ざざむし。

フェモラータオオモモブトハムシの味を侮っていました

ここ数年で生息域が拡大してきている外来種は多数あると思いますが、その中でも気になっていた昆虫がいます。
それがフェモラータオオモモブトハムシ。
どうやって日本に定着したか経緯ははっきりしていませんが2009年には三重県に定着が確認されており、東南アジアの熱帯域に広く分布しているものの台湾でも外来種だというので自然に飛んできたというよりは何等かの形での持ち込みによる可能性が高いでしょう。
台風や混入の線もなくはないけど、大変美しいマジョーラカラーで20mmになる大型のハムシなのでペットショップや個人採集での持ち込み由来の拡散ではないかと思っています。個人の想像ですが。

これが美味しいと聞いたのは去年だったか一昨年だったか。
三重県の葛に繁殖してしまっているという話でしたが、食用に適するほど成長する時期は冬ということでなかなか行く機会がありませんでした。なかなか出会うこともないまま時は過ぎ、気づけば今年も採集シーズン。なんやかんやで蛹になる前に行けそうにないなと思っていたところ、フェモラータオオモモブトハムシを茹でる会に参加していた玉置さんが送ってくれました。

わーい

外来種としては現在は調査中でまだ扱いが決まっておらず、どう扱おうと罰則こそないとはいえ実際にここまで定着しているといずれ特定外来生物に指定される可能性は十分にありうる。飛行移動が可能な生物は一旦侵入してしまうと水塊の生物よりも拡散しやすいことは誰でも想像できるでしょう。クズがマメ科であることを考えるといずれ農作物に影響が出る可能性も考えられる。かといって単に接触禁止みたいな扱いになれば同時によほど効果的な駆除でも行われなければ駆逐は無理で、ヘタすれば増える。
実際問題として定着拡散してしまったものについてはそう簡単な駆逐は無理だし、駆除予算がかかり続けるくらいならば効果的に採取し続けられる仕組みができて増殖を抑え続けることができたほうがいいだろうと思う。
在来種がエサとして好んで食べてくれてその種も増えすぎないということであればそれが最も楽だろうが、現状を見てみるとそうでもない。明らかに三重県では増えて生息範囲を拡大しているようだ。
だったら人間が食物連鎖上位の役目を担えないかってところで、昆虫食の出番なのですよ。
長い。

いずれ特定外来生物になりそうな侵略性を現時点でも感じている以上、来る時に対応できる扱いで美味しく食べられるようにしておければ個人の対策としては安心だ。そのへんはあの蟲喰ロトワさんが関わったイベントなだけあってさすがぬかりがない。
イベントとしては美味しく食べるまでがセットだったようだけど、持ち帰り分は全て茹でることを徹底されていた。だから玉置さんが送ってくれたものも茹でられたものだったが、拡散防止面の安心は得られるのでこれで十分美味しければ食用としての未来は十分考えられるといえる。

本当ならファーストインパクトを重視したいので初めて食べるなら自力で探しに行きたいところですが、これに関しては既に相当繁殖しているのがわかっている上にクズというどこにでもあるようなマメ科植物が食草。シーズンに三重県に行けばおそらく容易に採れるから焦らなくてもいいかなと思っていた。
いずれ採りに行くだろうからな~と思っていたゆえ、味についてはできるだけ情報を入れないようにしていたので非常に楽しみだ。


まずは基本的な味が知りたいので、茹でただけのプレーンとポン酢で味見をしてみよう。


!!?
噛んだ瞬間おもいっきり杏仁豆腐の香りがする!
なんやかんやと噂は耳に入ってたけど、こんな話は聞いてないよ!
もしかしたら入ってた保冷剤が杏仁の香り移ってたんじゃないかと疑ってしまったが、そうでもないっぽい。
ちょっと発達段階が進んだイクラ程度の強度の皮が軽くプチッと弾けた後、柔らかいプリンくらいに固まった濃厚な豆乳のような旨味が舌に転がり出る。フワッと香った杏仁の香りは次第に消えていき、カミキリの幼虫にも似た濃度の高いトロリとした旨味と交代する感じなんだけど、ただ茹でただけなのにそのままで十分に美味い。
好評価は聞いていたけど完全に想像を上回った。しかもこんな風味の虫は食べた記憶がない。
フェモいとしか言いようがない。
これだから食べずに適当なこと言えないんだよなと改めて考えさせられた。
クズがマメ科なので豆っぽい風味はある程度予想してたけど、杏仁の香りはこれっぽっちも想像してなかった。これは新しい味。
フェモい。

