ざざむし。





ゴンズイが広く受け入れられる為にはどう料理するべきか

千葉以南の太平洋岸で夜釣りをすると高確率でエサに食ってくるやつがいる。
ガツガツッとアタリだけは良いので多くの初心者は期待するが
ゴン・・・お前だったのか。
というふうに、ガッカリされ蔑ろにされることが多い。ゴンズイは大抵の釣りの入門書には「毒魚なのでハリスを切って逃がそう」的なことが書かれており、釣りに限らず様々な書籍図鑑などでも海の危険生物扱いとして記載されていて悪名高い。
背鰭と胸鰭の計3本の周辺に毒腺があり、踏んだり握ったりすることで刺されば大きく腫れ上がる。人によって、または刺され方によってその症状は大きく違い、酷い場合だと患部近辺は曲がらないほど腫れ上がり激痛が一晩続く。

その毒はタンパク毒で熱に弱いので加熱調理してしまえば全く問題なく食べられる。
それを応用すると、刺された際には患部を湯などで温めることでかなり痛みを抑えることができる。
私も試しに刺してみたことと、うっかり刺さってしまったことが2度ほどあるが、約1時間後から痛みがピークに達し、雪や氷で悴んだ手を石で殴りつけるような痛みが続いた後2~3時間で収束する感じだった。私は毎回そんな程度なのでゴンズイに対してはそこそこ抵抗があるらしいが、酷いとこんなものでは済まない。

問題は、湯で確実に痛みが和らぐとはいえ、湯に数分漬けた程度では引き上げてすぐに痛みがぶり返すところだ。
実際の対処としては冷たい水でも飲みつつ熱めの湯に長風呂して収束を待てば良いのだが、キッチンでうっかり刺した時はそれで良いが、大抵刺されるのは海である。事件は現場で起こっているんだ。
特に冬は寒気によって痛みが倍増し、拷問レベルが跳ね上がる。
アバラ外れても仕事してたくらいの自分が「くっころ!」って気分になるくらいになったくらいだから結構な痛みだと思うよ。
そんな時の応急処置としてオススメなのがHOTの缶ジュースだ。冷めにくいよう、内容量が多く熱伝導の良い缶のものを選ぶと良いだろう。患部に当てる、刺されたのが掌なら握ればいい。それだけで救われた気分になるほど痛みが和らぐので、その間に移動するなりそのまま回復するまで待つ(w)なりすればいい。
特に子供などはトラウマになりかねない痛みなので、ゴンズイにより刺傷事故が発生した際には夏であってもこういった対処をしてあげると良いだろう。アナフィラキシーは聞いたことがないが、人により症状に差があるので心配ならばそういった応急処置をして病院へ。

と、ここまで書いた上で
ゴンズイは普通に美味しい。

もう昔に比べれば食の方面でも知名度はマシになってきただろうし、いまさら書く必要ないだろうと放置していた。
しかし、看板代わりに固定しておいたツイートに


「真似して寄生虫に当たる人が現れたらヤバいのでは?」

「淡水魚を生で食べるのはヤバいんじゃないの?」
「ナマズって刺身で食べられるんですか?」
このテのがリプから引用RTからDMから次々来るのだorz

そういえば昔、髭があればなんでも鯉だと思っているアホ教師が担任にいたことを思い出した。
世の中、髭があったらコイかナマズにしか見えない人が多いんだろうか。
どんなに図鑑などで危険生物として啓蒙しても、実物見て判断できなきゃ事故が減る訳ないじゃないか。
寄生虫というワードも同じ傾向があるが、無意味に「危険な奴がいる」という意識だけ一人歩きさせている状況ではないのか。寄生虫は殆どの野生生物種にいるが正しい知識を持って対処すれば殆ど恐れるものではないし、むしろ先述程度の認識で食べ物を他人任せにしている人こそ、そのうち店で寄生虫にやられるんじゃぁないかとさえ思う。


