ざざむし。

荒川ハクレンを食べて思う

関東の一部には半ばスルーされている巨大魚が繁殖している。それがハクレンです。
ハクレンは大型化することから食糧として期待され1878年を始めに中国大陸から持ち込まれたが、戦中戦後の喉元を過ぎれば他の外来生物と同様に本来の目的は忘れ去られてしまった。
ただ、ハクレンが他の外来魚と違って槍玉に挙がりにくいのは孵化する為には卵が穏やかに流れ続けられる長い河川が必要で、現在は利根川・霞ヶ浦水系でしか繁殖が確認されておらず、おまけに植物プランクトン食性であることから侵略性に乏しいという理由があると思われる。アオコも食べるらしく水質浄化の目的でも各地に放流されたので、繁殖できない水系ではその生き残りが見られる程度のようです。

今回はこのハクレンを東京との県境を流れる荒川で調達。
利根川と江戸川は繋がっているので江戸川にもハクレンはたくさんいるのだが、放水路を経由して中川を挟み荒川まで繋がっているせいか荒川にもたくさんいる。ハクレンに関しては目立つので有名なのだが、水塊の生物を探す上で地図を見るのは楽しいので、どんな生物もより身近で見つけたいという我儘な人は地図を見る癖をつけると面白いですね。


ハクレンを釣るにあたって確認しておきたいことがある。

まず第一に、この魚は外来魚であるが何故か禁漁期がある。利根川水系では5/20~7/19の期間は禁漁となっているので注意してほしい。捕獲サイズの禁止規定まである。
はて?
ハクレンはどうして禁漁期間を設定しているのだろうか?
食用や肥料化、観光資源、脳下垂体からホルモンを抽出しているなどネットで検索すると様々な理由が出てくるが、聞いてみたほうが早い。埼玉県水産研究所に確認してみたところ「食用などで利用していた時代に設定した名残で、今は何も利用されていない」とのこと。(2018年1月時点)
なんということでしょう(笑)
6~7月にかけて利根川の栗橋付近で産卵が行われ、1m近い巨体が大量にジャンプする光景が見られるのは有名といえば有名だけど観光資源としてはどれほど役に立っているのかと考えても謎。謎ばかりだけどルールはルールなので禁漁期間は守っておきましょう。

二つ目に漁法の問題。
プランクトン食性ということでヘラブナのように釣ることは簡単なのだが、原産地では食用目的のため効率よく引っ掛けて釣る釣法が浸透しているそうだ。日本でもルアー釣りをしていると勝手に引っかかってしまうことが多々あるのだが、日本では意図的に引っ掛ける釣りはギャング釣りやガラ掛けなどと称して禁止されていることも多く、これについて大丈夫なのかも確認しておきたい。
埼玉県水産試験場からは釣り方には特に禁止事項がないという返答を頂いた。ただ、管轄の漁協によって異なるルールがある可能性があるので釣り場に応じて確認してみてほしいとのこと。
ならばと管轄の漁協に電話してみたのだが、べつにハクレンは引っかかってこようが積極的に引っ掛けようが問題なさそうだ。それよりもハクレンを狙っていても漁業権魚種であるコイやフナが掛かってしまうことはあるだろうから、とにかく入漁券は購入してほしいとのこと。あと、ブラックバスなど外来魚はリリース禁止だから逃がしてはいけないということを念押しされた。
ということは、ハクレンは本来釣れたら持ち帰ってもいいというより《持ち帰らなくてはいけない》のだろうか?
「ハクレン?ありゃぁ外来魚じゃないからいいよ」
え?
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!?げふげふ
池の水全部抜いてコイすら駆逐していく番組が流行してしまうようなこのご時世にあってハクレンは外来魚じゃないそうなのでさいたまけんはへいわだということがわかりました。
漁協に問い合わせると脳がバグることがしばしばありますがバグっても致命的でなければクリアできるからまぁいいかということで流すことにします。