次にポン酢で食べてみる。
・・・うーん、プレーンで感じた良さを潰しちゃってる気がする。

単体で食べているとこの手の幼虫に共通の皮が残る感じがあるので、食感の良いものと合わせるとより違和感なく食べられるのではないかと思う。
だからロトワさんはカナッペ推しなんだろうか。見た目もいいし。


真似してみた。
かきのきたけは使わなかったが十分に見た目が綺麗で遠目には違和感がない。
な る ほ ど ~
なるほどなるほど~
見た目もちょっとマカロニやナッツっぽいし、酔っぱらってる時に自然に出されたら見た目は全く違和感ないかもしれない。そしてうまい。これまた咀嚼すると杏仁が香る面白さがあり、イクラっぽい皮の残る食感がクラッカーの存在によって打ち消されていて完成度が高い。
個人的に周囲を見てきた経験では、見た目が姿のままの虫っぽいとか魚っぽいというだけで虫や魚を使っていなくても食欲が減退する人達も一定数おり、あえて食材の見た目を昆虫に寄せすぎるのも逆効果だと思うのでこのくらいでいいんじゃないかと思うのだがどうだろうか。

しかし虫を食べないという人にとってはおそらくどんなにわかりにくかろうが姿が見えてる時点でダメなんだろう。それはまさに、どんなに混ぜ込んでも赤く目立つミリ単位ニンジンの欠片を取り除く子供のように。
となるとやはり姿を見えなくする調理法が欲しいところ。正直、くだらないので個人で楽しむ分にはそういう工夫は面倒なだけで嫌なのだが、素材が活きるというのなら話は別。フェモには姿を隠しても良さを活かせるだけの実力を感じる。

やっていきましょう。


刻んだトマトと溶けるチーズ、茹で幼虫に塩胡椒してワンタンの皮で包んでミニ春巻きを作る。今回は2匹ずつ巻いてみる。


幼虫を入れた意味がなければやる必要がないということになるので比較用のブランクとして幼虫を入れないものも作っておこう。


小さくて巻くのが難しいので私より不器用な人には無理かもしれない。ギリギリだった。


カラッと揚げて完成。
ワンタンの皮は揚げるとクラッカーのような風味になり、幼虫の姿が見えないという利点があります。とりあえずブランクのフェモ無しから食べてみましょう。
サクッ

うーん
中途半端なピザみたいな感じで不味くもないけど手間かける意味を感じない。
チーズが溶けてトマトもへたれるのでスカスカになり満足感も低い。ベーコンあったらうまそう。
では幼虫入りはどうか。

サクッ
んふぉ!!?
熱せられたほうが拡散力が上がるのか、幼虫を噛んだ瞬間に想像以上の杏仁香が口にブワッと広がる。
チーズやトマトと杏仁なんて合わせたことがないので初めての味わいだが不味くない。
液化しない幼虫のおかげで固形感もあり旨味も食べ応えもあるのでフェモ入れた意味は間違いなくあるが、これは美味しいのかどうか人によるかもしれない。個人的には嫌いじゃないけど組み合わせが不思議すぎて客観的には正直わからん。


ちなみにワンタンの皮サイズでも楽だからって三角に折ってみたものの、これはやはり口の小さな人には一口でいけない。
ということは・・・

必然的にこうなっちゃうからバレる。
「なんだこれは虫が入ってるじゃないか!シェフを呼べ!」
「入れてるんです」
というやりとりをしたい人以外にはあまりオススメできない。
昆虫食に抵抗のない人ばかりならこれでも構わないとは思うが、何が違うのか不思議に春巻状のほうが美味く感じた。

封じて揚げてこれだけ杏仁パワーが上昇するのならばむしろスイーツ寄りの組み合わせのほうがいいのではないか。豆乳っぽいし。

試しにシナモンと砂糖を軽く振ってみたら結構イケる。
振りすぎると杏仁の香りも潰れてしまうようなので適量がいい。甘味は強くてもいいかもしれない。ということはやはり香りや甘味などの組み合わせで化ける可能性を感じる。