水族館やダイビングではこんな小型ゴンズイがゴンズイ玉として可愛がられていると思う。
もしかしたら大きくならないものというイメージがあるのだろうか。
小型のうちは黄色と黒の縞もハッキリしているが、大きくなるにつれて結構まちまちになり、条件次第では殆ど黒っぽいだけのものも現れるし、縦縞ではなく横縞のような紋様が出るものも多い。
実際どれくらいまで大きくなるかわからないが、私は27cmまでは何度も釣っている。
ミナミゴンズイはより集団で玉になり易いらしいが、自分が見ている限りでは普通のゴンズイはある程度大型になると夜間は玉にならないように思う。
ナマズの仲間の味覚は物凄く、それはヒトと違い髭に集中しながらも全身にも味蕾がある為、ヒトの100万倍ともいわれる感度で探知し、あっという間に集結してくる。
だからゴンズイが釣れ始めた場所はゴンズイだらけになりがちなのだ。

逆に言えば、寄せてさえしまえばいとも簡単に美味しいゴンズイが釣り放題な訳だ。
旧ざざむしでもゴンズイについては取り上げた。
あのおかげでゴンズイに対する偏見がなくなり、定番のおかずになったという声をたくさん頂いた。
残念ながらゴンズイの汚名を晴らす会の面々はあれから全国に散ってしまったが、北海道へ行ってしまった会員も戻ってきた際には食べていたりする。
誰でも釣れて美味しいんだから食べないテはない。
単に毒棘に注意するだけで良く、それも有毒生物としてはかなり対処が楽な部類だからだ。

何かの釣りのついでに適当に釣れる。

ヤリイカ狙いのウキを眺めながらゴンズイ狙ったり。たまにカサゴが邪魔する。
実はルアーでも釣れなくはないが、味なしのワームなどに縛るとめちゃくちゃ難易度が高い。
小さなメバルしかいないようなところでいじめるくらいなら超難易度ゴンズイやったほうが面白い。

今ではわざわざゴンズイを狙いに行くこともなくなったが、狙う時は最小限の荷物で短時間勝負。
まずは一投目にオキアミクズを鈎につけられるだけつけ、足元に沈める。
着底したら一発しゃくり、エサを底にバラ撒く。これで大抵は近くにゴンズイがいれば匂いに惹かれて集まってくるはず。
あとはスレ鈎にエサをひとつ付けては仕掛けを沈めるだけ。集まってさえくれば着底3秒で延々と釣れるので手際さえよくなれば1時間60匹の壁を狙える。狙う人が少ないとはいえ、海底には一体どれだけのゴンズイが犇めき合っているのかと思う。

たまにはいない時もあるけどね。あと、どうしても底棲の魚なのでヘドロが溜まっているような場所の魚は臭味をためているかもしれないので、汚そうな場所なら最初は少しの量から試してみると良いでしょう。
ちょっと本気でやれば酸欠で色変わりもしないうちに普通にこんな感じになります。

私は手際よく口を掴んで、いわゆるバス持ちで対処してしまうから使ったことはないですが、結構暴れるので慣れない人はメゴチバサミを使って掴んだほうが安全。

プラ製のものも多く発売されているが、ヌルヌル滑るので金属製のほうがグリップ力はあるだろう。安いし、持ってればウミケムシや炭を掴むのにも使える。
リリースする魚にはあまり使ってほしくないアイテムだが、食べるのなら問題ない。
ゴンズイに関してはおそらくギザギザ部分が長く金属幅の広いもののほうが非力な人でも安定して掴み易いはず。

釣ったら、まず鈎を外す前に毒棘を切る。
背鰭と胸鰭の付け根からハサミ・爪切り・ニッパーなどを仕様して切り落とすだけだ。

両側の胸鰭と

背鰭ね。

根元から、棘に対して90度の角度で切るようにしたい。斜めに切ってしまうと後で結局刺さったり切ったりして毒に苦しむことになるでしょうから注意です。

切り落とした棘にも毒性が残ったままなので、堤防上に残したままにすると二次被害に繋がる。必ずゴミとして持ち帰るか、どうせすぐ小動物の餌食になるので海水浴場でもなければ海に捨ててよいだろう。
あと勘違いしてはいけないのは、この棘(棘条)自体に毒がある訳じゃない。この棘は外敵を傷つけ、その際に同時に破れた皮膚から毒を侵入させるだけなので、元々傷だらけの手で扱っているとそれだけで手が熱くなってくる。歯も案外しっかりしているので、バス持ちも連続60匹や100匹こなすと少しずつ傷がついて親指がブゥーンと・・・なんかビームでも放てそうな感じになってくるのでほどほどにしたほうが良いでしょう。

