ざざむし。





カミツキガメ解体編~尋常でなかった「精がつきそう感」

カミツキガメはレシピどうこう以前に、現時点では肉として流通していないので確保・解体から入るしかありません。食べ方よりもここがハードル高めで重要になりますね。
今後、カミツキガメを食材とする人の参考になると思われるので残しておこうと思います。
以下、解体シーンや諸々ショッキングなことになりますのでご注意を。
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さて、なんとか釣れたカミツキガメ2匹だが私は視力の関係上、夜中の雨の運転はできない。
雨が止むのを待つついでに一眠りすることにした。
カミツキガメは特定外来生物に指定されているので生体移動はできない。
帰途につく前には殺していかねばならない。
気休め程度の泥抜きにならないかと、持ってきたタンクの水を注ぎひとまず仮眠。

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雨が上がった朝。
若干水が濁ったが糞というよりは尿の影響だろうか。
数時間程度ではあまり役に立たなかったっぽい。

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斬首。

仕方が無いのだよ。
首は間接に刃を入れても結構硬いのでよく切れる刃物と、小さくて良いのでまな板を準備しておきましょう。
あと、スッポンと同じくフィッシュグリップがあると噛まれず首を伸ばすのに便利です。

ただし、あまり安いのは破壊される例を何人も見ているのでオススメはしません。
高価でもヘッドが回転しないものは捻りに弱いので用途に合わせて選びましょう。
無骨で高いですがボガ最強です。

首を落としたので法律上は問題なく帰ることができます。
最初は帰りのコンビニで氷でも買って冷やしていこうかと思っていたのですが、背後のクーラーBOXからずっとゴソゴソと動く音が聞こえています。
まぁ、ヘビでも首落としたら1時間くらいは動いてるので驚くことではないです。

動いてるうちはヘタに冷やさないほうが傷みが少ないかと思い、止まるまで放置して運転していたら自宅に着いてしまいました。
首を落としてから3時間以上経過。
・・・蓋を開けてみると、まだ動いていました。
マ ジ か
首落として、血抜いてきたはずなんだけど。

とりあえず風呂入ったりして更に1時間後、解体に入ります。

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めちゃくちゃ暴れるんですけど!!!!!

どうなってんのこいつ・・・
もう4時間だよ?
頭は飾りだったのか!?

動物を仕留める場合は「できるだけ苦痛を与えないように一撃で」ってのが常識だけど、どうすんだよこれ。
っていっても、頭は切り離してるから苦痛もクソもないのか。
途中で警察に確認されたりしたら
「なんだこのカミツキガメは!生きてるじゃないか!」
「いや、頭落としてるじゃないですか」
なんてやり取りをすることになるのか。

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細かいことは置いといて(細かいか?)、解体にかかりましょう。
私もなんやかんやで機会がなかったのでカミツキガメの解体は初めてです。
スッポンの場合は甲羅の外周がエンペラで柔らかい為、背骨の外周に刃を入れることで容易に甲羅が刳り抜けます。
しかし他の殆どのカメでは外周も硬質で覆われているのでそうはいきません。
カミツキガメを裏返してみると、手足の可動部分が大きく、腹甲と背甲の繋ぎ面積が小さいことがわかります。
赤線で囲んだ部分を切ってしまいましょう。

固い食材はハコフグで慣れているので同じものを使います。
金切り鋏みです。
チョキチョキ。
意外なほど簡単に切れるので、あとは手足の繋ぎ目に包丁を入れ、腹甲に繋がった筋肉を削ぎ切り外します。

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ここまでは楽勝ですね。
切ってる時もかなり本気で引っかかれますが。
首ないのに。

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暴れるので心臓を取ってしまおうと思います。
ちなみに、取り外した後も心臓は30分くらい動いていました。
パねぇ。

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四肢と尾は赤身、首と肩甲骨に繋がる筋肉だけは白身なのがわかります。
合う料理も変わってくると思うので今後も研究の余地ありだと思います。

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前足を取り外した状態です。
スッポンなら背甲を外した時点で容易に腸などが取り出せるのですが、カミツキの場合は裏側からなのもあり骨格が邪魔でそうもいきません。
この時点でようやく傷つけることなく内臓を外しにかかることができます。
中央の腸を見ての通り、やはり腸内の未消化物は全く排泄されていないので、うっかり傷つけてしまうと大惨事になりかねません。

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この黄色いのもスッポンと全く同じですね。
普通に食べられるはず。

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サイズの割にまぁまぁのレバー。
特別困るほどの臭味は感じませんね。
胆嚢は肝臓に覆われ、腸にしっかりと繋がっていました。
どんな動物でも同じですが胆嚢は絶対に潰さないようにしましょう。

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腸は1mくらいありました。
かなり未消化物が入っているのでさっさと取り外したいのですが、肛門が尾部の途中にあるのでまだ外せません。
肛門手前から腸を傷つけないよう注意しながら真っ直ぐ刃を入れ切り開き、ようやく腸を全て外します。
肛門の位置を考えると、背中から甲を外せたとしても結局腹側から切り開くことにはなりそうです。
糞が詰まっていた部分はニオイが移っていそうだったので切り取り廃棄しました。
糞はヘドロっぽいニオイがしていましたね。

胃腸は包丁を入れて切り開き、揉み洗い。

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絶対破らないように注意したい膀胱。
カメの尿は臭うので、これは細心の注意を払って取り外し、廃棄します。
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首は甲の中に丸まって格納されています。
この白身、どうやって食べたらいちばん美味いんだろう?