いずれにしても釣ったら食べる話をしたところ鼻で笑われた空気が心地よく、Mっ気にはたまらないものがあります。みなさんもそうですね。


さて、実際に釣っていく訳ですが、やみくもに竿を出すよりターゲットのいる可能性の高いところを狙うというのが生物探しのセオリーです。
何故ハクレンがあまり好まれないのかというと少しわかる気もするのですが、それは後に述べるとして、私も他の遊び相手が少ない冬くらいしか相手にしません。冬はいろんな生物の活性が落ちて冬眠に入るなど、温かい季節に比べると遊び相手の幅が狭まりがちです。そんな時でも季節感がズレて感じられるのが温排水という存在。

手前が上流、奥が下流ですが、本流へ注ぐ手前の流れ込みだけ湯気が立っているのがわかるでしょうか。
これだけ水温差があると、変温動物である魚類の多くは温かい水域へ集まってきます。場所によっては本来冬眠するはずの生物が年間通して釣れたりもしますし、海であれば死滅回遊魚(黒潮に乗って北上した魚が水温低下で分断され取り残されて死滅する魚)が冬を越せてしまう要因の一つにもなっています。
今回の場所では下水処理場が由来になりますが、他にも温泉や発電所などの排水も温排水としてメジャーなところです。
そのせいで様々な外来種が定着してしまうという問題とも隣り合わせなのですが。

深く考えなければ、なにやらボスキャラ戦でも始まりそうなこんな雰囲気の中で釣りができるのはちょっと楽しいです。

釣り方については至極個人的な話ですが、私は引っ掛ける釣りが好きではありません。ましてや体側を傷つけてリリースを繰り返せば治癒しても傷が目立つ魚が増えていく訳で、食べない魚に対してギャング釣りというのはちょっと理解ができません。
やってもいいと思うのは効率とゲーム性を両立した上で食べること前提となるフグとアユくらいかなと。もちろん、漁業調整規則などで認められている場合は自由だと思いますが、いわゆるギャング釣りは特に内水面では禁止されていることが多いと思います。ここのハクレンはOK出てるので規則上は問題ないんですけどね。

だけどハクレンであっても公に勧めるのならば気持ち的にはエサ釣りなんですよ。
ウキ釣りでマッシュポテトをベースにした中層狙い。餌保ちをよくする為に鈎にコイルを付けると楽。
基本的にはヘラブナ釣りの仕掛けで食ってくるんですが、巨体が生むパワーにより穂先か仕掛を持っていかれる可能性が高くゴミを増やすだけなので本気装備が準備できない場合はヘラ仕掛のままで戦うのはやめましょう。普通の述べ竿の場合、目の前でHITもしますが短尺の竿で勝つのは至難だと思います。逆にドラグ調整のできるリールさえついていれば安い竿でもわりと簡単に釣れます。
想像以上に植物性プランクトン食に偏っているようで口を使わせるのにゲーム性が見いだせ、10分前後のファイトが楽しめ、釣れれば平均80~90㎝台で満足感も得られるのでゲームフィッシュとしては結構いいのではないかと思います。

かと言って安易にエサ釣りを勧めてよいものかと言ったらそうでもない。

外来魚や移入種の影響というのは直接的な食害やニッチの奪い合いだけではなく、ヒトが関わることで悪化するという面も無視できません。釣りの対象魚であれば、産業として金を生む反面としてゴミ問題や違法駐車などのマナー問題も付属してきます。そのひとつが富栄養化。

ヘドロが溜まる要因は分解が間に合ってないとか酸素が足りないなど理由はいろいろあるとは思うんですが、閉鎖空間で過剰なエサを加え続ければ結果的にそれらの状況を招いて底質のヘドロ化は早く進みます。
それは湖の多くがコマセ禁止になっていったり、海であっても湾奥養殖イケスの海底はヘドロ化したりすることからもわかります。ヘラブナ釣りもやっていたことがあるので思うんですが、練り餌も使うエサの量を考えると決して自然に優しいとは言えないんですよね。即釣って終われる状況ならばまだよいのですが、打ち返す数が予測できない釣りでありつつリリース前提となれば富栄養化の一助にしかならないという考え方もできます。そもそも、野生生物に餌をやらないのが常識になってきている現在において、魚釣りのコマセについては無頓着な傾向もいかがなものかと思うのですが脱線しすぎるのでそれはまた他の機会があれば。