どこにでも売っている材料でなんとかしてみましょう。

左)リンゴ+レモン蜂蜜漬+茹でフェモラータオオモモブトハムシ幼虫
右)バナナ+ヨーグルト+茹でフェモラータオオモモブトハムシ幼虫

いずれも加熱することで強く感じるようになる果実の甘味を利用、杏仁香のサポートをしそうな酸味を更に合わせてみることにします。
レモンは蜂蜜漬けがない場合はマーマレードでもなんとかなるかもしれない気がする。誰か試してみてほしい。


水分が多いせいか更に難易度高いなこれ・・・
多人数分なんて絶対作りたくない感じするからこの時点で万人向けじゃないとは思う。
でも普通の春巻サイズにしたら断面から見えてしまうし、抵抗ある人に一口でいってもらうにはこのサイズが大事。


カラリと揚がりました。

まずはバナナ+ヨーグルトから。
んほ
・・・これは・・・バナナが柔らかく甘くなった上に香りのせいで杏仁豆腐っぽくなっててバナナ感が消え、ゼラチンなら絶対溶けてる温度帯なのに杏仁豆腐っぽい何かになってる。なんだこれは。虫が潰れる感じも殆どわからず、プチ感という幼虫カプセルの長所こそ半分損なわれているけどわりと美味しいぞ。

ではリンゴ蜂蜜レモンはどうか。
うっほ!
これ凄い!
リンゴとレモンの酸味と香りが仕事して杏仁の香りを押し上げてパワーアップさせてる。
見た目にわからなくて口に皮も残らず、虫とは思わせない華やか且つ爽やかな風味。これは結構イケると思うぞ。めんどくさすぎて絶対に数は作りたくないけど。

やっぱり採りに行くしかないじゃない?

これはいろいろ試し甲斐のある虫だ。
全然足りないし、残った疑問を解決するためにも採るしかない。しかし5月になる頃には成虫が見られるというから、蛹になるまであと僅かしかないではないか。今集めておかないと来年まで待つしかない。
であれば・・・
一人フェモラータオオモモブトハムシ採って食べる会開催。
なぁに、高速4時間も走ればポイントさ。

探しに行くことにしたものの、確実にいるとわかっているエリアまでは自宅から南へアルプス越えて320㎞。採れたてだとどんな味がするのかという疑問を解決したいが、先に食べてしまっているのでそれだけでは弱く、他にも何か目的が欲しい。
つい最近、愛知でも発見されたというツイートを見たので、どの辺りまで進出してきているか探してみようか。遠くから探していけば見つかった時に嬉しさがある。喜んでちゃいけない奴なので見つかっても複雑ではあるんだけど。

ということで岐阜県から散策開始。

いない。
それこそクズなんてあちこちにいくらでもあるんだけど、いたって平和。
どんどん南下しつつ、走りながらクズの群集が目立つところを点々とチェックしていく。
そしてグーグルアースでちょっと気になった桑名近辺


これは!?
殆ど空だったり、明らかに他の虫だろうという感じのするものが多い中…


いたけど、なんか死んでる。
フェモラータオオモモブトハムシはクズの茎にゴールと呼ばれる虫コブのような膨らみを作り、その中で幼虫は成長する。しかしここは全体のクズの量に対して少なすぎて、中身が元気だったとしても効率が悪すぎる。
とりあえず抜け殻が多いということは去年までにここまで進出しているのは事実のようなので愛知に入っていたのも不思議ではないし、岐阜に進出するのも時間の問題かもしれない。

更に南下してみる。

しかし四日市ではゴールっぽいものが1個しか見当たらず、それも手が届かないところだったので他の虫かもしれずはっきりしない。
どんどん南下するので虫も増えるかと思いきや、意外にそうでもない。山肌のほうが放置されたクズが多いように見えるのだが案外全くいない。移動に何か条件でもあるんだろうか。それとも通ったところにたまたまいなかっただけなのか。わからん。