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ちなみに胆汁は少し舐めてみましたが、やっぱり苦いです。
僅かな甘味は感じるけどヘビほど甘くは感じません。

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甲羅・四肢・首・尾・内臓(胃腸・心臓・肝臓)・あと写っていないけど頭。
だいたいこんな感じでバラバラになる。
ね?
簡単でしょ?

しかし恐ろしいことに、ここまできてもまだ尻尾がウネウネしている。
「お前はもう 死んでいる」
この言葉をここまで発したくなった生物は初めてだ。

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印旛沼でボクと握手。

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そして唐揚げ用に剥きます。

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皮ごと使うつもりの部分は熱湯をかけて薄皮剥き。
これもスッポンと同じですが、ゴジラやガメラのようなゴツゴツした突起までフジツボを剥がすかのように剥がれるとは思いませんでした。

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気持ちよいくらい綺麗になります。
頭や四肢など、皮ごと使う部分は全て熱湯をかけて薄皮を剥きます。
捕まえた時から明らかに表面がカメ臭いのですが、湯剥きの工程で殆どこのカメ臭さがなくなるのでかなり重要だと思います。

だいたいこんな感じで初めてのカミツキガメ解体は終わったのですが、
とにかく動いて引っ掻いてきて邪魔でした。
包丁を押さえ込んできたりするのですが、こいつら梯子状神経なのかと言いたくなります。

ということで2匹目は解体前に熱湯をかけてみました。

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皮がキュッと縮んだおかげで、動きが制限されてかなりさばき易くなりました。
動くには動くのですが格段に早くさばき終わったので、絶対こっちがオススメです。

まぁ、先に熱湯をかけたところでバラバラになっても最後まで動いていたのは変わりませんでしたがね。
あまりに異様なのでツイートしようと思いましたが動画上げて垢停止されそうなので踏み止まりました。

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湯剥きの工程で甲羅も脱皮のように剥けるので、ここまで綺麗になります。
甲羅にも背骨周りに良い肉がついているので、煮込む前に必ず湯剥きしておきましょう。

さばき終わって安堵してしばらく冷蔵庫で放置していたのですが、湯剥きを忘れていた頭がまだ動いていました。
噛んだら本気で開こうとしても口が開かないパワー。
首落として12時間以上経っていたんですが。
ホントなんなんこいつ・・・

あとは解体が終わったら、まな板や包丁などの調理器具を熱湯殺菌しておきましょう。

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ちなみに最後までちんちんも元気でした。
まるで別の生き物のように動いていました。

ので

玉ヒュン事案を経過した後

カミツキ解体_23カミツキちんちん酒になっています。
呑めるのは1年以上先でしょうかね。
この尋常でない生命力なので、イメージだけでも精力がつきそうですね。

料理編に続く

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Comments & Trackbacks

  • コメント ( 26 )
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  1. 旧ざざむしからのファンで初めてコメントさせていただきます。もう10年以上経つかなぁ。
    感銘を受けてアカエイ釣って食ったんですがメチャウマでした(代償にタモ壊されましたが)

    カミツキガメも捕まえて食ってみたいのですが、解体に金切り鋏みは必須ですか?

    • カミツキはよく切れる出刃が1本あれば大丈夫ですよ。
      あとはとにかく噛んできてスッポンのように裏向けて掴んで斬首が容易にできる人ばかりではないので口を掴める何かがあると安全。

  2. いつもHPを楽しませてもらっています。先日初めてのカミツキガメ狙いで12kgのメスが釣れましたが、調理中に全身の皮下脂肪の中に黒くて硬いゴムのようなものが沢山入っていて少し気になりました。せつなさんご存知でしたらあれがなんなのか教えていただけないでしょうか

    • 12kgとは羨ましいですね。
      どんなに駆除しててもかいくぐり続けてるやつもいるんでしょうね。

      いわゆる亀脂肪の塊の中ではなく皮下脂肪の中ですか?
      なんなんでしょうね。魚だと黒くて硬いゴミのようなものが組織の中にできていることがあるけど、亀では見たことないし何なんでしょうね。寄生虫の線はなさそうですか?