持ち帰り方は自由ですが、とにかく内臓の鮮度が落ちるとニオイが移って不味くなることだけは覚えておきましょう。
特に夏の鮮度落ちは非常に早い。しっかり保冷することを前提としても、食べるなら夏以外の気温低めの時期が安心感あります。

頭を食べる予定がない場合ならば頭の後ろをナイフかハサミで背骨まで切って、

ポキッとやれば内蔵ごと抜けます。
腸を抜いてしまうと身のほうに残るのは腎臓と浮き袋くらいですので、煮付けるのならばそのままでも構いませんし、取りたければ取ってもいいでしょう。釣り場でここまでやってきてしまうと後が楽です。
煮付けなども姿で作りたい場合はハサミで腹だけ出してくると良いでしょう。

ちなみにそのまま内臓をエサにすれば次のゴンズイも釣れます。

干物にする場合は片身に骨を残した開きに。天麩羅の場合は背骨を外した開きか3枚におろすと良いでしょう。
ウナギと違って目打ちの必要はなく、頭を落としてしまえば扁平で座りが良いので難なく開くことができます。
要するに、毒棘さえなければ普通の魚です。目打ち不要なのでまな板の穴の雑菌を気にする人にも安心ですね。
唐揚げや天麩羅などは皮を剥きたければ剥いても良いです。
こうなっちゃうと普通の魚ですね。

湘南近辺だと20~23cmのこのくらいがアベレージ。
中途半端なサイズは調理がめんどくさいだけなので鈎を飲んだりしていなければリリースしてあげたほうがいいでしょう。
このくらいを超えはじめるといい感じになってきます。
でかい!と思って計ってみてもいつも28cmを超えられないんだけど、30cmいくものなんでしょうか。
ちなみに5~6cmのチビゴンズイですが、これも食べられないことはないです。
25年ほど前だったか時代ははっきり定かではないですが、BE-PALで渓流のアカザ釣り&煮つけが載ったことがあったと思います。ナマズの仲間の皮って本当に不思議に砂糖醤油系で良さが引き出されるんですよ。チビゴンズイもアカザ同様にしてチュルッと食べると旨味が強く美味しい。
ですが、アカザと違ってずっと大きくなる訳で、わざわざ小さなうちに食べる必要はないなと思います。
(アカザはアカザで激減しているのでもう食べる対象でもないですしね)

さて、長々やってきましたが、やっと料理編です。
いろいろなんでも料理できるよといっても、なんでもMAXに美味い訳でもないんです。
いくらゴンズイは美味しいよ!って言っても、実際に食べてもらってイマイチだったら布教にならない。どうせなら「これなら自信もって奨められるよ!」ってのが何なのかハッキリさせたいと思うのですよ。
ということで、いままで作ってきた中からいくつか例を挙げていきます。ゴンズイ鍋。
夏でも寒い冬でも無関係に釣れるので、現場調達の食料としては優秀。
本命が別にあったとしても、食べたければすぐ釣れるというのはとても助かる存在。
鍋は味噌系が合うと思う。
ファイナルファイトのドラム缶の中に落ちてるガムみたいな感じに体力がちょっと回復します。
ゴンズイキムチ鍋。
厳寒期だとキムチ鍋なんかが体の芯まで温まってよい。
ゴンズイは背鰭や尻鰭から尾鰭までが無数の細かな骨でできているが、棘と頭と内臓だけとって煮るだけで背骨以外の骨はポリポリと軽く食べられてしまうので楽というのも長所といえる。ゴンズイ煮付け。
ゴンズイの特筆すべき点は醤油と砂糖ベースの煮付けで皮の美味さが化けるということ。
皮の脂やゼラチンと相性が非常によく、身離れは微妙に悪い部類に入るかもしれないが美味さはかなりのものだ。これも鍋同様、小骨はポリポリと気にせず食べられるので、鰭の表面を覆う皮の旨味と共に味わいたい。頭を落としてきてしまうこともあるが、煮付けはできれば頭付きで試してほしい。細かな粒状の骨が口のまわりにあり、これが若干邪魔ではあるが、それを無視できるほどに皮の厚い頭の美味さが口いっぱいにほとばしる。
間違いなく、ゴンズイ料理のオススメのひとつになるもの。
サンバル焼きココナッツソース。
旧ざざむしにUPしてあったやつね。
サンバルソースってなんでもこの味で塗りつぶそうって感じがしてしまうのでゴンズイである必要あるのかなっていう疑問が頭から離れないけど、普通に美味しかった。大陸のほうのナマズ料理っていうとフライ(といっても素揚げ)やスープが大半になる上、味付けはやっぱり雑なイメージがある。臭味消しって意味もあるんだろうけど、ゴンズイにはそこまで必要ないかなという印象。ゴンズイのトムヤムスープ。
タイでもナマズ料理は結構あるが、トムヤムクンには入れない。でも入れてみた。しかし身を入れるだけじゃつまらないので摺り流しゴンズイで霙風にしてみたもの。
なんでか微妙にゴンズイのクセが引き立ってしまったような気がする。
美味しいけど、めんどくさいからそこまでするもんでもないかな。
ゴンズイ干物。
これは簡単にできて鉄板のひとつといえる。
鮮度の良いものを開いて10%程度の塩水に数分くぐらせ、半日ほど干すだけ。