チェックするとなると気が遠くなるほどのクズ畑もたくさんあるが、意外に全くいないところも多い。
無駄に時間ばかり浪費してだんだん焦りが出てくる。今日の晩飯係は自分だから早めに帰らなければならない。
その後もクズだらけのところを点々とチェックしていくが、もう有力地点近くまで行ってしまったほうが早いんじゃないかというほど近づいてきたあたりから爆増。


だんだんわかってきたのは、同じようにクズだらけのところでも氾濫原で増水の際に濁流に長時間浸かってしまうようなところには殆ど見られないこと。増水してもギリギリ浸からないところから上に多いように思う。
この写真のクズも一見ダメっぽいが、接近して根本を覗き込んでみると・・・

ほら2個ゴール発見。
コツがわかってきてからいくらでも見つかり始める。


太いクズにはそれだけ多く入っている可能性もあって、見つかるとちょっと嬉しい。
いてはいけない昆虫なので複雑な気分ではあるんだけども、見つかると大きなイモでも抜けたかのような嬉しさを実感する。


割ると繭室か繭室が割れて幼虫(前蛹)が転がり出てくる。
熱帯の昆虫なんだけど、冬が近づき気温が下がったタイミングで繭室を作り、ぶ厚く変化したクズの外壁が防寒ルームとなって前蛹の休眠状態でたまたま冬を越えられてしまったと思われる。


たまたまでも既に5年以上も繰り返されているとなると完全にパターンに嵌っており、今年の寒波でも死滅しなかったということは少なくとも三重県並の気候であればどこでも繁殖の可能性があるといえる。


既に何年もゴールを作っては新しい成虫が排出されたと見える老朽化したゴールの塊も。
しかしこれだけボロボロでもまだ20匹以上出てきた。クズの茎も細い1年物には殆ど見られなかったが、あっても蔓先を枯らしていた。しかし太く何年も成長したクズは使い捨てではないらしく、相当ボロボロでもクズは生きていたので食草がなくなって自滅という道もなさそうだ。


必ずしも太く大きければ沢山入っているとも限らず、この細い部分のゴールなんか結構よさげ。

こんな細いところに3匹も入ってた。


僅か40分ほどでこれだけ採れたので一旦茹でてから確実にいるはずの河川へ移動。
イベントがどこで行われたのか知らないのでかぶっていたら壊滅させられている可能性もあるが、絶対いるはずの場所だと思えるだけで全く負ける気がしないので保険をかけておくというのは精神衛生上よいですね。


めっちゃ入ってそうな極太クズの巨大ゴールだけど今日持ってきてるハサミじゃ無理物件だから今回は諦め。
ところで保護もされてないクズなどの草本は河川法の対象外だから自由に刈れるけど、余裕で10㎝超えてても草本は草本だから問題ないよね?でないと河川敷でクズの根掘るのも違法になりかねないし。掘るのも竹や木が相手だと問題になるけど草本は対象外だったような。クズの場合は問題なほど掘ることになるけど河川法施行令第十五条の四 法第二十七条第一項の一の条件の耕耘に該当するくらいの認識で、すぐに埋め戻せば許可不要の行為と考えていいんでしょうか。このへんは詳しい方に教えてほしいところ。
脱線したけども今回は掘る訳でもなし、草本であるクズを刈るだけのフェモラータオオモモブトハムシ狩りならばおそらく大部分の河川敷で自由にできると思います。


あと、採ってて感じた危険性なんですが、採り漏れの恐れというのがあります。

例えばこの写真に何個の繭室があるかわかりますか?

正解は見えているだけで5個です。時々見えてても見落としそうになるものもあり、また細くて入ってなさそうな茎の奥から出てきたものもあります。もしゴールの状態で持ち帰って解体した場合にこれらを見落として外に捨てるなどした場合、そこから孵った成虫が媒介されることになるでしょう。
これらを考えると飼育の為に持ち帰るのであれば十二分の責任を持って管理すべきだし、持ち帰って解体して食用摘出するのであれば残骸は速やかに焼くなどの準備がない限りはできる限り生体で持ち出さないほうがいいということになると思います。

