ざざむし。





寄生蟹であるピンノをまとめて食べてみる

最近チリメンモンスターが混入物クレームとして話題になり、そしてアニサキスが話題になり、なんでもかんでも混ざっているものが悪みたいな社会の傾向に反吐が出ます。
正直、そんなに混入物が嫌いならサプリ集めて培地上の細菌みたいな生活してろよと思いますね。
一方で希少糖だのといった微量成分みたいなものはもてはやされ飛びつく傾向が強いこの社会。アホなんじゃないかと。
アレルギー持ちの人でもない限り、体に問題のない混入物は味や食感に問題がなければ栄養成分が+αだと前向きに考えればよいだけのことです。

寄生虫という言葉にアレルギー反応を示す人もいるようですが、寄生虫と定義されるものには原生動物門・有櫛動物門・中生動物門・扁形動物門・線形動物門・類線形動物門・鉤頭動物門・紐形動物門・環形動物門・節足動物門・舌形動物門など様々なものがあります。
魚についていてよく問題になるアニサキスやシュードテラノーパは線形動物門、それらのせいでとばっちりをくらっている無害なニベリニアは扁形動物門。ずら~っと流し見して一般の人にも聞き覚えのあるであろうものが節足動物門で、寄生バチとか寄生ガニなどがそれにあたり、一見そうは見えないけど先日のメダマイカリムシなんかも節足動物門になる。
つまり、寄生虫というのはあくまでも住処を他の生物上に置いているだけで、人体に有害無害は全く別の問題。よく知ろうともせずに寄生虫という言葉だけに踊らされて嫌う行為を見ていると、世間の情報や空気に踊らされてナチュラルに差別などしそうな人に思えてならない。

今回はそんな寄生虫の中でも有名な寄生ガニのお話。

アサリの味噌汁を食べていてカニが出てきたっていう経験がある人はかなり多いのではないかと思う。姿がカニなだけで寄生虫でも受け入れられることが多いというのはとても不思議ですね。これが微妙な違いでクモ型だったら世間の反応はどうなんだろう。
カニの赤ちゃんが貝に食べられてたなんて勘違いする人もいるようですが、5mm~1.5cmという小ささでも立派な大人。それがカクレガニの仲間で、アサリだけでなく牡蠣やタイラギなど様々な二枚貝に寄生しているカニです。

今回は先日のイシダイ狙いの際の副産物。
ムールガイことムラサキイガイを剥いていたら10個に1匹くらいの高確率で出てきたので途中から集めてみました。
飼育もできるカニらしいのですが、なかなか普通の人は生きた状態で出会うことのないカニではないかと思います。ましてやこの数の貝を剥くというのはアルバイトの貝剥きやカワハギやイシダイなどの特殊な釣りでもなければそうそうないことで。

サタデーナイトフィーバー

持って帰るまで3回しか水換えなかったのに全部生きてた。
私もこんなに生体を集めたのは初めてです。

船上ではオオシロピンノにしては黒いなぁと思ってたくらいでしたが、この黒さの正体は卵だったんですね。
しかし40匹近くいると壮観だなぁ。

茹でたら味噌汁から出てきたようにクシャッとするだけで味の抜けたものになるのは目に見えてるし、揚げればサクサクするだけの何かになりそうだし、何も考えず持ち帰ったはいいがどうしたものか。


少量の油を敷き、水分がなくなるように炒っていきます。
ちょっとつまんでみると、味噌汁から出てきた時には感じられないカニカニしさがある。
カニカニしてる。


ノビルと大根葉を刻んで強めに塩炒りし、水分を飛ばしカリカリにします。


炒ったカニと合わせて胡麻も足して仕上げます。


ピンノふりかけ出来上がり。


ふりかけていただきましょう。
もういい香りがしています。


うまい。
さすがにこんなに小さくても湯通しもせず35匹も炒めるとしっかり香ばしいカニの風味がありますね。サクサク感も優しいので全く御飯の邪魔になりません。外骨格はコオロギやオンブバッタのボディー程度のサクサク感です。
しかし卵の風味がどちらかというとエビ。
どうせ昆虫寄りになるんじゃないかと思ったのですが、殻の風味こそ半分昆虫っぽいものの中身はやっぱりエビカニ系ですね。


背中までビッシリと内子が詰まっているのがわかる通り、風味の半分は内子のおかげです。
卵を持たない時期だったら違った結果になったかもしれない。
これは嫌な風味が皆無なのでミナミコメツキガニなど足元にも及ばぬくらいには美味い。

