ざざむし。

タイワンガザミ(+ガン汁)

ザックリ言うとワタリガニ。
ノコギリガザミの類は風味が極端に違うのでちょっと置いといて、ガザミ・タイワンガザミ・ジャノメガザミ・ヒラツメガニ・シマイシガニ・イシガニなど地域によって集中して捕れる種が違ってくるのですが、味の差はあれど、だいたい同じに扱ってもらって良いと思います。
ただ、汚染度の高い港湾部でのイシガニは移動性が低いので油臭いこともあり体に悪そうなので不適として除外。
最も大型となるのがガザミとタイワンガザミで、甲の厚さではガザミがダントツです。

べつにタイワンガザミに限る必要ないのですが、切欠というか、確信に至ったのがこのあたりなのでタイワンガザミを中心に。
シーズンも真っ只中なので、いまのうちに書いておこうと思います。
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ボディーの薄さのせいでガザミほどの重量はないタイワンガザミですが、やたらハサミが大きくなるカニで両腕を広げたサイズは最大60㎝に迫るものもいます。
最近は45㎝前後のものが数杯混ざれば上々といった感じですが、中小サイズも含めればベストシーズン中は半日で4~50杯という釣果もザラ。
細かいのはリリースしてますけどね。
これが関東の某エリアでは毎年秋に3週間ほど続きます。
エリアによって時期や密度がズレるのですが、時期を外すとポツポツ捕れる程度。
ガザミやジャノメガザミも捕れるのですが、相模湾でこのサイズでこれだけまとまるのはタイワンガザミくらいです。

ワタリガニ1なんといってもオスのこの美しい青。
海中から上がってくる重さと見た目にテンションが上がります。
しばらく脱皮していない、甲が固くて重いものを選びキープします。
殻が少し柔らかくて軽いやつは脱皮後間もないものです。
加熱すると出汁だけ出て身は信じられないほどスッカスカなので食べてて罪悪感が沸いてきますから、大きくてもリリースする勇気を。

キープする際は輪ゴムでハサミの自由を奪い、ネット等に入れて帰る直前まで海中で活かしておくのが重要。
これには理由があります。
・喧嘩してボロボロになるのを防ぐ
・扱い易くする
・魚と違い酸欠に気付きにくいのでバケツだと弱ってしまうことがある
現場が家の前なら良いですが、普通は遠いですからね。
輪ゴムで縛っておかないと、帰る頃にはバラバラで脚がなくなってたりします。

そして帰る際には海中から上げ、ネットのまま水を入れずに持ち帰ります。
氷が入ったクーラーの場合は絶対に氷に接触させないこと。
活かして帰ることで、同じ種のカニでもスーパーでパック売りされているものとは全く風味の違ったものとなります。
ワタリガニ2蒸すか茹でれば真っ赤に。
こんなのが釣った魚のアラを冷凍しておいたもので、要するにタダで捕れるんだからやめられませんね。

特大ならたまには焚き火にくべて焼き蟹で食べたいんですけどね。
昔、ケガニもどきで有名なトゲクリガニですら捕りたてを焚き火で焼いて食べて驚いたことがあるんですが、焼き上げのタイミングが難しいけど堪らない味に化けます。
生きたものを焼く場合は一撃入れて締めてから焼かないと自切して足がバラバラになってしまうので注意。
まぁ、そもそも関東では端のほうに行かないとロクに焚き火も許されないから不便なんですけどね。

茹でる場合も蒸す場合も、甲羅の隙間やフンドシの中はよく洗ってからにしましょう。
蒸す場合は裏返して、フンドシに少し塩する程度で蒸しましょう。もともと塩分あるので多すぎ注意。
逆さにすることでカニエキスの流出が最小限に抑えられます。

ワタリガニ3カニミソもたっぷり!
メスには内子も入ってたり。
内子に確信があるなら、自己責任でレアに蒸しあげると激ヤバなんですけどね。
タイワンガザミの場合は梅雨の頃のほうが中型サイズでも内子率高いので、覚えておくと良いでしょう。

ちなみにカニミソの味もワタリの種類で違いがありますね。
どれがいちばんとかは個人の趣向もあるので断言できませんが、「活かして持ち帰れば」どれも最大値の美味さを楽しめます。

大型はともかく、ヒラツメガニや中~小型タイワンガザミは甲羅と鰓をはずして販売されているものがかなり多いのですが、あれは残念すぎて買う気になれなくなります。
カニやエビは死ぬと急速に劣化が進み、血液が黒化して悪臭に変わっていきますから、それを避けて商品価値を長くする為なんでしょう。
自分で捕獲すれば活かして持ち帰るのも容易なので
同じカニでも数倍の価値を味わえます。
ワタリガニ4でっかいのは鍋にしても見栄えがいいね!
もちろん、出汁もハンパなく出るので、締めのカニ雑炊はたまんねぇ!