そう考えると、魚体を傷つけてしまうけど引っ掛けていくほうが結果的に自然に対する負荷が小さく済むケースはあるとも考えられるので、ケースバイケースで選択してもらえればいいかなと思います。
ハクレンは食べるという前提がある場合、魚体に傷つけてもあまり関係ないので引っかけるのもアリでしょう。餌釣りの場合は今回のポイントであれば釣れるまでは餌という栄養分が荒川にプラスされますが、1本キープすることで荒川から10㎏前後の栄養をマイナスすることにもなるので、まぁ餌釣りもアリでしょう。

雪の日に2本キープしたやつです。
巨体なので氷を準備するのも大変ですが、雪があると保冷剤が現地調達できて楽でいいですね。


デカすぎてキッチンではどうしようもないので風呂場で解体していきます。
控えめに言って地獄絵図ですが、現場はとても生臭いので想像以上だと思います。そう、ハクレンのヌメリは非常にしつこくて網につくと取れにくく、そのくせ生臭いのも嫌われる要因のひとつです。


頭です。


えいっ


パカッ


身は白身で、血合いの色も悪くはありません。見た目は美味しそうです。
中国では四大家魚と呼ばれ、ハクレンはコクレン・ソウギョ・アオウオと並んで重要な食用魚となっています。この中でハクレンとソウギョが草食寄り、コクレンとアオウオが肉食寄りといった違いがあります。養殖も盛んで、ちゃんと育っていれば不味い訳はないのですが、果たして荒川ハクレンはどうなのか。


ハクレンの頭を使った有名な料理として麻辣水煮魚というのがあり、ハクレンの料理としては鉄板のようなので作っていきます。
表面の臭味を熱湯でとり、頭とスライスした身を煮ていきます。何故かこの料理には頭がよく使われるので美味しいのではないでしょうか。


今回は調味が下手だったからという言い訳が立たないようにクックドゥ的なものを使用。
裏を見るとレンギョを使うということになっているのでハクレンかコクレンを使うのでしょう。なんにしても名指しということはそれだけ需要があるということですね。
右のはまた違う料理ですが後で使います。


できあがった麻辣水煮白鰱です。

なるほど・・・食べられる。
かなり警戒していたのだけど、多少の臭味は感じるもののホロホロとした身は唐辛子と山椒のおかげでピリッと辛くまとまっていて比較的食べ易い。しかし、ハクレンを使う長所はどこかと言われるとわからない。煮込むことで脂っぽいところもサッパリしてしまってるんだよね。


ただ、兜割りした時に目立っていた中心部分にあるプルプルの黄色い物体が
クソ不味い。
凄まじく臭い。
これがきっと脂っぽくて美味しいからこそ頭を使われるのではないかと想像するんだけど、荒川産ハクレンのこの部位はゲオスミン波動砲を撃つために貯めこんでるんじゃないかと思うくらい酷い。我々は開けてはいけないパンドラの箱を開けてしまった気持ちになる。

そのものに特筆するほどの味がなくても香りが突出することで松茸やトリュフは脚光を浴びるのですが、香りが悪い意味で爆発物なものは唯それだけで料理が地雷原になることがわかります。


今度はこっちを使ってみましょう。
やっぱりハクレンを用意して切身を煮込むだけなのでとても楽です。


酸味が効いていますがゲオスミンに対しては効果がないようだ。
いや、効いてはいるのかもしれないが力不足なのかもしれない。問題なのは、麻辣水煮白鰱のように頭を使わなかったにも関わらず臭味を感じるということだ。
辛い。

そして、まだこの時点で全くと言っていいほど身が減っていないということに愕然とする。
中国での鉄板調理法で感じはなんとなくわかった。
問題は、ここは日本なので日本人が日頃から食べて美味しいと思える調理で成り立たなければ食用としては勧めにくいということがあるので試していきたい。