1時間ほど追加採集して終了。
最初からこの辺りに来て5時間くらい集中したらどれくらい採れていたんだろうか。
同時に、クズというどこにでもあるような食草を根城にここまで爆発的に増えてしまうと絶望感しかなかった。どう考えても駆逐なんて無理やろ・・・。
こうなったら早いとこ増殖を抑制するべくヒトが食物連鎖の上位に立ち、ついでにクズを刈るという景観維持にも一役買うというのもいいんじゃないかと思えてくる。

ということで追加分も茹でて持ち帰ります。
まずは適当に洗って細かなゴミを流し、沸騰した湯で1分少々茹でました。


ハードボイルドフェモラータオオモモブトハムシチルドレンです。
よく茹でたり茹でこぼすことをハードボイルドと呼ぶことに決めました。


若干白くなっただけで見た目は殆ど変わらない。
あの杏仁香もしてこないけど、噛んで爆発する香りなのでどうなるか?


アツアツのままジップロックに収納して


冷やして持ち帰りましょう。
結局、まとまって採れるほど繁殖しているエリアに差し掛かって1時間40分くらいで約200匹とれた。これは効率のよい絶望だ。

採りたてで食べてみた結果

さて、茹でて持ち帰るのは勿論だが、採りたてがどんな味なのかも忘れてはいけない。
茹でたままと、乾煎りして味見してみよう。
まずは軽く煎って・・・

ピスタチオ???
鼻腔に広がる香ばしくも青っぽい風味は間違いなくピスタチオ、そして旨味はピスタチオと節分の煎り大豆を混ぜたような感じですこぶる旨味が強い。
しかし杏仁香が全くない。
なんで?????

ただ茹でただけだとどうなのか?

これは若干若い抜きたての茹で落花生!
ピスタチオっぽい青さは弱く、甘味がより強く感じられる。ジューシーではあるけどタンパクの固まり具合が心地よく、少しあのオサオオゾウムシの類を思わせる濃厚な旨さがある。甘さも濃厚な豆乳のような中に土から抜きたての若い落花生を茹でた時の殻の内側の甘さも彷彿とさせて大変美味しい。
例によって杏仁香は全くないのだが。
なんで???

しかしこれはこれで美味しいのでどうしたものか。このまま持ち帰ってすぐ冷凍すべきかどうか。煎っただけで十分美味しいから100匹くらいペロリと食べられる。しかし杏仁の謎が気になる。
杏仁香はベンズアルデヒドって話だけど、茹でた段階までで虫の中に前駆物質が含まれてるってことだろうか。採りたての味は玉置さんが送ってくれたものとは旨味こそ近いものの香りが似ても似つかない。同じように現場で茹でて、冷蔵して後日送ってくれただけだというので冷蔵保管がキモなのかもしれない。

ということで冷蔵したまま持ち帰り毎日味見してみたところ、2日目までは大きな変化はなかったのだが、3日目からあの杏仁香が出現。真空チルドと普通の冷蔵保管のいずれも香りだしたので酸素が常にあるかどうかはあまり関係なさそう? そして4日目は更に香りが強くなった。
なんらかの反応によって成分が変化して杏仁香が発生したのは間違いない。
この状態で冷凍すれば香りごと封じ込められるのだろうか。

ところでこの杏仁香、そもそもフェモラータオオモモブトハムシ限定なんだろうか。
いままで昆虫の幼虫を茹でた後3日も4日も冷蔵したままにしたことなんてなかったので他の昆虫でもそうなる可能性はないんだろうか。ゾウムシやカミキリなんかどうなんだろうか。例えばキイロスズメバチなどハチノコとしては一段落ちるものなどが同様の変化を呈するならば使い道が広がってくる。ミールワームなんかも面白いことになるかもしれない。ソフトシェル蝉なんか樹液だけ吸ってるし試してみたさが止められない。世界が広まってまいりました。

時期的にまとまって都合のよい幼虫も手に入りにくいのでとりあえずミールワームで試してはみたものの、茹でて2日目までは見た目の変化なし、ただ風味が落ちてきた。そして3日目からご覧のように黒っぽくなりはじめナッツっぽい風味も消失してきてどんどんダメになっていった。
前蛹でないと意味がない可能性も捨てきれないので断言はできないけれど、なんか違う。

