今年も釣り界隈では変わらず残念な報告を多く目にしました。
中でも残念なのは堤防や磯で目的の魚以外のターゲットを打ち捨てていく輩の存在。
干乾びたフグを特に多く目にしますが、ボラやウグイ、ヒイラギ、ベラ、アイゴ、エソなどもよく見られます。いずれも食べ方がわかっていればとても美味しい存在ですが、捨てていく人はおそらくそこが問題ではない民度の問題かと思います。不要なら不要で目の前の水に返すだけでよいのに、それをしないのはお気持ちの表れでしかありません。
だからここでどんなに高説垂れたところでそのような方々への直接の影響はないでしょう。
情報が流しやすく捉えやすくなったこの時代だから目立つというのもあるのですが、それにしてもなくならないという事実に間違いはありません。
一方で、そのような外道と呼ばれる魚についても、どうやったら美味しいのかという疑問は潜在的にわりとあるようです。
検索すればいくらでも出てくるので片っ端から試せばいいと思うんですけど、まぁ自分でもいきなり正解を引けることばかりではないので、よほど好きでないと比較する前にハズレを引いてしまい、その魚が以後ターゲット認識できなくなるというのはあるだろうなぁと想像できます。
条件まで細かく書いてあるところって案外少ないですし、信頼できる情報にたどり着くまでも手間ですしね。
そんな訳で、当たり前になると「べつに言わなくてもな」と思いがちなのですが、基本に立ち返って「当たり前にいるけれど目に留められないような魚」にも意識的に焦点を当てていかないといけないなと思うのです。
そこで今回はエソです。
エソも地域によっては喜ぶ人も多いのですが、どちらかというと外道として蔑ろにされがちな魚。残念ながらたまに干されているのを見ます。
トカゲエソちゃん。
一言にエソと言っても多くの種類があり、小型から大型になるものまで様々です。
マエソ、アカエソ、トカゲエソあたりは陸からでも結構釣れることがありますが、上の写真程度の小型ならば骨が細いので焼いても揚げても比較的小骨も気にせず食べやすく、さほど悩みません。困りがちなのは中途半端なサイズ以上のものかなという気がします。
なにより問題になるのは無数に入っている長い小骨なので。こちらでは今年エソが豊漁すぎまして。
浅かろうが深かろうがエサでもルアーでも何やってても釣れてくる。終いにはイカ狙っていても釣れる始末。
定置網にも異様な数が入っていたそうですが、鮮魚として喜ぶ人がいないので店頭では一切見かけませんでした。関西方面では喜ばれる素材ですが、こちらではまともな値がつかないようで・・・・どこへ流れているんだろう?
かくいう私も、中途半端サイズは調理に困るので釣れてもリリースすることが多いです。最初から数本釣れることがわかっているならキープもしやすいんですが、未来が見える能力なんて持ち合わせていないので。
幸い、エソは水圧にも強く簡単に回復できる魚なので不要ならば優しくリリースしてあげればよいでしょう。
このくらいあれば1匹で肉量十分なので楽勝でキープです。
ワニエソは80㎝以上にもなるんですよね。
代表的なエソの仲間のチャームポイントは外まではみ出た無数の歯。
一見海底でボーッとしていそうですが、アタックしながら意外に上まで上がってくるので攻撃して外に飛び出た歯で怯んだエサを咥えなおすようなイメージがあります。中層で釣れることもあるのでエサが多い時には意外にアクティブなんでしょうかね。
55㎝超えているわりにちょっと細め。
さばいていきます。
一見するとあまり脂のなさそうな身。
いつ見てもこんな感じですね。
はい。
鱗はとりやすいし、刺さるような鰭もないし、さばき易さはかなり楽な部類かと思います。やはり嫌われる要因は小骨なんだろうなぁ。
まずは誰でもやってる基本的な調理から。
エソといったらすり身ですよね。
皮をとって粗切りしたらフードプロセッサでガーッと。
これが小骨のない魚や小骨を取り除きやすい魚の場合なら、まな板で叩いてすり鉢だけで滑らかなすり身ができるんですが、エソの場合は無数の小骨が厄介なので一緒に粉砕しないと面倒という難点があります。フープロを使うためにある程度の肉量が欲しいということになると、どうしてもある程度の数か大型のエソのいずれかが欲しいということになる訳です。
相性の良い他の白身魚がある場合は混合して使うという考え方もでき、その場合は中途半端なサイズ1匹でも大丈夫なので、釣りながら状況に応じてメニューを構築していきます。