まずは味見程度に刺身。
これは美味しかったとしても決して勧めることはできないが、調理していく上での身質の参考として食べてみる。霞ヶ浦では刺身も提供する店があるという話は聞くが、養殖とはいえコイやフナを生でも提供できる場所ならば安全性はある程度確保されているのかもしれない。
ただ、今回のハクレンは荒川産であり、コイやフナなどコイ科が宿主になる寄生虫である顎口虫の中間宿主はケンミジンコであることを考えると、ケンミジンコは動物プランクトンだけど巨大なハクレンがケンミジンコだけを選別して吐き出している訳がないことは想像がつくのでリスクは十分すぎるほどあるということが言える。

顎口虫症になると皮膚の下を這いずり回られる爬行疹が見られるだけなら薬で対処もできますが、有棘顎口虫の場合は内臓や目や脳まで迷入することがあるようなので脳障害や失明に至り人生終わりたくなければなんでもかんでも生では食べないほうがいいでしょう。
顎口虫にも種類があり、輸入ドジョウに寄生したまま入ってきた剛棘顎口虫など含め顎口虫はだいたいヒトにも感染しうるということです。
このように寄生虫の世界も外来種の存在は無視できないので、安易なペットの放逐などがいままでの食文化を崩壊させる可能性だってありうるということは覚えておいたほうがいいでしょう。

で、問題の味ですが。
見た目こそまぁまぁ美味しそうには見えます。大きさの割に腹身に入っているサシは細かく、身質もわりとしっかりしていますが旨味は少ない。脂はあるのにブリのように旨味がブワッと来る訳でもなく、臭味がボワッときます。臭味の程度はコイやフナ程度なので食べられなくはないですが、ライギョのようにリスクあってもなんとかして食べてやろうと思えるほどの味ではないです。
安全性の確保できている魚であるという前提がある場合に限り、刺身や洗いはアリかもしれないなとは思いますが、この段階で既にフナに勝てないなという印象があるので霞ヶ浦でも食用として一般化しなかった理由がわかった気がします。


ここまでで血合いと脂は臭味がいっそう強いのがわかるので、おもいきって血合いを外した状態で調理を試していくことにする。それでも肉量は何kgとれるかわからないほど大量にとれるので、とにかく蛋白質がたくさん必要な場合には確かに優れているだろう。


臭味のある豚や猪でもわりと食べ易くなり簡単なニンニク醤油ベースのしゃぶしゃぶ。
しゃぶしゃぶといっても安全レベルまで熱を通す。


マズーーーーッ!!!
想像を絶する合わなさだ。
全く予想してなかった。とんでもねぇ。


簡単なしゃぶしゃぶの中でも最近ヒットな感じの白出汁パクチーしゃぶしゃぶだったらどうか。


!?
パクチーがゲオスミンと殴り合っている。
個人的にはパクチーってそんなに好きではないんだけど、これは認めざるを得ない。麻辣水煮白鰱を食べた時に感じたことは間違いではないようだ。


美味い訳ないよなと思いつつも無駄にするのもアレなので、脂パワー最大値のハラス部分をスライスして焼いてみる。キール状になっていて断面は脂の塊のようだが、肉質はしっかりしている。


え゛ふっ
これはひどい。
ゲオスミンが「ボクです!」って主張してくるのが目に見えるようだ。ワギャンの声で攻撃するってこういうことかと意味わからないことを思いながら死線を彷徨うことになるので全くオススメできない。
これは飲み込めない。もはやパクチーで戦えるレベルを凌駕している。


適当なコイでもなんとかなる旨煮だったらどうか。
時間の都合もありハクレンを圧力鍋で煮ていく。
圧がかかると、こんなにもゲオスミンを内包していたのかと驚くほどの悪臭が爆出しはじめキッチンが地獄に一変した。

感じなければいいというものではないことに気付かされる。我々はこの臭気の素を食べようとしている訳だ。まぁ、ゲオスミン自体は特に毒性が問題になってはいないのでいいのか。本当に?