焼く時にうっかりすると脂がすぐ燃えるので注意。
鰭はもちろん、難しいけどうまく焼くと背骨まで揚がるように焼けてポリポリ美味しい。
アジやカマスとはまた違った旨味を感じることができる。

ゴンズイ天麩羅。

左が皮付き、右が皮なし。微妙なクセも削ぎ落としたければ皮を剥くと良いと思う。食感はフワッとしつつモチッともしている。キスかメゴチかといえばメゴチ寄りだが、もっと柔らかい。味のベースはナマズだが、個人的にはナマズより美味いと思う。

ゴンズイの唐揚げ&フライ。
唐揚げは確かに美味いんだが、冷めると身離れが悪くなるのが欠点。唐揚げの鰭は美味いが、左奥のように骨煎餅にするともっと美味い。
フライは無難。不味くはないが、わざわざフライにする意味があるのかどうか疑問が浮かぶ。
問題は左の摺り身を揚げたもの。

スッカスカになる。
塩を加えて摺っているとすぐに滑らかになるのだが、どうして揚げるとこんなふうになってしまうのか。味は良いだけに残念。

摺り身は汁物にしたほうが面白い。

ゴンズイと葉ニンニクの味噌汁。

黒いのはゴンズイの皮。
揚げてあんなにスッカスカになる摺り身だが、汁物にすると不思議な食感になる。
まるでソフトなサトイモ団子のように口の中で溶ける。つみれ的なプリプリ感を想像して口にすると吃驚するやつだ。
味付けはガツンとくるやつが合うと思うので今時期なら葉ニンニクとかニラなんかがいいと思う。
ゴンズイ活け造り
持ち帰った後と、釣りたてとで全く食味が違うと感じる魚があるので、なんとなくやってみたもの。
わざと元気なまま棘を切らずやってるのでオススメはしないが、元気に血が通ったままだからか、やたらと身が黄色い。そして家で食べる刺身よりも圧倒的にモチモチで歯応えが強い。それでいてしっかり乗った脂。
一般的な白身の刺身とは別物と考えてよい面白い刺身だ。右下2貫がゴン寿司
もっちもちしてるけど噛み切れないほどでもなく、シャリとの相性としてはちょっと強すぎるきらいはあるが悪くない。
加熱したものよりも尚更クセを感じないのは良いのだが、だいたいゴンズイって1匹2匹じゃ済まないからいちいち寿司とかやってらんないというのはある。

うなぎが絶滅しそうならゴンズイを食べればいいじゃない!
っていう話も出てきそうなので一応取り上げますが、代用としてはちょっとどうかと思っています。

タレ作り。
醤油・砂糖・味醂に中骨や頭を加えて煮詰めます。赤ワインを少し足すと酸味など風味がゴンズイの風味と合わさってよりウナギのタレっぽくなる感じがします。
煮付けで良さが引き出されるゴンズイはこの味が合わない訳ないんですよね。