尚、エソに限らず家庭で作るすり身に共通して言えますが塩は絶対に最初に入れてはいけません。
いきなり粘りが出すぎるので細かくなる前にフープロに負荷がかかりすぎます。エソの場合は小骨が残りやすくなるでしょう。滑らかになってきてから塩を添加して仕上げていきます。
揚げて~揚げて~
揚げたてエソ100%さつま揚げ
パッキュンパッキュンやで。
シログチなどに比べると水と塩を若干強めに入れたほうがボソ感がなくなってさつま揚げらしい張りが出るような気がします。
アラからは出汁をとります。
脂がなさげに見えた骨ですが、アクを取り除いた後でもこの通りの脂が浮かびます。
エソのすり身とエソ出汁の吸い物
上品ながらしっかりした旨味があるので万人向けに美味しいです。
エソのつけ焼き
大型なら小骨も逆に避け易いと考えることもできますし、大型は前述の通り意外に脂をもっているので焼き物でも美味しいです。
塩焼きでもいいし、このような砂糖醤油のつけ焼きでもよいです。
ホクホクの身。
香ばしい香りが立ち、繊維感は粗めですが噛むほどに美味くなる身で、隙間に脂を伴った肉汁が溜まるのもあってか美味しい。
とはいえ、魚だけでは何か物足りなさを感じるので焼き物は塩、ポン酢、醤油などをしっかり効かせるのがよいでしょうね。
エソの皮ちくわ
エソは皮も美味しくて、皮ちくわというのがあります。
竹串にエソの皮をぐるぐる巻いて、焼けたら串を外して刻みます。
皮に脂と旨味がしっかりありゼラチンでモチモチ。
ポン酢で食べますが旨味がガツンと来るのでつまみに良いです。
豊漁だったり大型が釣れたりして皮がたくさんとれた際にはやってみてもよいかもしれません。
と、十分美味しく食べられる魚ではあるけど、毎度同じことやっていると飽きてきますよね。
応用してみましょう。
まずは大きめのエソ限定。
というか中サイズでも小型でもできなくはないけど、意味を感じる結果がほしいなら大型に絞ったほうがよさげな方法ですかね。
これは前回のよりかなり太い個体。
まずは普通にさばくじゃないですか。
で、エソは小骨の悪魔みたいなところがあるんですが、エソにも小骨がない部分があるんですよね。
わかりやすく言うと・・・
右が頭で左が尾です。
A)尻鰭より後ろ
B)腹部
この2か所は小骨を無視できる場所になります。
Aに関しての注意は尻鰭の後端からまっすぐに切ってしまうと前の小骨が斜めに下がっているので小骨が残ってしまいます。だから緑で示したように包丁を皮へ向かって後ろへ斜めに包丁を入れ、皮に当たったらそのまま皮を引くと骨の無い身が取れます。
Bに関しては3枚におろした状態で腹骨を普通にすき取ったら切り離すだけで小骨のない身がとれます。
尾部だけだと少ない身でも、腹部まで合わせると中サイズ以上ならわりと骨なし身がとれます。
これは大型で身が十分だったので腹身は片身のみ。中型以上でないと身が殆どとれません。
これができると骨抜きという作業を考えずしてエソも刺身が可能になります。
ワニエソの刺身
奥が尾部、手前が腹部ですが、ぶっちゃけ味わいはあまり変わりません。
どんなに鮮度がよくてもモチモチしつつソフトな身なので、それ系が好きな方には好まれるかもしれません。昆布で締めるのもアリでしょうが、はっきりした旨味をもっているので好きな方には勿体ない調理になってしまうかもしれない。舌触りだけはマグロの赤身にちょっと似ていて、味は赤身の魚から血の風味や酸味を取り除いたような旨味が強く、白身の中では変わった部類に入るかもしれません。
骨ありのまま酢でなんとかならないかとも考えたのですが、小骨を食べられるまでにもっていくことも可能だったけど、シメサバやコハダほど完成された化け方はしなかったんですよね。大型はより時間がかかってフニャフニャしてくるし、酢で締めるなら小型向き。
これはアカエソを酢で締めてみたやつ。
赤さは残るので見た目は悪くないんだけど・・・味わい的には可もなく不可もなくみたいな。
無理して生寄りで食べるくらいなら、中小サイズは骨切りして焼くだけというのがいちばん楽かもしれないですね。
ただこれもウナギ目と違って皮に沿って骨が走っている訳ではないので、皮側から骨切りしても肉側から骨切りしても、所々に気になる太さの骨の断片が残るのが難点ですね。かといってあまり細く骨切りすると加熱で身は脆くなるし、ちょっと研究が必要です。