あまりの臭気に、花が咲き誇る河原が見えている間にちょっと焦がした。
が、そんなことは問題にならない大問題が発覚する。


ぅおぅぇえええええっッペ
あれだけ悪臭を爆出させたので、圧力鍋の中身はだいぶ臭味が抜けて砂糖醤油ベースの濃い味でなんとかなったんじゃないかと思ってたのに。更に酷くゲオスミンの結晶かのような臭さの塊になっているとはどういうことか。責任者を呼べ!

これは無理だ。
完全に魔界の食べ物としか思えない。メシマズキャラが普通の工程で食えない代物を錬成するのはこういうものが混入しているのではないかと思われる。


奄美あたりで買える味噌に高倉みそというのがある。
普通の味噌と違って糀の粒がそのまま残っている甘い発酵物で、塩漬けの豚や魚を合わせて炒めるととてもうまいのでハクレンを炒めてみたらどうか。

しかしこんなに強い味でも臭味は全く消せていない。
そしてなによりマッチしていない。
ゲオスミンの臭気といえばシジミの臭気がそうなのだが、ある程度まで落とせれば個性として活かすこともできる。しかしそこまで落ちてくれない。


徳之島に行った時にオオウナギは揚げてから甘辛く煮ているということを聞き、食べてみてナルホドと思ったのでハクレンでも試してみた。
なるほどある程度は誤魔化せているが消せてはいない。いるのだ。奴が。
山椒も焼け石に水。揚げて煮る手間に見合わない。


脂と水分のどちらも飛ばせるだけ飛ばしたらどうかというテストでスライスして揚げてみる。
ゲオスミンはアルコールの一種なので飛ばしてしまえば戦えるのではないか。

カレー風味とガーリックソルトの2種、スライスしたハクレンの水分が飛ぶまでカリッと揚げてみたところ、臭味は殆どなくなった。しかし厚めでフワフワ肉質が感じられるところには臭味を感じるので考え方のひとつとしてはアリのようだ。
だがハクレンである意味とは一体・・・
そして揚げた油は死ぬことが予想されるのでコスパにも見合わない。


パクチーで戦えることがわかったので、刻みパクチーと共にチタタプして焼いたさんが焼き。
とても無難なものになった。
だがハクレンだからこそという良さもない。味付けを調整していけばもっと美味しくはなるだろう。いまのところは家庭で美味しく食べるにはこれしかないか。

しかし1本持って帰るだけで臭いミンチが5~6kgできることになる。
みなさんはがんばれますか?


一日では試しきれないので切身にして他の方法も探ってみることにする。
ほんと見た目だけは悪くないんだけどなぁ。


左:高倉みそ漬け
中:塩胡椒+油
右:カレー粉+油

高倉味噌は糀が生きているのでこのまま発酵の力を借りてみたい。
臭味の素は脂に溜まる傾向もわかっているので、油に漬けることである程度溶出してスパイスの風味が染み込むことと相殺してくれたりなどしないだろうか。


浮袋はアレだ。
靴買う時に入ってる型崩れ防止の黒いやつ。

持って帰って煮たらそこまで臭くなく普通の浮袋として食べられた。
であればと、1個は干しておいたのだがカラスか野良猫に奪われたらしく消えてしまったので他に試せず。多分、干すことでもゲオスミンが飛ぶと思われるのでもっと食べ易くなると思うのだが。


油に臭味が溶出していればどうかと揚げ煮を再度試してみたが、あまり変わらない。


高倉みそに1週間漬けたもの。
塩で水分出した程度じゃ無理なのはわかっていたけど、だいぶ水分が出てきたので限界ということでこの段階で調理する。


パクチーが合うのはもうわかってはいるのだけど、パクチーが嫌いな人も多いのでセロリで代用してみた。
結論として言ってしまうとダメです。
身自体の臭味は落ち着いたような気がするが、あんなに美味かった味噌自体がゲオスミン臭くなっている。これなら身を塩漬け・塩抜きして高倉みそと共に炒めるほうがずっとマシだ。
あの美味い味噌まで汚染するなんて恐ろしい子・・・


3日間カレー油漬けと塩胡椒油漬けしたものをそのままフライパンで焼いたり、油を拭き取って新な油でコンフィにしたりなども試したのだが、我々は全滅した。
厚く切った時点で油に溶出するかもしれないなどという希望は存在しない。