開いたゴンズイを軽く焼きます。
ウナギほど大きくはないのと、ウナギ目と違って埋没骨がないので長く焼く必要も蒸す必要もありません。焼くと丸まってしまうので串打ちしますが、金串がベストながらすぐ焼けるので竹串でもどうにかなります。
芯まで熱が通りきらないくらいでタレを塗りはじめ、火が通りきったくらいで完成です。

蒲焼ゴンズイ丼
タレがかなりウナギっぽくなるので見た目も味もそれっぽくはなるものの、食べてみると食感や脂の出方が明らかにウナギとは異なります。味のベースはナマズのくせにフワリ感なくなり身が締まっちゃうんですよね。だからウナギの代用としてはいかがなものかと思うのですが、ウナギ特有の泥っぽい持ち味などがないのでウナギが苦手という人にはむしろゴンズイのほうが好まれるかもしれません。

ただそれでもやっぱり美味しいには美味しいんだけど、いかんせん面倒なんですよね。
代用として考える際にはいろいろな考え方があると思います。
1) 瓜二つの代用を作る
2) 安く近いものを作る
他にもいろいろあるでしょうが、高くても親しまれるウナギの場合はどちらもアリなんでしょう。ウナギ味のナマズなんてのも出てきましたが高いうちはよほど味が超えてない限り普及は難しい気もします。ゴンズイの場合、蒸す工程を挟んでもウナギのようにはならないので、どう頑張っても近いものを作るのが精一杯といえます。

それらとは別に、私はやっぱりその食材の良さを生かせているのかどうかも同時に考えたい。
A) これじゃなくても他の食材でいいんじゃないの?
B) 本当にその調理で素材が生かせてるの?
この2つは重要で、代用と聞くと「あぁダイヨウなのね」と、多少ダメでも仕方がないよねっていう月夜の蟹を臭わせるイメージもあると思うんだけど、マイナー食材に甘んじている生命に対してはそのイメージもなんとかしてあげたい。

この場合でいえばウナギは激減真っ最中の絶滅危惧IB類、安易に代用されそうなマアナゴは意外にウナギっぽい味にならない上にこちらも資源は減少傾向でマアナゴの代用として各種アナゴが使われる状況。そういう意味ではウナギ蒲焼の代用としてゴンズイはアリなのかもしれない。
ただ、これだけ手間をかけた上でゴンズイの蒲焼がゴンズイ料理として至高と言えるかといったら断じて否。
唐揚げやフライなども美味しいけれど、じゃぁゴンズイである必要性はと言われたら非常に微妙。いくらでも釣れるけど面倒じゃ意味はない。
誰にでもできる限り簡単で美味しく。
となると、蒲焼よりはこっちなんですよね。


開くか3枚におろした身を串も打たず適当に焼いて(脂乗ってるのでテフロンのフライパンで軽く焼くだけで良いです)、蒲焼の時と同様にアラをぶっこんで煮て作っただけのタレで軽く煮る。
煮上がったらゴンズイを刻む。切り口の白さが不要で煮る際にかき混ぜないなら焼いたものを刻んで煮てもいいかもしれない。どうせ刻むんだから綺麗におろせてなくても構わない。
ここまでとにかく適当。

炊きたてアツアツご飯にタレごと混ぜる。

切る→焼く→煮る→混ぜる
とにかく適当。

ゴンズイ飯
好みで山椒を振りアナゴ飯的な形に。めちゃくちゃ適当でありながら、砂糖醤油系のタレに引き出されたゴンズイの旨味が全開で生きる。
細かくなるがゆえにアナゴやウナギとの食感の差異も縮まり、ものすごくソレっぽいものを食べている感じがする。
重要なのは皮や頭などの皮と脂を逃さず使うことなので、適当にアラをぶっこむという最初のタレ作りが肝心なだけだ。
もちろん、うな茶漬けのように山葵を乗っけて出汁を注ぎゴン茶漬けにしてもいいぞ。
どうしても蒲焼でないと!という頭の固さでもなければ、かなり満足のいく味ではないかと思います。