ワタリガニというと日本では4大蟹(ケガニ・ズワイガニ・タラバガニ・ハナサキガニ)の影に隠れて中華食材のひとつ程度にしか考えられていない人が多いと思うんですが、軽く見るには勿体無い実力があります。

かにまみれかにまみれ

そりゃね、私もケガニやズワイガニは大好きですよ。
だが活けでも冷凍でも良いものに限りますね。
でも良いものはそれなりの価格。
確かに「身を食べる」となると、脚の太さや食べ応えも重要になるので4大蟹の下にされるのも仕方がない部分があると思いますが、正直、風味の抜けた冷凍の二流4大蟹を食べるくらいなら、完璧な状態のワタリのほうが断然美味いと思う。
それどころか、カニカマのほうが美味くね?
なんて思うようなのすらあるよね。
最近のカニカマ製造技術って凄いw

ワタリガニ捕ったり釣ったりしてると、よく散歩してる地元のジジババに驚かれるのです。
「何十年も住んでるけど、そんなのいるなんて知らなかったよ!」
それくらい、地元の人でも気付かないうちに現れて消えていくものが実はいろいろあるんじゃないでしょうか。
ワタリガニ5そんな訳で、身は大きさこそ小さめながら風味は濃厚なワタリガニ。
炒飯にも餡にもワタリを使いまくった
スーパー餡かけカニチャーハンとかw
カニ強すぎてくどいわwww
でも、カニ使ってるんだかどうだかわからない「カニ缶で作ったカニチャーハン」と比べたら、
座標から見失うくらい対極に美味さ圏外だよね。

他にもチリクラブとかケジャンとか、めんどくさかったら味噌汁に入れるだけとかでも格別。
小型しか捕れなかったら味噌汁もいいけど、素揚げしてバリバリ食べてもいい。
そして、元々はモクズガニで作られていた
「ガン汁」
これは旧ざざむしでも取り上げたのだけど、失敗したとか、うまくいかないとかいう話を聞きました。
今では同様にレシピを紹介しているサイトは多いのですが、毎年作ってて洗練され、慣れてきたので失敗のない方を記しておこうかと思います。
多分、他所にないことも書いてると思うので参考にしてみてちょーだい。
↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓

ざざむし。流<がん汁>の作り方

ワタリガニで作る場合はモクズガニと違ってジストマ等の寄生虫の恐れがないので多少安心。
あと塩分量の調整も簡単なので、初めての人でも失敗が少ないです。

まずは生きたワタリガニを適宜用意、汚れを洗い流します。
小型でも構いませんが、あまり少ないと作りにくいので少なくても4~500g以上はあったほうが楽でしょう。
今回は1kg以上用意。

ガン汁1ボディーと脚の付け根やふんどしの中などに汚れが溜まり易いので念入りに洗いましょう。
ふんどしは取ってしまって構いません。
ふんどしを開けようとすると急に暴れるので注意しましょう。

次に甲羅を外します。
ガン汁2ここで注意点。
口に繋がった袋状の部分を絶対潰さないこと。
甲羅を剥がしてから口を引っ張るとくっついてくるので、このまま捨てると良いです。
これが非常に苦く、エグ味に繋がるものと思われます。
丸ごと潰すのが本来の作り方なのですが、ここで後々違いが出てきます。
ガン汁3次いで、潰す準備にかかります。
ここで楽をしようとフードプロセッサを使う人が多いですが、あれはダメだね。
私も使ってみたことはあるけど、微細になった甲羅の粉末がサラシ濾過をくぐりぬけて舌触りを悪くする。
一度やっただけでコリャだめだと思いました。

