暑いから3杯食べるにはこうでないと辛いというのも正直なところだ。
・・・ますます差が出ないのではないかと不安になるが、果たしてどうだろうか。
量の違いで3種の味に差が出ては意味がないので最も小さいコウライアカシタビラメの24gに合わせて準備する。
ゴボウ・ニンジンを軽く炒め、水と少量の出汁を入れて煮る。
煮立ったら少量の味噌を加え、これを共通のベースの汁とする。
別の鍋を準備し、先程の汁をお玉に3杯移し、3種の身をひとつずつ入れてベースが同じで魚だけ違う3種の汁を作る。
御飯と共に冷蔵庫で冷やしておく。
冷御飯160gに対して1種ずつの汁をぶっかけ、大葉と茗荷、そして氷をぶっこんでかき混ぜて完成。
さて、テイスティングしてみましょう。
クロウシノシタ冷かけ飯
うまい。
普通に出汁も効いているのでいまいちクロウシノシタのよさがわからないが。
イヌノシタ冷かけ飯
うまい。
・・・なんか違うか?
よく見ると身が半分くらい溶けてなくなってるようにも感じるな。
コウライアカシタビラメ冷かけ飯
うまい。
あれ?みんな同じじゃね?
クロウシノシタに戻ってみる。
あ、やっぱこいつ泥っぽさが残るわ。
特に、今回は冷汁仕立にしたから余計感じるんだろう。
おそらくアツアツ出来立てでぶっかけて食べたら殆ど違いがわからないんじゃなかろうか。
うっかり父さんと母さんが離婚するとこだったわw
一口ずつ3ループしてみて、イヌノシタはやはり身が柔らかく脆い、コウライアカシタビラメは明確に身がしっかりしていて味も残っていることがわかった。
僅差だが、げたのかけ飯の順位的には
コウライアカシタビラメ > イヌノシタ > クロウシノシタ
と感じた。ゆえに、この後はクロウシノシタで作ったものから順に食べ切っていったので次第に満腹感が増すはずなのだが、3杯目に食べたコウライアカシタビラメのものが最も美味しく感じたので、個人的な評価としてはこれで良いのだろうと思った。
このしっかりした肉質が刺身で生きるんだろうなぁ。
適材適所で使い分けるのがいいんだろうけど、自分が店主だったらこの差がわかるめんどくさい食通には店に来てほしくない気分の時がありそうだ。
個人での評価なのでどうしても主観にならざるをえず、それでも出来る限りバラツキを抑えたいと考えこうなったのだが、冷汁での比較テストは冷蔵庫スペースを占拠しすぎるという知見が得られた。(そこ!?
クロウシノシタって見た目が靴底よりも黒タイツに似てますよね。
感触はよく分からないですけど。
黒ストじゃなくて黒タイですか。
どうかなぁ。
そういえば感触といえば、触ると黄色い汁出す時あるけど、あれなんなんですかね。
実家のある岡山でゲタミンチのつみれなんかを食べてましたけど、ゲタの種とか標準和名とか全く気にしてませんでしたw
誤差範囲すぎて普通考えないですよね。
でも比べるとやっぱりアオシタは美味しかったです。
先日昆虫食について調べていたらこちらのサイトにたどり着き、思慮深い観点と文章の巧みさに魅了され2,3日でバックナンバーをほぼ読破してしまいました。笑
アンチコメントも多いようですが、感情論ではない管理人さんのきちんとした根拠に基づいた生命観は見上げるばかりです。まだ学生の身ですが、独り立ちしたら管理人さんのように食に対して向き合える人間になりたいと思うようになりました。
これからの更新も応援しています。いち新規ファンより
それはそれはお疲れ様ですw
感情は大切だけど、それに囚われすぎるから戦争もなくならない訳で。
一度出してしまった言葉の力は抑えにくいものなので、冷静に考えて対応したいものですよね。
・・・うちの母に託したら・・・キスも含めて唐揚げにされた思い出がよみがえりました。あ・・・なんか縞々のもイタ様な思い出が・・・ああああ!エイに刺された思い出が!!
僕の何かの琴線に触れてしまったみたいです”ウシノシタ”・・・
ピタゴラトラウマスイッチでしたかw