身近で簡単に手に入り、簡単な調理で、美味しく食べられる。
三拍子揃って初めて長く愛される存在になるんじゃないでしょうか。中国やタイなどナマズ食文化のある国の人がそのへんの港で喜んでゴンズイを乱獲する現場に遭遇したことや耳にしたこともあり、確かに様々な料理に応用できるといろいろやってきて画像に残っていないものもありますが、でもここはやはり日本で、身近なだけにありふれていて、ゴンズイに必要なのは奇を衒った料理よりも地に根をおそせそうな料理ではないだろうかというところに行き着いています。

生椎茸だってそのまま食べれば中毒するのに、干したり加熱するという工程を身につけたことで日本人は何も恐れることなく美味しく利用しているんです。引き合いに出したウナギも血液が有毒だけど加熱で無毒化して食材として浸透している。フグと違ってゴンズイは3本の棘を切るだけだから誰にだってできる。簡単で免許も不要。
毎回は食べなくても美味しいと実感することで扱いが優しくなってくれたらいいなと。美味しさがわかれば8本髭もぺちぺち動くのも可愛くなってくると思います。

例えばツンデレって普段ツンツンしてるからギャップでデレた時の破壊力が跳ね上がる訳じゃないですか。ゴンズイに限らず外装特化した美味しい毒魚はツンデレ要素あると思うんですよね。デレた時には皿の上だけど。
「外道だから」「毒があるから」って陸に捨てていくような人が減ってくれるといいんだけどなぁ。

 

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Comments & Trackbacks

  • コメント ( 37 )
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  1. ごんずいの天ぷら美味しいですよね。
    先週食べました。

  2. 木曽三川で釣りをしていてギギが数匹釣れたので、こちらの記事を参考に混ぜご飯にしてみました。大変美味しかったです。
    これからも更新楽しみにしています。

    • あのへんはネコしか採れたことなかったんですが、今はそんなになっちゃってるところがあるんですね。
      移入魚はどんどん食べちゃいましょう。

  3. 塩水処理しなきゃ、生だと臭くて食えないと思った(笑)

    蒸して、蒲焼して、刻んで、ひつまぶしにしたら、鰻っぽくはなりますね。

    • 底生で食性も考えると個体差地域差があるのでそのへんは昔も書きましたが大前提です。
      活け造りにしたものは臭味皆無でしたね。
      夏なんかは持ち帰るだけで劣化による臭味が身に浸透するように湧いてくるので刺身に向かないと思います。

  4. RTとかせめてしっかり見て読んでから言ってくれよ…って思いますねこれわ…。
    しかしゴンさんを広める会は釣りを始めた頃にたどり着いておりました。なんだか胸熱。
    初めて食べたゴンとカボチャの味噌汁の味は忘れられんです。
    一つ我慢がならないのは、25cmを超えるゴンちゃんを釣った記憶が無いという事です。
    ギギギ…とても悔しい…。

    • でかくなると寿命もあるのかなんなのか痩せた個体も増えるので太ったのは半々くらいですかね。
      日本人の煮付けに合う味なのでほんと日本人向けの魚だと思うんですけどね。

  5. >試しに刺してみたことと
    (゚д゚)

  6. 無沙汰をしておりました。
    海釣りと言えば堤防で雑魚釣りを愉しむ程度の僕にはゴンちゃんは昔から馴染みでせつなさんの仰るとおり美味しくてお茶目なやつだと思います。
    いかんせん、せつなさんのような探究心が今まで無かった為に味噌汁と焼き物と味噌仕立ての鍋しかやった事がありませんが、この記事でほほう!と思いました。是非色々チャレンジしてみよう。常々蒲焼きは?とは思っていたのですが、ん〜、百聞は一見に(一食?)にしかずでこれも試してみようかな、と。
    あ、遅ればせながら明けましておめでとうございます。
    ちなみに僕は刺された事はありませんw

  7. なんだかツイッター含め、地味にゲームとかサブカルチャーのネタが混じっている気が…
    アウトドア派の人だと思ってましたがもしかして両刀だったりしますか?