もうコレがダメだったら諦めようかなと思い、4日間塩胡椒油漬けしたものの油をふきとって鍋に入れ、ひたひたになるまで酢を注ぎ煮ていく。
鶏を甘酸っぱく煮る料理あるじゃないですか。私あれ好きなんですよね。
「ゲオスミンは酢で和らげることができる」ということがまことしやかに言われていますので、これでもかというほど酢で煮てやることにします。
ある程度煮詰まってきたところで調味、更に絡めながら煮詰めていきます。


見た目は美味しそうにできましたね。


っ っ っ ず い。
ゲオスミン濃度が高すぎるから太刀打ちできていないのか、ゲオスミンに酢が効くというのがウソっぱちなのかわかりませんが、まるで効果がありません。タレが猛烈に臭くなったのに本体の臭味が薄まっていません。ひょっとしたらゲオスミンではないほうの臭気物質かもしれない。
サイズがサイズなのでコイ科らしい小骨も取りやすく気にはならないはずなのに、こんなものすら憎くなってきます。
もうアレだ、鮮度のいいうちにスライスして、イルカ肉のようにひたすら洗いまくって臭味を抜くとかしないとダメだろうか。そんなにまでして食べる意味あるだろうか。
いや、ないよね。

とりあえず、荒川産ハクレンは2本食べた限りでは間違いなく不味い部類に入ることはわかった。
しかし勘違いしないでほしい。
ハクレンが不味い訳ではないのです。おそらく水質がいけない。淡水魚食文化の残る霞ヶ浦産ならば話は変わるでしょう。海外で淡水魚を食べると「こんな濁ったところの魚で大丈夫だろうか」と思うことは多々あるのだけど、常食されている場所だと全く臭味を感じないという驚きが当たり前になってきます。ハクレンも特定の臭味以外のクセがないので、水質がそれなりの場所で育っていれば、美味しく食べられて肉量の多い優れた魚ということになる可能性があります。だから四大家魚になっているんでしょう。
ゲオスミン自体は高濃度であってもシジミのテストで3日程度の流水飼育で出荷レベルまで減耗させられることがわかっているので、特定外来生物に指定されていないハクレンならばかけ流しの清流で飼育していわゆる泥抜きという工程を踏めば臭味を抜くことができる可能性はあります。しかしシジミと違うのは圧倒的な体重差で、代謝を考えるとシジミは3日で済んでもハクレンは一体何日かければいいのかと考えると割に合わないことはやらなくても想像できます。

考え方を変えてみると、彼らはプランクトン食性で毎日毎日濁った水を濾過している訳です。一日どれだけの水を濾過していることになるのか。まぁ、糞はするんだけど、それでもあれだけの数がいれば浄水効果はそれなりにあるのではないかという気もします。

彼らは紛れもなく外来種ではあるのだけど、問題になるほど侵略的かといえばそうでもない。
中層から表層を中心に生活するので在来種とは棲み分けている印象もあり、コイのように悪食でなんでもかんでも穿り返すようなこともしない。確かに中層ニッチは奪っている部分があるかもしれませんがプランクトン食性だからか縄張りを争う感じもありません。そもそもが繁殖できる条件が限られすぎているので、管理ができる食用生物としては有力候補だったと考えられます。
しかし残念ながら日本の川で育ったら不味かった。

侵略的外来種の問題がある程度世間にも知れ渡ってきたことは良いことだとは思うのですが、外来種であるだけでなんでもかんでもとにかく駆除という風潮は私は反対の立場です。
それにはコストや仕組みの問題ほか様々な理由がありますが、やらないで口だけ出す人はどちらかに偏って思考停止したまま引っ掻き回して迷惑をかけている事実に気付かないケースも多いんじゃないかなと思うことがここ数年どんどん増えてきているので、個々に感じることは自由ですが、少なくともべき論で語る際にはしっかり勉強して、できれば現場も見てからのほうがいいんじゃないかなぁと思います。

残念ながら荒川ハクレンは、やりようによっては食べられるものの概ね不味かったとしか言いようがないんだけど、うまく付き合っていけるといいですね。
普通に食うても荒川ハクレンは吐くねん。

 

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Comments & Trackbacks

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  1. 楽しく拝読しました。

    細かくて恐縮ですが1点確認です、
    本文中の「(2018年1月時点)」は2019年でなく去年確認したということでしょうか?