とりま、現段階ではフェモラータオオモモブトハムシは即日茹でるのは決定として、予定している調理法に応じてすぐ冷凍するか冷蔵するかの2択にはなりますね。香りは冷凍した時点のものを引き継いでいるので杏仁香を活かしたいか、逆に邪魔かという話になってきます。
冷凍→解凍すると幼虫の張りが若干弱くなり見た目が少し残念になるので、加熱しなおす調理は良いかもしれません。
今回試さなかったけど解凍してから寝かしても同じレベルで香りが出るんだろうか。だとしたら便利なんだけど。

追加で手に入ったので改めて食べていきましょう。


なるほど、杏仁香がないと完全にナッツ寄りの風味なので食べていて味に違和感がありませんね。
残念なところはこのテの幼虫全般に言えることですが、揚げたり炒ったりすると冷めた時にしわくちゃになり易いことでしょうか。加減が難しいです。


杏仁香が出たものはワンタンの皮で封じて揚げたリンゴ檸檬がかなりよかったとはいえ、巻いて揚げるのはめんどくさすぎます。もっと簡単にあんな感じの相乗効果が感じられないかと試してみます。
水切りヨーグルト+リンゴと柚子のジャム+フェモラータオオモモブトハムシです。


うまい。
ただ、ジャム量が多すぎると前半に感じる果実の主張が強すぎるので控えめがよさそう。杏仁香は3日熟成のものでは弱く後味に感じる程度で、4日熟成のものでどうにか柚子林檎の香りから杏仁香へのグラデーションになる感じ。冷たいせいなのか解凍後だから香りが落ちているのかはわからないが、揚げた時ほどの衝撃的な香りではなかった。ただ、明らかに植物性だけでもヨーグルトだけでも得られないカスタードのような旨味が後半に感じられるのでこれはこれで面白いと思う。
上からかぶせてしまえば虫の姿もわかりません。
もしかしたら皆さんも知らないうちに虫料理を食べてきたかもしれませんね。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【修正版の追記】
ヨーグルトと柑橘の香りや酸味が強すぎたきらいがあり、野食感謝祭で修正版を出してみました。
1)ヨーグルトは普通のビヒダスのノンシュガーをキッチンタオルで包み強く20分ほど絞り、カッテージチーズのようになるところまで水を抜く。
2)自作の柚子入りリンゴジャムを荒く裏漉しして、水を切ったヨーグルトの1/3分量を混ぜ合わせる。果実含有率の高い市販のリンゴジャムにマーマレードの皮を加えて裏漉しすれば似た感じに使えるんじゃないかと思います。
3)茹でて香りが出るまで熟成させたフェモラータオオモモブトハムシの前蛹を2)に混ぜ、多すぎない程度(ちらほら幼虫の肌が見える程度)に纏わせてクラッカーに載せる。
4)柚子の砂糖漬けをあしらって完成。

脚の目立つ虫でもないので部分的に見えていてもよくわからないのがわかると思います。
柑橘だけがフワッと香った後、前蛹をプチッと噛んだ瞬間から杏仁香が前へ出てくることで味の変化が楽しめつつ、適当にできるレシピにしてはわりとバランスよくなったんじゃないかなと思います。
玉置さんにはフェモが熟成で香り変化することのオマージュを感じたと感想を頂き、説明しなくても伝わったのが凄く嬉しかった。

今回は数の都合上1匹ずつしか乗せなかったけどクラッカーのサイズに合わせてバランスのいい適量に調整するといいんじゃないかと思います。
盛り付けは余裕あったらもうちょっと綺麗にやってあげてくださいw

(追記ここまで)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

フェモラータオオモモブトハムシを食べてみたまとめ

フェモラータオオモモブトハムシを食用とする利点
・食草が河川敷に繁茂するクズならば殆どの場合刈ることに許可が不要。
・生息範囲拡大中の外来種なので食べる為の採集量に対する罪悪感が少ない。
・クズが食草な上に前蛹は未消化物もなく糞出し不要なので食べる上で安心感がある。
・新鮮なものは炒ればピスタチオ、茹でて落花生の香り、いずれも濃縮豆乳の如き旨味。
・茹でてから3日以上冷蔵することでプチッと噛んだ際に華やかな杏仁香が現れる。
・まとまった数が採れる。
・少量でも満足感がある。
・姿の見えない調理法でも長所が生かせる。
・仮に特定外来生物に指定されたとしても現場で茹でて持ち帰ることが食べる上で弊害にならない。

