ざざむし。

ホタルイカ身投げは闇も知られるべき

ホタルイカの身投げを知っていますか?

富山の春といえばまずはホタルイカの身投げから始まる印象があります。

ホタルイカの身投げというのはホタルイカが海岸に押し寄せて大量に浜に打ちあがる現象を言います。闇の中に無数のホタルイカが青白く光を放つ幻想的な光景が広がり、打ち上げられた後は死に絶えます。


目の周りと腹面体表の細かな発光器と第四腕に3個づつの発光器を持ち、闇の中で見ると元気なうちだけこのようにハッキリ青白く光ります。この発光が大量の身投げと同時に起こると海岸が青白く輝くという幻想的な光景になる訳です。産卵絡みのホタルイカが目印の月明かりを見失って上がってくるなどという話を聞きますが実際のところはまだその仕組みや生態には謎も多いようです。
寿命は1年で、身投げ状態となるホタルイカは死んでしまうことから昔から食用にされてきました。

で、問題はそのホタルイカの身投げを取り巻く人間側の状況なのですが、年々悪化しているように感じます。
と言っても私は富山に引っ越したのが昨年の春で、それまでは数回しか来たことがなかったので新参ではあるのですが、それでも容易に想像がつく状況であるということです。世にある情報は美味しいところばかり表に出し、廃れたら知ったこっちゃないというものが多く、ホタルイカに関してもそんな危機感を感じます。

ホタルイカなんて検索すればいくらでもレシピが出てくるでしょうから料理のほうは他に任せておいて、普通は敬遠されることもモリモリ書き殴りたいと思います。

ホタルイカを採ってもいい場所

浜に寄せられるホタルイカを陸から採る分には漁業権が設定されていません。

富山市常願寺川河口から魚津港までの区間15㎞✖沖合1.3㎞まではホタルイカ群雄海面が国指定特別天然記念物として指定されているので、それだけホタルイカが来る場所ということではありますが必ずしも岸まで来るとは限りません。
大量のホタルイカが青く光る光景だけが見たければ滑川漁港ほたるいか定置網が海上観光をやっているので、それを利用するのが確実で良いのではないでしょうか。

当然の話ですが、漁業権が設定されていないとはいえ侵入禁止の場所などは論外です。
シーズンには多数の無法者も現れます。初めて訪れる人にとっては人が集まっている場所というのはポイントのひとつの目安にはなりますが、先客がやってたから大丈夫だろうという思考停止はトラブルを招きますので常識人としての自己をしっかりもちましょう。トラブルに関しては後述します。

身投げの起こり易い条件

皆が最も知りたいのがこれなんでしょうけど、どの程度の爆湧きを求めるかにもよりますが100%はありません。
また、検索すればいろんな人がいろんなことを言っていることがわかります。結局は自分の目で見て考えて結論を出すことで、湧かなかった時のデータも重要です。せっかく引っ越したので昨年はダメだろうという日もあえて何度も行ってみました。なるほどと感じるものがありましたね。

ちなみに交接後に接岸するのでオスは殆ど死んでしまい、富山湾のホタルイカにはオスは1%くらいだそうです。中にはメスしかいないなんて書いてあるサイトも見かけますが、販売されているものは水揚げがあった時点で漁師さん達が冷たい水の中で1匹1匹選別しているからメスしかいないんですよ。
だから掬っていれば少ないながらオスも採れます。販売されていないオスが見られるのも現場ならではですね。

湧かないタイミングで行ってしまえばポツリポツリとこの程度で終わってしまうこともありますし、行けば採れるなどと甘く見て何も考えず行けばゼロだって当たり前にありえます。少しでも確率の高くなる条件を考慮して行きましょう。