  2. 意外やね
    干物やスモークにしたら臭いモノでも食せるんちゃうかなと経験上思えしまう

  3. あけましておめでとうございます。
    新年一発目の記事ありがたく読ませていただいております^^

    やっぱり淡水魚の臭さって、場所が悪いとどうにもならないレベルなんですね・・・。
    アオコの発生が問題になっている池なんかはたぶんよくないんでしょうね^^;(地元の淡水湖)

    最近の野食関連がいろんなメディアで大きな扱いを受けているせいか、一気に野食関係のファン層が広がったように感じますが、世間に振り回されない今までどおりのせつな節を期待しています。

  4. 面白かった

    気づいた
    筆者の性格がアレだから普通に食べれる物だと嫌な奴に伝わるんだ

    反対に不味いものだと毒舌が笑いに変わる

  5. あけましておめでとうございます。
    いつも更新楽しみにしてます。
    これだけ知的好奇心を満たしてワクワクするブログは稀有じゃないかと。
    新年第一弾のクオリティの高さにさすがだとますますファンになりました。
    これからも期待しています。

  6. ワギャンとか懐かし過ぎるだろ…

  7. クッソ面白かったです。
    せつなさんがこれだけやってダメじゃあほぼお手上げなのかな。

  8. 内容の濃い記事
    とても面白かった

  9. 藍藻・あおこ・ゲオスミン・2-メチルイソボルネオール・アルコール・酸性・活性炭・・・・・

    これは発酵の出番だな・・・
    「臭い魚なら発酵させてしまえばいいのに」と脳内アントワネット様がおっしゃられました。クサヤ化すれば良いのかもしれない。

  10. 今日ちょうど荒川にギル狙いで行って(ギルフライを食べたくてw)、連れがサブで出してたコイ狙いの練り餌にハクレンかかって上げましたが、この記事読んでたのでリリースしましたw
    読む前だったら今まで「ハクレンって美味しいはず!」っていう先入観で持って帰ってたかも…
    でもやっぱりゲームとしての引きは凄く面白かったみたいです!
    ちなみにギルとコイ釣って帰りましたwwコイは今風呂に水溜めて泥抜きしてるので明後日くらいにこいこくにします、楽しみ(*´∀`)

  11. 釣り針にかかって抵抗する魚の反応を楽しむって
    女を○してその反応を楽しんでるみてえ

  12. 見た目を美味しそうに仕上げる、さすがのざざ虫さま。
    いつにも増して、どこをとっても読み応えのある記事、素晴らしいです。2019年も、ひっそりと楽しみにしております!

  13. 今はなき学研の釣りトップで、バイブレーションを投げてたバス釣りの小学生がスレがかりでヒットさせ、釣り上げた記事を読んだことがあります。
    淡水の青物といった感じで一度は釣ってみたい魚ですが、地方在住なので難しいです。

  14. 美食三昧の当たり回もいいけど、ハズレ回も好き。

  15.  明けましておめでとうございます。 

     本来美味しい魚なのに(中国で食べた事があります)、川水のせいで匂うなんて人間のせいですよね。
    昨日(1/4)のナウシカの言葉の通りです。

     ゲオスミンがアルコールの1種なら、塩引き鮭のようにしたら匂いが飛んで旨味がUPするというミラクルがあるかもしれませんね。
    関東だと干しきる前に腐敗しそうなので、下処理してざざむしさんにお願いしてみられるのも面白いかもしれませんね。

    •  すみません!
      ここは、ざざむしさんのサイトでしたね。
      申し訳ありません。

       ぜひ、塩引きハクレンにチャレンジしてみて下さい。

  16. 僕は僕で太りすぎ!