  8. みかばんちょー

    以前から拝読させて頂いておりますが初めてコメントします。
    ゴンズイに対して、こちらの記事や色んな方の紹介でメチャクチャ興味が沸きました。
    今までは釣れるとビクビクしながら針を外してリリースしてましたが、美味しく食べられるのを知り、今は釣って食べたい一心です。
    問題はあのキュートなゴンちゃんを締められるか…そこが課題になりそうです。

    • 期待通りかどうかはやっぱり調理までの過程と調理法にかかっていると思うので、そこんとこだけ注意してくださいませ。
      その上で美味しければよいし、それでも合わなければ仕方ないですし。

  9. ゴンズイってホント、仲良しですよね。日中はみんな同じ岩場の裏で雁首そろえてますが、夜は潜ってないからどんな風に過ごしているか分かんないですたい。(笑)
    ちなみに、ゴンズイやアカザは仲良しさん多い感じですが、鯰やギギは江戸っ子並に短気な輩が多くケンカ早いですね。いずれにせよまだ刺された事はありませんが、毒はハオコゼで懲りましたので刺されたくはありません(笑)
    それにつけても・・・いつもながらの 

    メ シ テ ロ (涎)

    • ハオコゼは刺してみたことしかないですが、近い感じの痛みではあります。
      ただやっぱりゴンズイは棘が太いからかダメージの広がりがかなり大きいような。

  10. ゴンズイ旨いですよね。
    ボウズのときは助かります。

  11. 俺の料理をいつも貶す同輩がコイツの一夜干しを絶賛していたのが懐かしいです。
    たくさん釣れる場所が釣り禁止になったので、ポイント開拓中です。

  12. 中々にキュートなお名前のお魚です
    お味もキュートなれば是非とも賞味いたしたく思いますが
    生憎山国暮らしにつき、魚屋に無きものは試せませぬ

    それにしても毎度ながら結構なお手前です
    食材といえども基は命あるもの
    美味しく頂いてこそその命が全うされる
    心に染みます

    • 内陸だと場所によってはギギという国内移入種が猛威を振るっているので似たような調理でいけそうですよ。
      内水面なので刺身は絶対ダメですが。

  13. >>ちなみにそのまま内臓をエサにすれば次のゴンズイも釣れます。
     無限ループ怖いです。

  14. たくちゃんがマンホール

    ゴンズイ活け造りとても美味しそう
    種類が同じかは不明ですがフィリピンでもよく食べられている魚です。
    毒棘を取り焼いて食べるそう、刺身で食べるとクレイジー野郎だと思われるそう…日本人でよかった

    • 万人受けするかと聞かれたら食感が斬新すぎて微妙なところですけどね。
      世界にはありえないサイズのゴンズイの仲間がいるのでいつか釣ってみたいものです。

  15. 魚(に限らず生物全般)に対する愛にいつもながら敬服いたします。

    仕事柄よく潜って魚を見ますが、ゴンズイ成魚が玉を作るのは見たことがないです。ただ、昼間に成魚が岩の割れ目などで大量にひしめいているのは良く見ます。その時はダラッと寝ているのではなく、常にホバリングしている感じです。

    それと、大根のケンと大葉はいつも携帯されているのですか?

    • この時は遠くから知人が来てたので大根と大葉ワサビ醤油持っていきましたが、さすがに普段は持ち歩かないです。

      玉はそうだろうなという感じはあったのですが、先月夜中に高速で泳いでいる何かを見かけて追跡してみたら大型ゴンズイでした。
      まさか大型になるとあんな速度で泳ぐものだとは思わず、そういう新しい事実を知る度になんだか嬉しいです。
      土管に詰まってるゴンズイ可愛いですよね。

  16. ゴンズイ美味しいっていうのを以前の記事で見て、刺されて号泣しながら処理したはいいものの、生臭くてちょっと…って思ってました。
    今回の記事読んで解決しました。
    内臓抜けばいいんですね。
    ちょっとまた釣ってきます。忘れずにメゴチバサミ持って。(一敗)

    • とにかく鮮度落ちは早いです。生臭さは完全に扱う人間の責任ですね。
      泥臭さみたいなものは場所によるものと、そうでなくとも僅かにそういったクセはある食材です。

  17. 痛み対策にホッカイロを持っていくといいんじゃないかな。
    試したことないけど。

    • ハクキンカイロが熱がホッカイロよりも温度が高いのでいいかもしれませんね

      • カイロは温度上昇が遅いのと握ってて暖かさが保てないのがイマイチだと思うんですが、ハクキンカイロはかなりいいんじゃないかと思います。

  18. 記事読んでたらお腹が空いてしまう
    美味しそう

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