1)新月大潮まわり
よく言われるポイントですが結局これ以外でも湧く時は湧きますし、湧いてる日でも常時湧きっぱなしという訳でもありません。また、新月大潮周りだって他の条件のマイナス要素が大きければ湧きません。あくまでも新月は爆湧きの可能性を含めて出会える可能性の高い一要因です。
2)暖かい南風で凪の日
ホタルイカは湧昇流に乗って上がってくるイメージがあり、北風だと沖から寄せられた冷たい表面海水が海岸から下へ滑り込み押し込まれるイメージ。当然、風向きが変わってすぐ反応が変わることなど考えにくいので各気象情報やアプリを駆使して予測すればわりと簡単に確率は上げられますね。事前情報を見ていなくても川からの濁りやゴミが岸に極端に寄せらている時は表面水が押し寄せられている訳ですから(潮もありますが)北風だった可能性も高いと思います。実際に採る時の風向きはあまり関係ない。あえてわかりやすくは書かないので出会いたい人は努力しましょう。その努力は遭遇時の感動を大きくする調味料です。
3)雨を避ける
浜で青く光る身投げを観察したいだけならばこれは絶対でもないのですが、採って食べたいとなると致命的です。水面を風雨で叩かれて海中を泳ぐ姿が見にくいというのは「居てもあまり採れない」ことにも繋がります。雨粒の大きさにもよりますが、波紋が多数出るとほんと海中見えないんですよね。詳しくはポイントによる短所のところで後述しますが、浜に打ちあがったものを食用に集める人は殆どいません。
4)低気圧を避ける
海洋生物は気圧で活性が変わることも多いと思うんですが、ホタルイカは活性どうこうではなく来るか来ないかなので重大です。明日から崩れるから今晩はセーフ・・・ではなく、それくらいで既に影響が出ると思っていいと思います。逆パターンも1~3の条件をクリアするとなるとかなり湧く可能性がある日は限られるのがわかるでしょう。

満潮前とか明け方がいいなどは様々な条件次第で変わります。そこだけ見ていても外すでしょう。結局のところ総合判断です。新月周りの確率が高い理由がアレならば、それ以外の月齢ならあの条件で採れる確率が上がるだろうとちょっと考えれば想像がつきますね。ホタルイカの習性を設定して想像すると次第に無駄がなくなります。
時期的には3~4月が確率高いですが早ければ2月から始まり、漁も落ち着く5月いっぱいで終盤。過去には稀な例ですが6月でも身投げが確認されているようですす。今年なんか遅かったので3月中旬まで殆ど湧かなかったですね。定置網にも殆ど入ってなかったんだから仕方がない。

うまく湧いたタイミングに行けるようになれば一掬い毎にこれくらい入ります。
タイミングによっては夜が明けてからでも結構掬えることもあります。
一掬いで網が壊れるくらい湧くことがあるらしいですが、残念ながらまだそこまでの爆湧きに遭遇したことがないので一度くらい見てみたいものですね。(そんなにいらんけど)

ホタルイカを採る上でトラブル回避する為のマナー

これ、ホタルイカに限らないです。
ハタハタ、サケ、潮干狩りなど、無料で採れるターゲットとなると現場に集まる人の民度が大きく二極化しがちです。枯渇させても知ったこっちゃないから自分だけ楽しめればいいという考え方は論外ですが、ホタルイカの場合はその後ほぼ死んでしまう運命なので乱獲したところでさほど影響はないとも言えます。ただ、鳥や海中の生物の取り分は減りますね。本来、内陸の生物が海の養分を摂取した場合は内陸で排出することで陸上に栄養分を戻すのですが、殆ど水洗トイレになってしまって下水道処理が発達してしまった現在においては、必要以上にヒトが摂取してしまうのはどうなのかなというところがあります。

そのへんは「くう・ねる・のぐそ」でも読んでもらえるとなんとなく無駄な搾取を減らす人が増える・・・か・・・もしれません。
本当に自然に感謝して最大限有効に消費できる分だけを持ち帰るに留めたいものです。

先に挙げたハタハタやサケや潮干狩りに共通した問題としては、シーズンになると県外からも人が押し寄せることにより「より可視化される倫理観の欠如」があります。これは必ずしも県外の人に限らないというのが重要なところで、普段は地元民もやっているが人目も少なく可視化されにくいだけということも多いということです。観光にもなるとなれば簡単に世間は良いところだけを表に出して売り出そうとしますが、それはネットでの広告でもブログでも同じこと。
だから事実としてこんなことがあるので注意してほしいということをいくつか列記したいと思います。