すり身もさつま揚げ一辺倒ではつまらないので遊んでいきましょう。
蒲鉾にチャレンジしたことある方は同意してくれる方もいるかもしれませんが、めんどくさいですよね。
脂抜きもしないといけないし、なにより板にあんな綺麗に盛るのが難しすぎ。無理。ということで、自分で食べるだけなら脂抜きとかどうでもいいです。そして板も使わない。赤はどこのご家庭にもある赤色102号を使用。
蒸しあがったら外側に巻いたラップを外します。
端の部分は切り離して整形ついでに味見。
やはり適当なのでスは入っているけど気にしない。
こうすれば、もうおわかりですよね。
素人調理に板なんていらない。
エソ100%蒲鉾
整形した端切れも裏返して型抜きすればオシャレに使えて無駄になりませんね。
めっちゃエソ味がする。
エソなるとラーメン
巻きすで蒸していたのはなると的なもの。
細すぎてイマイチのの字になりきらなかった。
ついでなのでククパにあった「なるとチーズチップス」も試してみる。
クッキングシートにスライスチーズ乗せて上になると並べて電子レンジで5~6分チンするだけ。
エソなるとチーズチップス
なるほどチータラみたいな味になって美味しい。
チーズの油分で揚がってカリカリになるから、もしかしてこれすり身でやる必要ないのではないか。今度釣れたらエソスライスそのままで試してみようかな。
皮はよほど量がある時でないと皮ちくわにすることもなくて、単純に唐揚げにしてしまうことが多い。旨味が強くてかなり美味しい部類に入る皮だからそれだけでもオススメできる。でも当たり前すぎるので違う使い方を考えてみることにする。
エソを粉砕して、剥いだ皮に詰めなおすという悪魔的発想はどうか。
一切結着材的なものを使っていないのだけど、塩で練ったすり身を皮で包んでおいただけなのに勝手に結着した。
軽く片栗粉をはたいて揚げる。
ちなみに尻尾を作ってみたが鍋のサイズを計算していなかったので曲がってしまい意味がなかった。
骨入り骨なしエソ揚げ
これは良い意味で予想外だった。
正直あんまり期待してなかった。
うっっまい。
ってか、普通にさつま揚げにするよりかなりうまくないかコレ。
皮が水分の蒸発をある程度抑えているんだろうか、中身がプリップリなのにしっとりしている。そして皮の旨味が中にも移行しているのか、旨味がより強い感じがする。塩でもポン酢でも山葵醤油でも負けない強さがある。そして揚げたてだからこその皮のザクザク感とのコントラスト。
かなり良いのでは。
ただ、皮が内部の水分を吸い上げるのかザクザク感が減っていくので絶対に揚げたてアツアツを食べたいやつだコレ。
まだまだエソも捨てたもんじゃないなと心底思う。
エソのすり身が売っている場合は買ってもよいんだけど、皮だけ売ってるの見たことないからなぁ。
エソが丸ごと買える時は二束三文みたいなのしか見たことがないし、釣りしない人はそういう機会にチャレンジしてみるといいかもね。普通に食べようとすると、エソが嫌われがちな理由もわかるかもしれない。でも、なんでこれをわざわざ捨てるのかと感じる人も出てくるかもしれない。そういう人に増えてほしい。エソには迷惑かもしれないけど。
民度の低い釣人は、周囲の一般人からもっと白い目で見られる世界になってもいいかなと最近は思い始めてる。
結果、まともな人も巻き込まれることは容易に想像できるのだけど、自浄作用が機能しない世界なんて遅かれ早かれ崩壊に向かうと思うんですよね。
生きられないところに打ち捨てられても、食べられても、魚にとって死は死なので点で見れば変わりはないのだけど、前者の感性はあらゆる意味で遊び場をより早く潰すと考えられるので、法が間に合わないのであれば世間の風潮を変えていくしかないですよね。
という訳で、どこにでもいる嫌われがちなものはこれからも地味に試行錯誤してみたいと思います。
変わったものは期待しないでください。
地元の川ではウグイがよく干からびて捨てられているのですが、そんなに捨てるほどなのか?と思い私も料理して食べてみたのですが、きれいな水で数日置いて調理しても泥臭さが抜けずに小骨もかなり多く、お世辞にもあまり美味しくなかった(環境やサイズによるのですかね?)のですが、
せつなさん的ウグイの美味しい食べ方(出来れば小骨が気にならないような)って何かありますでしょうか?