    商売っ気ありすぎの野食なんちゃらと違って、やっぱり元祖は違いますね!
    更新頻度は少なくてもいいですから、細々と続けてください。

  17. こんなでかいのに食べられないなんてもったいないですね。
    どれくらいの期間きれいな水で育てればその匂いが消えるのか・・・

  18. 魔人探偵脳噛ネウロでホームレスのおっちゃんが川ででっかい魚釣って焼いて食べたら
    泥くさくておいしくなくてガッカリしてたのを思い出しました
    あっちはなんて魚かハッキリしてなくてバター焼きとかそういうので最終的に誤魔化してましたが

    あんな感じで日本ででっかいお魚釣っておいしく食べられたら夢?がある気がしますが
    実際の魚はもっと強烈だった

  19. 通りすがりの者です(はじめまして?)
    刺身というか、を、づけにするのはどうでしょう?いったん冷凍して、寄生虫対策ののち。(エキノコックスしか知りません(>ω<))
    醤油とみりんで。 で1日~3日でしたでしょうか冷蔵庫寝かせ。 すごいボリュームなのでうめくいけばすごい満足っぽいっすが・・・

  20. 一さいたま市民

    スライス揚げの下にひいたキッチンペーパー、目が低めのハクレン顔になっててかわいいですね
    自分も一年前、サワラ記事に触発されてこの温泉よりちょい上流でキャスティング練習してたら彼がかかりました。口元へのスレでしたが。
    キープが頭をよぎりつつリリースしましたが、やはり荒川産は難敵だったのですね…

  21. 新年早々、新記事読めて多福でした。
    冬のアメナマ調査に霞に行く予定ですので、ついでにハクレンも狙ってきます。夏場はハクレンの幼魚がめちゃくちゃもじってますけど、冬場で釣れるところ探してみます。
    ちなみに、今年の目標はフライでソウギヨのメーターオーバーです。

  22. ざざむしブログの楽しさの一側面って、ワギャンなんだなと気づけました。画面の向こうの可愛いキャラが目を白黒させながら無茶な冒険で絞り出す嗚咽と悲鳴、まさにワギャンです。なぜその流れで刺身にいってしまうのという笑。心が晴れやかになりました。いつもありがとうございます。

    前回ペンさんにお会いした際「ゲオだけはどうにもならない」と仰ってましたが、格言ですね。

  23. 久しぶりの更新!お刺身の見た目は本当に美味しそうなんですがてん

  24. 中華料理屋でレンギョの揚げ煮?なるものを食ったことがあります。
    ハラモみたいでブリブリしていて美味かった記憶があるのですが、そうか……。
    中国大河で育ったやつはよほど水のいいところで育っているのでしょうか。河口までくるのが悪いのかな。

  25. ここまで太刀打ちできないってのは実際ゲオスミン以外の何かが潜んでる可能性を疑わざるを得ない
    どの道悪食日本代表の舌がここまで拒否するんだから体には悪そう

  26. 説教くさいな。
    あとブサイク

  27. お腹壊してトイレマン

    正月からとても笑わせて頂きましたw

    そっかあ。
    巨大魚のくせに、完全にスルーされるだけのことはありますね。

  28. 近所の(だった)知人

    わーい、久しぶりにピンク色フォントがそこかしこに。

    年明け早々大笑いしすぎてむせたぞ、げふんげふん!

    安定のガチンコざざむしスタイル健在なり。

    あけましておめでとう、今年もよろしくお願いします。

  29. 味噌が太刀打ちできないとは・・・しかし荒川の奴だけなんですかねぇ、アイゴとか場所で臭みも変わるって聞いたことあるし。せっかく大きいのになぁ~。

  30. ワギャンの声での攻撃と言うのがとても懐かしかったです。
    声を出した方が硬直してブルブル震えそうな感じですが。
    出不精なので機会が無いのですが、本場の四大家魚料理は食べたいです。

  31. 久しぶりの更新で、とてもとても内容が濃ゆいので楽しく読ませていただきました。
    最近から自炊を始めたのですが自分で料理をしてみてあらたててざざむしさんのスキルの高さが羨ましいです。

コメントしたければしてもいいのよ?(カエストハイッテナイ)

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