1)駐車場
駐車場の広い富山といえど、海岸線に停められる場所は限られます。停められなかった場合は素直に他を探しましょう。
また、港は広く見えても漁業関係者の毎日の職場です。ホタルイカ漁や定置網の引き上げは深夜から朝にかけて行われますので、作業の邪魔になるようなところに停めてはいけません。釣人の違法駐車で禁止になった例が多いのと同様、あまり酷いようだといずれは規制の対象となるのではないでしょうか。
2)騒音
ホタルイカの身投げは夜間がメインですので、民家が近い場所では騒ぎまくるのも論外です。また、案外気付いていない方も多いと思うのですが車のドアを開け締めする音も深夜には結構気になるものです。普通は一度音がすれば終わるものが夜中バタンバタンと繰り返し続ける訳です。行った本人はその場しかいませんが、住んでいる地元民はシーズン中そんな毎夜を過ごさねばならないことも考えましょう。
3)火器
流木などを燃やしては消防車が出動している光景が増えています。
大前全国的に国定公園では焚火NGです。あとはその入口に焚火禁止などの看板がある場合。これは安易に抜け道などを教わって行っただけの人などが陥りそうな罠ですね。海岸法や消防法もいつどう変わるかわからないので注意しておく必要がありますが、基本的にはOKという確認がとれていない場所で行き当たりばったりで焚火することは避けるのが安全でしょう。ただでさえこの時期は深夜のパトカー目撃がやたら多いですし、人が多ければそれだけ「焚火=違法」だと廃棄物処理法を勘違いしてしまった人の通報が増えても至極当然だといえ、その通報を全て無くすことは不可能でしょう。現在まで問題ない場所であっても度重なる問題が起これば条例で禁止になりかねません。どうしても火器を使用したい場合は禁止場所でないことを前提に火の管理ができるガスコンロなどを持参するようにしましょう。
また、港内において認められている焚火は漁業関係者による影響が軽微なやむをえない焼却行為だけだったと思います。バーベキューなどはやるべきではないです。

燃え上ってもいいのはガンダムだけ。
4)私有地や禁止区域
駐車場にもかぶる話ではあるのですが、人が殺到するからこそ人は自分だけの楽園を探すものです。その時に本当にそこは問題ないのか考えましょう。
駐車場自体が私有地ではないかは勿論ですが、私道などはいつも車で埋まっている訳ではありません。地元の方が通りたい時に通れないような使い方はしてはいけない。
また、港も基本的には禁止だと思うんだけど富山は緩いなぁという印象があります。とはいえ禁止という柵があれば最低限そこから先に入るべきではないし、漁船に勝手に乗るなど論外です。
5)事故
初めて身投げを見に来た時に驚いた記憶があるのですが、深夜2時3時でも小学生低学年くらいの子供も網持って走り回ってるんですよね。私個人としては微笑ましくべつに構わないと思うのですが、これが普段から自然の危険性も体感しながら成長してきた親子ばかりならまだしも、こんな時しか自然に触れない親子もたくさんいるはずです。最近は釣り業界が事あるごとにライフジャケット着用を謳っていますが(あれはあれで危険回避の保険でしかなく安心材料として頼りすぎ危険性を判断するのを放棄する可能性があるのは疑問に思うけど)、少なくとも夜中に見かける子供達がライジャケ着てるのなんてほぼ見たことありません。
死亡事故が増えるようなことがあれば規制への速度は早まるのではないでしょうか。
6)対人トラブル
気になるのは港内の場所とりなどでしょうか。特に投光器を使用している方は地元県外に関わらず、特性上回遊待ちとなります。光の照らす範囲の広さをテリトリーとする人もいれば友好的な人もいますが、それは近くで網を振るう人の行動にもよります。傍から見れば光が目に見えるのでテリトリーに見えるかもしれませんが、それ以前に人にはもともとパーソナルスペースがあることを忘れてはいけません。周囲が人だらけでそこしか空いてなかった時であっても、近くに入りたい場合は「こんばんは。お隣よろしいでしょうか?」くらいは声かけするのが普通でしょう。それでも「許さん。あっち行け」的な対応をとってくる人は要するにそういうカワイソウな人なので快適なホタルイカライフの為に移動するのが吉でしょう。釣具屋もホームセンターもホタルイカ用に普通に投光器を販売していて特に規制もないので富山県で使うのは自由ですが、使う立場になった際には懐の広い行動をとれるようになると富山のイメージにも繋がるんじゃないかなと思います。
7)ゴミ
ホタルイカに関しては使う道具などその性質上、ゴミ問題は比較的少ないとは思いますが無い訳じゃない。旅行ついでに来て現場で買ったものが役に立たなかったり用済みになったりすれば捨てていく輩もいる。回遊待ちに嗜んだ嗜好品のゴミもしかり。
浜に身投げしてしまったホタルイカの場合は本来の生態系の範囲内なので夜が明ければ鳥の餌になり、海中では様々な生物の餌になり消えていくのが普通なのでホタルイカの死骸自体が問題になることはないが、サケの場合はイクラを抜いて身を捨てていく者、ハタハタは逆に卵を捨てていく者や産卵されている海藻を陸に捨てていく者などがいる。不要な内臓を捨てていく感覚なんだろうが、そんな状況が当たり前に続くようであれば規制もやむなしでしょう。