ぼうずこんにゃくさんのウグイのページに美味しい料理が紹介されてますよ。
産卵期の雌がうまいそうです。
生食も紹介しているのでそこはスルーで。
外道を地面に叩き付け放置する奴に『食えよ!嫌なら逃がせば死ねば餌、生きれば元のままやぞ!』と近所の釣具屋のお孫さんに言いながら殴って問題になりましたが、言い分だけは今でも間違ってないと思ってます。
皆、外道も美味しく食べよう?
ただのゴミクズじゃん
犯罪者がなに自分を正当化してんの?
ガキにしかイキれない出来損ないが
新年から食欲を刺激されるなぁ…雪のような美しいすり身!むっちむちふわふわの練り物!
それにしても、品行の悪い釣り人の所業は確かに問題ですな。例えば狩猟なんかは撃った獲物を適当に捨てたり周りに迷惑掛けたりは許されないのは常識でしょうし、同じく生き物を狩るものであるという自覚をもって、釣り人も敬意を持って魚に接してほしい…が、ちっさい雑魚を捨てたって逮捕されるわけじゃないし皆やってるのに気にし過ぎだ!たかが魚だぞ!と軽く考える人も多いんでしょうな。かといって規制すればいいというものでなし、良心や意識の問題だしなぁ…
エソって予想以上に引くし(大物かと思って釣ったときにガッカリする理由ではありますが)調理方法工夫すれば美味しいし(個人的には刺身も好きです)で今の評価はわりと不当だと思うんですよね
メーカーがエソメインで狙うエソングとか作って売りだしたら意外と洗脳できるんじゃないでしょうか。外道をメインに据えて狙い始めると意外と難しかったりしますし(モンゴウイカとかマゴチ船の外道ではしょっちゅう顔出すのにスミイカ船のると全然来ませんし)
大分のごまだしうどんは
エソとゴマを引いたものを上に乗せ
お湯だけのかけうどんに溶いて食べます。
ご存じかもしれませんが
美味しいのでぜひお試しください
ごまだし状にしてしまえばある程度日持ちもするかと思います。
初コメです
外道ってのは何なんでしょうね、クサフグでも可食部のみ食べられるし(死んでも自己責任)、アイゴなんかも下処理さえしっかりすればそのへんの微妙な白身魚より美味いし。
結果、手間をかければ何でも美味しく頂けるんですよねぇ。
釣り人は稀に見る良漫画の放課後ていぼう日誌を見習ってほしい…!
>イカを狙っててエソ
うっ昔のアカエイが…
当方北海道ですが、鮭シーズンなんか酷いですよ。民度の低い人達は人目なんか気にしてないし、下手に見てると、刃物や流木で襲われます。去年はコロナの感染予防という口実が出来て、あちこちで釣り禁止になったし、ライセンス制にでもしないと変わらないと思っています。
それにしても、4枚目のエソの顔の写真、岩内町のゆるキャラのたら丸そっくり(笑)
久々の連投嬉しいです
初めてコメントします。久々の連日投稿、嬉しいです。ざざむしは旧から全て読ませていただいていますが、せつなさんは生物に対する価値観や姿勢がとても共感でき、尊敬しています。(ばかげた内容のやつも好きですが。)
去年、娘を初めて釣りに連れて行きましたが、防波堤の干物に「おさかなさんあつかったね〜」と水をかけていました。
せつなさんの言うとおり、もう変わりようがない方たちもいるでしょうが、これからの人間には指導する立場の人間がしっかりと「生命」や「食」というものを教えていきたいですね