      • コメントありがとうございます。亀脂肪かどうかわかりませんが、細長い黄色い脂肪の表面に2~5ミリ角位の真っ黒くて断面ギザギザの物体が多数入っていました。脂肪内部は見ていません。寄生虫ではないと思います。初めは石だと思っていましたが、触ってみると硬質ゴムのような感触でした。私の住む県では駆除等が行われていないので、大型が残っていると思います。最初に見たカミツキガメは、目の前で餌に食い付いて来たもののフッキングせず、45cmのタモでは小さすぎてすくえませんでした。甲長40cmはあったと思います。50号のケブラーハリスは高確率で切られるのでワイヤーハリスです。

  3. 湖底系だから体の隅々に酸素を蓄える仕組みになってるんですかね?
    逆に言えば12時間以上息継ぎせずにじっとしてられるということで。
    いやでも脳が酸素消費するから、殺した後の方が長生きするのかな(逆説的表現)?

    どっちにしろ亀パねぇ

    • ひとつには背骨の重要性がありましたね。
      スッポンは甲羅を外すことで背骨を外されるのでわりと早く機能停止します。
      これ、ウシガエルでも似た傾向があって、内臓とって帰っただけだと1時間くらい冷蔵庫の中で移動したりしてるんですよね。
      それでもバラバラになった後でも頭と尻尾だけはずっと動いてたカミツキガメは異常としか言い様がありませんがw

  4. この情報はかなり嬉しいです!
    自分でもさばききれるかどうかは別として。(12時間も動かれたら心折れてしまうかも…)

    • さばき始めればバラす毎に動かなくなるので心配はないです。
      特に、四肢は外したらほぼ動きませんでした。
      これから気温も上がるので血液ももっと凝固し易くなるんじゃないかな。

  5. ミッキーアイル

    玉ヒュン…ヒェッ…(^_^;)蛇の性器の酒の効能はイマイチでした

    • ヘビのは2本だけど日本のだと小さいですしね。
      そもそも筋肉の成分もフレッシュがいいのであってマムシ酒も効かないんじゃないかと思ってはいますけど。

  6. 肉の色味か旨そうですね!

    斬首画像の小瓶は生き血ですか?
    一年漬けたカミツキちんちん酒で割ったらバイアグラどころではなさそう。

    • 文句なしに美味かったです。
      生き血も料理編で使いますよ。
      あれだけ血抜いたんだけど、どうも切り口付近で凝固して流血が止まって、背中側だけでそれなりに血液が循環していた可能性があるんですよね。
      解体してて突然出てきたので。

  7. 西原理恵子の鳥頭紀行によるとアマゾン(だったかな?)に「ひっくり返したカメを生きたまま火にくべて食べる」人がいたらしい…

    • 昔、何かでウミガメをそのまま丸ごとそんな感じでやるのを見た記憶がありますね。
      カミツキはあの糞の量とニオイを知ってしまうと、ちょっと丸焼きは勘弁してもらいたいです。

  8. 昔の某ビバ○゙という爬虫類雑誌では冷凍して殺してから解体・調理してましたなぁ~
    ただ特定外来種法が出来る前だからこそのやり方でしょうけど。

    • 首落として冷凍はアリかもしれないですね。
      芯まで冷凍してしまうと解凍段階での劣化で味が落ちそうで、大量の扱いは難しそうですが。

  9. 消防のときに目の前の溝ででこいつを素手で捕獲したクラスメイトを思い出しました。
    ガメラがいたぞ!とかいってましたね。

  10. すごく面白かったです!
    バラバラにしても動くなんて、神経が無線LANで繋がってんのかな。

    スッポンくらいしか食べた事ないので、味の比較が知りたいです。

    • 料理編でも書きますけど、よくよく考えたらスッポンって塩焼きみたいなシンプルなので食べたことなかったんですよね。
      今度やってみないと。

  11. 甲羅の脇の繋がっているところ少なっ
    ミドリガメ料理はここが難点なんですよ。
    甲羅をはがすのが簡単にできるのならば、唐揚げなど亀料理を地元の食材として地域おこしにできそうですね。

    薄皮をこすり落とすのですね、なるほど。
    勉強になりました。詳しくありがとうございます。

    • 日本産のカメなども多くはもっと甲で覆われてますよね。
      カミツキは四肢の唐揚げに限定するなら首を落として一瞬釜茹でにするだけで容易に分解できつつ、皮が厚くて身には熱が通らないはずなので、結構使えそうではあります。
      薄皮はこすり落とすというより、スッポンのように日焼けの皮のように剥けます。

  12. また、バイブルが一つ増えました。

    • 私も予想の遥か上を行っていたので、さすがにこれは記憶に残りそうです。
      真夏の気温だったらここまで長持ちはしなかったかもしれないですが。

コメントしたければしてもいいのよ?(カエストハイッテナイ)

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