ざざむし。





アカムシユスリカで赤飯を炊きたかったんだよ!

通称で言うところのアカムシはユスリカの仲間の幼虫。
カとはいいますが吸血しないので無害な昆虫です。
蚊柱が立っていて、自転車で走ってる時に口に入ったことがある人とか結構いるんじゃないでしょうか。
成虫はあいつらです。

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昔は普通の小さなアカムシも売っていたのですが、最近見かけるのはこのアカムシユスリカばかりになりましたね。

皆さんがアカムシと聞いて思い浮かべるのは何でしょうか。
ワカサギ・テナガエビ・タナゴ・ホンモロコなどを釣る小物釣りの餌?
魚やウーパールーパーなどペットの餌?
理科の授業で唾液腺の染色体を観察した人もいるんじゃないでしょうか。
入手が楽で釣具屋やペットショップで購入できるし、ペットの餌としては乾燥アカムシも昔から普及していますね。
餌として昔から根強いのには理由があり、養殖が容易なのと栄養価の高さがあると思います。

栄養価が高いからか生き物達はユスリカを好んで食べる。
フライフィッシングのミッジフライはユスリカなどがモデルですが、あんなに小さな偽物でも通用するほど魚が好んで食べるのは栄養価が高いからなのでしょう。
人間がゴマ粒を食べるような感覚でしょうかね。

日本人は間違ってもユスリカなんか食べようとは思わないと思うのですが、実は世界にはユスリカをハンバーグにして食べている地域があります。
アフリカ最大の湖、ヴィクトリア湖沿岸です。
ここでは水質が悪く、ユスリカの一種が大発生するのらしいのですが、濡らしたフライパンなどを振り回してくっつくユスリカの成虫を大量に集めハンバーグにしているのだそうです。

富栄養化した水から栄養を凝縮し飛び立った成虫のユスリカは、カロリーだけで見れば重量あたりカロリーメイトと同等のカロリーがあるそうです。
そして牛肉と比較すると蛋白質含有量はなんと7倍。
現地では貴重なタンパク源となっているようです。
ただ、現地のユスリカハンバーグは殆ど無味らしいので、調味料があればもっと美味しくできるんじゃないかな。

日本では蚊柱を襲ったところでユスリカ100%ハンバーグを作れるほど捕獲するのは至難の業です。
発生規模が違いすぎるのでほとんど不可能といえるでしょうw
ヴィクトリア湖沿岸の例では成虫を使用していますが、富栄養化した水を結果的に浄化していくほどユスリカは栄養を蓄積していく訳ですから、当然、幼虫も栄養価は高いはず。
幼虫であるアカムシならば、私もむか~し用水路で大量に集めて釣餌にしたりペットの餌にしていましたので、それなりに集めることは可能です。料理するならこちらのほうが現実的ですね。

ここで注意なのですが、ユスリカはある程度汚染度の高めな場所に発生するので雑菌の温床です。
天然はもちろんのこと、販売されているアカムシは殆ど中国や韓国からの養殖輸入物だそうで、この養殖も水田に大量の鶏糞を撒いて発生したものを集めているそうですから、雑菌の温床であることは変わりません。
それこそサルモネラだらけかもしれませんので絶対に生で食べてはいけません。

逆に言えば、ワカサギやテナガエビを釣ってワタもとらず鮮度抜群調理でンマぁ~い!とか言ってるのは、そんなアカムシも一緒に食べている訳ですから、加熱すれば食べても問題ないといえます。
釣りで獲物に転換できる環境がすぐ近くにあればそれが最も効率良いと思うのですが、今回はそうとは言えない環境でアカムシが食用となるかを試したいと思います。
アカムシを知っている人はわかると思いますが、水分ばかりなのでおそらく揚げたら爆発してカスしか残らないでしょう。
ということは、茹でるなどして体液を活かした調理をしないと全てが無駄だ。

少量でも高蛋白高カロリー、比較的汚染された場所でも採集できるのでアカムシを食べる利点はあるが、他の特徴も交えて調理を考えたい。
★水分が多いので調理法が限られる
★呼吸色素にヘム鉄を含むので鉄分補給にもなる?
★エリスロクルオリンという赤い色素を活かせないか?
エリスロクルオリンは赤貝の血液に含まれるのと同じ赤い色素。
島根県では赤貝飯といってエリスロクルオリンを含むサルボウで赤飯を炊いて食べられてきたというではないか。
全然赤くなってないけど、本当に染まるんだろうか?
この赤い色素は多種あるユスリカの中でも汚染度の高いところでも生息できる種に多いようで、酸素濃度の少ない場所でも効率よく酸素を取り込めるように進化したものなのだろう。サルボウなどが青潮に強いのも同様の理由が考えられる。

アカムシの色素で染まるならば、むしろヘタな味付けをしないでより普通の赤飯に近いものができないだろうか。
もし成功すれば、小豆などが入手できない状況でも晴れの飯が炊けるではないか。
やってみよう。