脚はハサミで1.5㎝前後にバラバラに刻みます。
潰す量を減らし楽にする為に、甲羅に入ったカニミソや脱皮前の蛋白の塊を隅々まで掻き出して混ぜてしまいましょう。
中身を取ったら甲羅はもう不要です。
ガン汁4するとこんな感じになります。
ここまで来ると擂粉木で案外簡単に潰れてくれます。
大変そうなイメージがありますが、んなこたぁ~ないです。

ぐっしゃぐっしゃガン汁5ほらね。
で、この量を覚えておきましょう。
後でこの量の2.5倍前後の水を使うことになります。
少なすぎれば固まりすぎてカニ豆腐になってしまうし、多すぎれば薄いものになってしまいます。
ガン汁6まず1回目
そのままサラシに包んで絞っていきます。
ドロドロの100%カニ液が溜まっていきます。
どう見ても美味いものに化けるとは思えない見た目ですが信じましょう。
粘性が高めなので若干の力が必要です。
ガン汁7さて、ここから先ほど潰したカニの2.5倍前後といった水を3等分に分けて残りカスを丁寧に揉み出し、絞って追加していきます。
回を増す毎に粘性はなくなり、楽になっていくはずです。
カニのサイズも数もまちまちなのでレシピなのに大抵どこのサイトにも書かれておらず目分量なのですが、おそらく失敗する人の最大要因はこの水分量だと思います。ガン汁8計4回絞ったものです。
ドロドロすぎず、薄すぎず。
これを鍋に入れ、弱火~中火でゆっくりかき混ぜながら加熱していきます。
かき混ぜるスピードは遅いほど大粒に、早いほど細かくサラサラになると思ってください。
今回は2秒で1回転くらいです。

モクズガニや上海蟹の場合は淡水蟹なので塩や醤油の添加も肝になりますが、ワタリガニの場合は適度に塩分も含まれているからか、添加しなくても勝手に凝固します。
それだけに、放置して加熱するとどんどん固まりますし、濃度が濃いと尚更です。

味つけはプレーンならば塩分を補う程度に塩ひとつまみ、または醤油小さじ1程度を、液体が沸騰直前の対流を始めたあたりで投入。
(淡水蟹の場合は当然、もっと多めに塩分を投入します)
沸騰がはじまった途端に雪の結晶のように
カニ蛋白の花が咲き、急激にスープが澄み渡ります。
ガン汁9具を入れる場合はこの調味の時点で一緒にぶち込んでしまってOKです。
味噌仕立ての場合は具があったほうがいい感じに仕上がりますね。
ただ、ネギやセリ科の植物の場合は、適量だと良いのですがある程度の量を越えると相殺してかカニの風味が飛ぶので注意。
これはイセエビなどのエビでも同様なことが言えますね。

好みにもよりますが、なんだかんだでプレーンが最もそのカニの特徴が浮き彫りになって好きです。

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これが今のところ私が行き着いたガン汁のベスト状態です。
できたてを口にすれば、
ワタリガニチョップが脳天を貫きます。

この粒の大きさも好み次第ですが、このサイズに仕上がると
フワフワな結晶が味蕾を刺激しながら舌を転がり、勝手に喉に消えていきます。
まさに飲むカニ。
具というより、薬味を入れるならば熱々な仕上がりを口にする直前に刻んだ三つ葉や小ネギを少し入れるだけというのが、両者の香りが主張しつつも潰し合わなくて良いように感じます。

そして何がいいって、

冷製ガン汁なんと冷製でも美味いんです!
余計な部分を取り去っているからかワタリガニゆえか、プレーンでも全くエグ味や臭味は現れない。
カニミソは一緒に潰しているので仕上がりの美しさだけでなく、結晶にもスープにも良さのみを残します。
濃厚なカニ風味の弾丸がテンプル直撃。
澄み切った上澄みだけでも気が遠くなるような至極のスープとなっているのでカニの本気を感じ取れるでしょう。

こんなの料亭で食べたら一杯いくらするんでしょうか?
でも、作り方がシンプルなだけに素材の良さと丁寧さが結果に直結するので、命を頂くことに敬意を払って調理するだけで誰でも味わえると思います。
なんせ、堤防で適当に捕れるんですからw
砂浜や堤防で1~2時間で何十杯も捕れるヒラツメガニなんかにも向いてる調理法なのでやってみるといいですよ。

今年も美味しかったです。
海の恵みに感謝。

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