剥いてて出てきたのを海に落としてもまず魚に食われるだけだし、次回も同様な頻度で出てきたらどうやって食べようかなぁ。煎餅なんかじゃ味の想像ついちゃうし。


ちなみに昔も書いたのですが、こんな小さな寄生ガニにも更に寄生虫であるフクロムシの仲間がつきます。
これは1993年に味噌汁から発掘したもの。
フクロムシもエビ・カニやヤドカリからアナジャコなど様々な甲殻類に付く寄生虫ですが、フクロムシも同じ節足動物門の生物だったりします。ざっくり言うと「個性はみんな違うよ!」ってやつです。探そうと思って見つかるほどの頻度では付いていませんが、ひょっこり出てきた時も見た目で嫌わないであげてください。
オス蟹を操ってメスの行動をさせちゃったりはするけど、食べても問題はないです。

寄生虫なんてものはみんな気付かず食べてきたものなんですよ。
ヒトが決めた分類でしかないので、エサを貰って太るだけの家畜でないならば危険性くらいは冷静に判断して食べ物に向き合いたいものですね。

URL :
TRACKBACK URL :

Comments & Trackbacks

  • コメント ( 48 )
  • トラックバック ( 0 )
  1. ピンノやチリメンモンスターはイケるけど、アニサキスやフクロムシはキツいかなぁ見た目的に……

  2. 蟹の赤ちゃんだと思っていました
    他の記事も今から読んでみます
    面白いです

  3. 人間の脳って不思議だなぁ
    蟹って認識した途端に旨そうに思えるんだから。
    ムカデさんとか蜘蛛さんだと気持ち悪く感じるのに。
    どういう構造してんだろう?

    • 構造関係ないだろ…
      鹿「鹿の脳って不思議だなぁ。突然近づいてきた四足動物が仲間だって認識した途端に安全だと思えるんだから。
      ライオンやチーターだと恐怖に感じるのに。
      どういう構造してんだろう?」
      って言ってるのと同じじゃん。単に知識の問題じゃん。

      話を戻すと人間はムカデとかクモとか食わないじゃん?
      でも蟹は食うじゃん。食べ物じゃん。
      だから
      ・ムカデ・クモ→異物・食えない・ばっちぃ
      ・蟹→食べ物。美味。
      と知識で認識してるだけ。何の不思議もない。

      これがもし、ムカデも蟹を知らない人でも同じ反応になるなら別だよ?
      A「おい!味噌汁を飲んでたらよくわからん長いモンがでてきた!気持ち悪い!」
      B「あ、これムカデだな。窓から入ったんだろう」
      A「あーひどい目にあった。んぐぐ?また何か石みたいなのが入ってたぞ!」
      B「これはピンノだな。蟹だよ。」
      A「蟹?よくわからんがこれは許せる。旨そうだ。」
      ってことになるなら、人の脳って不思議、になるけど。

      • なんで喧嘩腰なんだ?

      • 喧嘩腰だけど言いたい事はわかる

        僕は僕なりに自然を大切にしたい派だからせつなさんの言ってる事に共感するけど、でもイアンさんの言う、そういった事を無視したら、せつなさんの言ってる大切な事が、一般の人に伝わりにくいってのは最近よく感じる。

        まぁセツナさんがどういう気持ちでブログを更新してるかわからないけど社会を変える伝え方ってのは大事にした方がいいと思う

        • 社会を変えるのって難しいし、相当労力が必要だから社会と共生するやり方のほうが賢い。
          クソ食らえと思うこともあるかも知れないが、自分もその一員であることに変わりなく、突っぱねるうちはいずれ完全に追い出されてしまう。
          だからどこかで皆折り合いを付けて、集団で動くのだ。

      • 私大底辺理系のちんけな頭に何期待しても無駄でしょ
        今コロナで話題の大学出身だしね

  4. 永○園がアップを始めたようです

  5. フクロムシに寄生する生物の登場が待たれますね。そしてその生物に寄生する生物にさらに寄生する生物にまたまた寄生する・・・

  6. そういや、ちりめんモンスター減ったなぁ

  7. いそべまきまき

    こ~ゆ~形状のカニは 脚を内側にを纏めると ハエトリグモに酷似していますね。
    ハエトリグモがどんな味がするか興味がありま…いえ なんでもないです。

  8. 以前紹介されてたミナミコメツキガニもですが、こういうちっちゃいカニって見た目や仕草が凄くキュートで好きです。まぁアサリの味噌汁に入ってたらそのまんま食べますけど。

    しかしカニ単体で調理しても普通に美味しいとは意外。小さいながらちゃんと蟹の味がしたり甲羅ごと食感を楽しめるあたり、サワガニを更に縮小した感じですかね?