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さて、アカムシを探して採集しても良いのですが、試したいだけなので正直めんどくさい。
採れる水路まで行くガス代で買ったほうが安いので、今回は近所の釣具屋で売っているアカムシユスリカの幼虫を使用します。
流通過程で綺麗な水を経過してきているからか、消化管内容物も概ね排出されているしね。

元気いっぱいのが買えました。

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これを金網を駆使して気休め程度に洗う。
やってみて思ったんだけど、もっと目の細かい茶漉しにすればよかった。
網目にしがみつく奴がいてめんどくさいから、使うなら茶漉しがオススメだ。

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研いで給水させておいたもち米に少量の塩と共に投入。
もにょもにょ蠢いているが気にせずそっ閉じ。
なんだかもち米冒涜感がハンパないがすかさず普通に炊飯します。

炊いてて思うのですが、ヘム鉄を含むってことは酸化で色がくすむんじゃないでしょうか。
酸化を防ぐ為には・・・今こそ水素水の出番なんじゃないの?www
でもそんな役に立つほど遊離水素入ってないでしょ。
そもそもアカムシを食用にしなきゃいけない状況下で水素水なんかある訳ない。
やるなら一度沸騰させて溶存酸素をある程度減らすだけというのが現実的ですね。

そうこうしているうちに部屋に立ち込めてくる香りは悪くない。

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炊けました!

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炊け・・・赤 く ね ぇ し !
赤さの片鱗もねーよwww
なんやこれ・・・潰してから炊き上げたほうがよかったんやろか。
でもどうせ灰色の飯になるだけなんだろうな。

いやぁ・・・これはどうなんでしょうか。
アカムシ御飯は見た目的にもイメージ的にも一般的にはとかく食欲が減退することが想像できます。
それでも栄養は確かに摂れるのでしょうから、ある意味、ダイエット食として最適なのではないでしょうか。
何事もプラス思考が大切です。
赤くなくても赤虫御飯ですから略せば赤飯です。

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赤くならなかったものは仕方がない。
問題は味だ!
味と栄養価さえよければ見た目なんてのは些細な問題だ。

(・o・)アーン
(・~・)モグモグ
(・w・)モグプチモグモグプチプチモグプチモグモグモグプチ

(・ω・)・・・。

ぷ・・・ぷちぷちしますね!
おこわの中にとんぷりを混ぜたらこんな感じなのでしょうか。
そしてアカムシがプチッとはじけると、ほのかに海藻のような香りがし、更に明確な塩気を感じます。
もち米自体の甘さともバランスがとれるので、見た目に左右されなければ決して不味い御飯にはなっていないですね。
「考えるな!感じろ!」とはこういう時の為にある言葉なのでしょう。

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よく混ぜたのですが、ところどころから発掘される高密度エリアのプチプチ絨緞爆撃が凄いです。
ざざむしの佃煮くらいでヒーヒー言ってる人はショック死しちゃうんじゃないでしょうか。
汚い生育環境を見知っている人なら更に破壊力は倍増でしょう。
晴れの飯どころか、SAN値がピンチです。

そもそもの話、ヘモグロビン含有の血液を使う料理はだいたい酸化して真っ黒じゃん?
エリスロクルオリンだからってヘム鉄含有だから例外じゃなかったってことでしょ。
赤貝飯はあくまでも調味料と他の旨味成分の色だよね。

半ば成功はないだろうとは思いつつ、やってみないと断言はできない僅かな期待があったのですが
やっぱりダメなものはダメでしたね。
ここまで黒くなるとは思いませんでしたが、こんなになっちゃうなら逆にイカ墨パスタにたっぷり潜ませて鉄分補給とかどうですか。
プチプチ感も混ざって新食感になるんじゃないですかね!

長々と書いてきましたが、ついでなのでアカムシについての注意点。
…1)活きたまま輸入された生物ですので、余った餌を安易に自然界に捨てないようにしましょう、、
アオイソメで有名なアオゴカイなどもそうなのですが、農作物に影響を与えないので検疫に掛からず活きたまま輸入されています。だからといって定着してしまっても他の生物に影響を与えない保障はありません。余ったものは廃棄、無駄に殺すのが嫌ならエサとして使い切るか、今回のように食べても良いかもしれません。
…2)使ったら食事の前に手を洗いましょう
本文中にも記した通り、養殖場は非常に汚染されています。
販売されている水が綺麗なので殆どの人が意識していないと思いますが、その細菌数は未知です。
特に、購入後の保管状況によってもかなり細菌が増殖する可能性があるので注意しましょう。

あーぁ。
久々にティンときたのに残念な結果だぁよ。
当然完食はしたけど、栄養あって不味くもないのにこんなに気分の沈むおこわは初めてでした。
ユスリカ100%ハンバーグ食ってみたいなぁ。

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Comments & Trackbacks

  • コメント ( 30 )
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  1. はじめまして

    復活していたのを気づかず毎日を過ごしておりました。
    応援してます。
    これからの更新も楽しみです。

  2. 初めまして。
    いつも、楽しく拝見させていただいております。
    更新が途絶えているようですが、ご存命でしょうか?笑
    たまにあるディープなサブカルネタはツボですので、いいぞもっとやってください!