フェモラータオオモモブトハムシを扱う上での注意点
拡散させないように万全の注意を払おう。
1)全国に広くクズが生えているので放虫は絶対しない。
2)繁殖地からは極力生きたまま持ち出さない。
3)ゴール内の採り漏れの可能性があるので端材は採取現場以外に安易に放棄しない。
4)生きたまま持ち帰る場合は絶対にゴールを外に放置しない。
5)綺麗だからって成虫を安易に持ち帰らない。
6)いつ特定外来生物に指定されるかわかりません。指定されたら生体移動や飼育は不可になるので今後の情報に注意。

どのくらい茹でてどのくらいの期間熟成させると香りが最大になるのかというのは、今回意識して試すことができたパターンが少なすぎてまだなんともいえません。とりあえず今回のは1分少々茹でて4日冷蔵が最も香り高くなったという結果で、5日目以降は特に香りが上がった感じもなく風味が落ちた印象です。身近な方は参考にして最高の処理法を見出してもらえると私も助かります。

外来種なのは残念ではあるけれど、これからの時代は容赦なく採って自由にできる訳ではないものがどんどん増えるでしょう。そんな中、この虫は「探して見つける喜び」をわかりやすく有している上、(命を粗末に扱ってよいという意味ではなく)ある限り採ってしまっても倫理的な問題が持ち上がりにくい対象ともなりえます。外来種問題は小さな子供には難しい話ではあるのだけれど、わかってる親御さんがやっていいことといけないことを肌で教えていく限りでは良い教材にもなるんじゃないかなぁという気がします。
素人目線でも既に駆逐は不可能なんじゃないかというほど増えてしまっている以上、容赦なく食べていきたいという気持ちでいっぱいです。
フェモいので。

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Comments & Trackbacks

  • コメント ( 8 )
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  1. ゆでて熟成することで杏仁の香りが出るっていうのが、生きたまま持ち出す利点が無くなっていいですね。

  2. 今回も色々と学ぶことが多いとです。本当に次世代と外来種との向き合い方として幸か不幸か最適なのかもしれないと思ってしまったとです。探せばもしかしたらこちらにも居るかも知れないんですが、居てもらってはいけない種なのは分かっとるとです・・・効率のよい絶望・・・そうなることが一番恐ろしい事も分かっとるとです。
    でも・・・美味しそう過ぎてたまらんとです!息子と二人で食ってみたいとです!捕ってみたいとです!
    ってくらい食指のほうが動かされ続けられているオレのバカチンガ。

  3.  虫もさることながら、夕食当番との記述が気になります。

  4. 中身だけ取り出して杏仁豆腐も作ってみてほしかったな

    当方三重県在中です。来てくれてたのですね。っていうか、初めてそんなのが増殖してるの初めて知った。
    取ってみようかなぁ。

  5. とても興味深く読ませていただきました。いつもながら行動力が凄い…。
    トビイロスズメといい、フェモい香りのモモちゃんといい、葛のグルメっぷりすげぇ。杏仁の香りは聞いたことがないので食べてみたすぎます。たくさん採れたらミキサーで砕いてペーストにして濾しても良さそうかななんて思いました。クラッカーに合いそうかなぁ。虫っぽさ消えるけど。ところで成虫は食べられるのでしょうか?

  6. 相変わらずすげえな
    まるで昆虫で根性だめししてるガキみてえ
    だけどこんなに知性と創造力のある
    ガキも居るめえ

  7. 料理としてというよりデザートにできる虫は初めて知りました。前蛹であれば中身だけ取り出して、アイスに練りこんでも相当クオリティの高いものができそうで応用しがいがありそうです。

  8. フェモラリス大桃三吉

    いつもながら楽しくて素晴らしいレポート本当にありがとうございます
    茹でで数日置くと杏仁の香りって面白いですね
    日本のクズと原産地のプエラリアミリフィカは同属なんですが
    モモの仲間も女性ホルモン関連の薬に使われてきたみたいですね
    何かお肌に良いとかありますかねえ

コメントしたければしてもいいのよ?(カエストハイッテナイ)

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