    • サワガニはもっと殻のインパクトが強くて香ばしさをダイレクトに楽しむものだと思いますが、ここまで小さいとカニ風味もある何か違うものって感じがします。
      ピンノは1ドットみたいな目も好きです。

  9. こないだハマグリを食べてたらシャクッという食感があって、しまった蟹入ってた、気付いてたら観察したものを、と悔しく思ったのを思い出しました。これだけあると食べごたえありそうです

  10. なんだろう赤いだけで急に美味そうに見える

  11. 味噌汁で居るとシャリっとした歯ごたえだけで味は感じないって事は味噌汁にカニ出汁が溶け出して旨くなっているって事なんでしょうね。「あ、得した。味噌汁旨い」ですね。毎年50kgくらい浜名湖で採ってますがめったにピンノが居ないのが残念。

    • そのまま濃縮してこの程度なので出ている出汁も1匹2匹じゃ何の役にも立ってないでしょうね。
      ピンノは産卵以外での移動が望めないのでいないところには殆どいないんでしょうね。
      同じイガイでも去年まで全然いなかったですからね。

  12. >これが微妙な違いでクモ型だったら世間の反応はどうなんだろう。

    今年、某漁場で局所的に大量発生しているカイヤドリウミグモ(アサリ専住)を集めてきて
    ふりかけを作る記事を所望

  13. はじめまして、ピンノは前に味噌汁のアサリに入っていたのを食べたことがありましたがその時は無味というか特に味がしませんでした。やっぱり味噌汁の中の一匹だと風味が負けるんですかね…

  14. ピンノ普通に美味しそうですね~。
    タイラギに入ってるエビなら食べたこと有ります、柔らかくてそのままレンチンして美味しかったです。

  15. 昨日食べたイタヤガイにも赤いピンノが1匹付いてました。
    食べてみたんですがバター醤油に完全に負けていて味はわからず・・・。

    >外骨格はコオロギやオンブバッタのボディー程度のサクサク感です。
    パリパリとした食感でしたがなるほどバッタ達のボディもそんな食感なんですね。
    勉強になります。

    • 筋肉の量が少なすぎて濃い味付けしたら間違いなくなんだかわからないでしょうね。
      揚げた小型バッタの柔らかさは近いですね。

  16. カニらしさがあるんですね。意外です。

  17. アニサキスの話題もうんざりな感じですが
    今話題のイカの活け締め動画のツイッターの反応もホントうんざりしますね

    • あれは予定調和のクソリプに世間の雑魚が釣られまくっただけだと思ってスルーしてましたが、どちらかというとそれにアフィサイトがハイエナのように群がったのがウンザリでしたよ。

  18. 昔の牡蠣を蒸して食べてた時にに出てきた事があります!見た事無かったので最高にテンションが上がりましたw

    そしてアニサキスの風評被害か、魚の値段が半値位迄下がって商売あがったりです(ノω`)の割にスーパーなどで見かける魚の値段は変わらないのは何でなんでしょう…

    • 価格に関しては廃棄率を考えると同じ利益を出すには仕方ないバランスがあると思います。
      薄利多売にもっていくかどうかは店の考え方次第でしょうね。

  19. ノビルロスから1月以上、ノビルうらやましいです。
    そういえば昔、磯で採取したヒバリガイには9割くらいピンノ入ってましたね。

  20. はじめまして。子供のころにアサリの味噌汁から出てきたカニの正体がわかって感動
    寄生虫が怖いくせに有機オーガニック野菜なんかを買う人の気がしれないw
    みんな等しく洗ってよく噛めばいいじゃない!
    あ、でもスーパーで買ったチンゲンサイにヨトウガの卵がしっかり着いていたときはなんともいえない気持ちになりましたw

    • 自分で野菜育てるとほんと有機栽培ご苦労様ですって思いますわ。
      無毒種で不味くなければまとめて美味しく食べられるようになってしまえば最強ですね。
      大抵は肝心の野菜のほうが不味くなるからダメなんだけど。

  21. 貴重な食レポありがとうございます。
    数まとまること確かに無いですねこれは…見てるだけで香ばしさが伝わってきそうです。
    イガイの激臭汁でせつなさんのパンツは今回大丈夫だったのかも気になります

  22. 昔、アサリよりもハマグリによく入ってましたねえ。吸い物になって貝の口が開いてからしか見たことが無かったので生きているのは初めて見ました。吸い物になっちゃうと味はあまりないんですよね。とりあえず「見っけ!」とか言って食べてましたが(笑)最近浜吸い食べてないなあ。

    • 汁物から出てくるとまず殆どの場合は味ないですよね。僅かな旨味が出汁に全部出てしまってるんでしょう。

      ところでコメント投稿が何故かスパム判定に引っかかってました。

コメントしたければしてもいいのよ?(カエストハイッテナイ)

*
*
* (公開されません)

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

よく読まれている記事らしい

Return Top
ツールバーへスキップ