    さて、アクアショップで見たのですが冷凍赤虫の中には殺菌処理されているものもあるとか…
    どこまで、人体に対して無害化されているのかは分かりませんが、うちのプレこは元気です。

    • 冷凍とか乾燥とかには殺菌したものもあるようですね。
      でもどう考えても食品には無意味に高いのであまり意味がないですよね。
      色が使えないならまるで意味がないから二度とやらないでしょうw

  3. そういえば、何年か前にアメリカミズアブの幼虫が食用昆虫として有望という記事をどこかで見たような気が、、、

  4. あきらめちゃだめ!まだ私たちにはタカラダニが残ってるわ!!
    よし、まずは捕獲方法の確立をだな…

  5. ご飯が炊き上がったがった写真、あえて白黒にしてるのかと思いました 笑
    そういえば魚の餌の感想した赤虫もこんな感じですな

    • よくよく考えりゃわかる話なんですが、鮮度抜群から短時間で炊いたら僅かくらい残らないかと思っちゃうんですよね。
      例外もあれど、外骨格の生物は加熱すると赤くなりがちなイメージも正常な判断を惑わした結果だと思います。
      これがギャップ萌えというやつか。

  6. はじめまして、いつも楽しく読ませていただいております。

    アカムシに対しての印象ということでツイッター上で、ハナアブの幼虫と同じようなとこにいるのがマイナスイメージになっている気が。と書かれておられましたが個人的にはそのハナアブの幼虫はどうなのか?ということが非常に気になります・・・。KGBをも捕食するせつなさんはどのようにお考えでしょうか。

    ハナアブ幼虫については、雨の日の通学路わき側溝でうねうね泳ぐ巨大コレラ菌のような姿にずっと恐怖を感じておりました。ハナアブの幼虫だと知ったのはだいぶ経ってからですが。

    • どうせめっちゃくちゃ縮んでしまうのが想像できるし、食えなかないだろうけど食品混入の可能性もなきゃ大量確保できるほど群れてもいないし、強烈な効能でもなきゃ食べる意味もないですよね。
      汚い水路であの気管がゆらゆら水面に出てる光景はどことなく世紀末な感じがします。

  7. タイトルでキレてる感じからして、SAN値が心配ですね(笑)

    拝読して、赤色は素直に赤紫蘇あたりからゲットした方が良いのだなと悟りました・・・

  8. 復活されているのを知りませんでした~( ´△`)
    旧サイトのリバイアサンを圧力釜でシバクのは
    最高に参考になりました

    また、楽しく拝見させて頂きます
    ありがとうございました

  9. ミッキーアイル

    これは予想通り時間の経った血液の色ですね。個人的には簡便な食べ物ですがもしいくなら山椒と醤油で佃煮でご飯の友にします。このサイズの物だったら佃煮にすれば大体同じでしょうし…しかし、熱帯魚のブリードしてたときの冷凍赤虫を思い出しました。あれを食べようなんて考える人がいたとは…

    • 山椒があったらおそらく山椒だけを佃煮にしますw
      まぁ、最悪は茹でるだけでも塩っぽくて食えるんだなということはわかりました。

  10. 一見グロいですが、ご飯と混ざると塩コンブっぽくてそんなに違和感ないですね

  11. はじめまして、Kenと申します

    SAN値がピンチで吹いてしまいましたw

    面白すぎです!

    • 多少くらいは赤さが出てくれるんじゃないかと淡い期待があっただけに、当人はドン引きでしたけどね!
      しかも米物は一定量ができてしまうのがタチ悪いです。

  12. 黒くてプチプチ….ワイルドライスみたいに使えそうですね!

  13. ユスリカって人を刺す事は無いですが、ぜんそく発作を引き起こす要因にはなるんですよね。
    愛知県の北部なんかがその研究対象になったりしています。

    ・・・食べて(ユスリカを減らす)応援ですね?

    • アレルギーって言い出すと殆ど何もできなくなるし、私はユスリカのはハウスダストや花粉くらいの感覚でしか見てないですからね。
      どうせ真似する人もいないでしょう。
      汚すぎても生育できないけど、ある程度汚染したところで大発生するので大量発生してしまう環境をどうにかしたほうが良いと思うなぁ。

      • すんません。批判的な意味合いで書いたんじゃないです。
        申し訳ない。
        反省して半年ROMっときます…

        • あ、気にすることないですよ。
          記事の中に書くにもどこまで書くかって、ある程度絞らないとキリがないんですよね。
          コメント欄で済ませられるのはそれはそれで助かりますし。

  14. 赤虫!確かに立派な昆虫食なんですが、アクアやってるとバッタやセミと違ってエサにしか思えなくて困りますね~
    そういう自分はクリル(大きめの乾燥オキアミ)位しか食べた事無いヘタレです…
    次はイトミミズに挑戦?(無茶ぶり)

    • クリルはカマドウマのボディーに見えて仕方がないですね。
      イトミミズは鶏糞を撒いた後、アカムシの前に発生するそうですよ。
      イトミミズの仲間も種類があるけど、わりと抵抗ないんですよね。
      泥を巻き込むのでめんどくさくて食材価値の前に集める気力が出てこないですが。

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