お目こぼししてもらっているという意識を忘れないこと

1~7までのことが自分の近所で起こったら皆さんはどう思うでしょうか。ましてやホタルイカに興味のない近所の地元民だったらどう思うか。
「めんどくせーな早く規制してくれないかな」って思いませんか。
観光資源と言えば聞こえはいいけど、タダだから集う人の一定数っていうのはそういう土地にあまりお金落とさないですよね。迷惑かけるだけかけてお金落とさないんだったら窮屈に仕切られた観光だけにされたって文句は言えない。
夜間の港内への侵入だって締め出そうと思えば締め出せる。それはいまや禁止の増えてしまった関東の港を見ても明らかで、現状ではお目こぼししてくれていることがたくさんあるはずなのだという意識を忘れてはいけないと思うのです。違法行動については発見次第いくらでも通報はできるのですが、通報が増えれば増えるほどなんらかの規制へと近付くことを忘れてはいけない。

正直、このままグダグダと悪化していくだけならさっさと法規制してくれたほうがいいかとも思うのですが、ここを見て富山のホタルイカ身投げを見に行こうという人達からはモラルある人だけが行ってくれたらいいかなと思い、書いてみました。

あと、毎年大量に採って市場や店に持ち込んで買ってくれないか聞いてくるアンポンタンがいるそうです。砂噛みを避けられている補償もない、仕分けもされていない、そんな品質の定かでないものなんか買い取る訳ないじゃないですか。仕事の邪魔になるだけなのでやめましょう。
自分に必要な分だけ採ったらもうそれでいいじゃないですか。

ポイントによる長所と短所

磯やテトラなどちょっと危険度の高い場所を除外すると、ポイントは港と浜に二分されます。
ざっくり長所と短所を記します。
少し生物探しの心得がある方ならば、先にグーグルアースと海底地形図を見比べてから希望が持てそうな近くの港か浜を選ぶと楽しいです。
行きたい場所に合わせて適した道具を準備していくと良いでしょう。

港の長所
・比較的明るい場所が多い(それなりのライトは必要)
・足場がわりと安全
・若干の波なら無視できる
・ホタルイカが砂をかまない
港の短所
・海面まで届く長い網が必須
・移動しない人が多いので混雑時は遅く行くと探しにくいこともある
・初めて行く人に漁業関係者の邪魔にならない場所がわかるかな?

・打ちあがらないので間近に身投げの光景は見られない

浜の長所
・身投げを見るor撮影するだけなら網も不要
・歩き回る人が多いので浜まで出られさえすればなんとかなる
・凪なら長靴に短い網でもOK
浜の短所
・基本的に暗いので強いライト必須
・軽装だと滑るor濡れる(濡れるつもりなくても夢中になると結局濡れる)
・ちょっとした波の日やホタルイカが少ない時でも軽装備の人には厳しくウェーダー着用の入水が有利
・ホタルイカが砂をかむことが多い
ホタルイカが砂をかむというのは、一度でも砂浜に打ち上げられるとキュポキュポもがく間に砂を吸い込んでしまうことによります。このため、打ちあがっているホタルイカはどんなに洗ったところで噛むと内包された砂がジャリジャリして食べられたもんじゃない。全部開いて身だけ調理すれば別ですが、何kgもめんどくさくてやってられない。昔は肥料にもされたようですが、普通は集めても釣人が釣りエサにするだけです。泳いでいるものだけ採っていたつもりでも、一瞬打ちあがって次の波で再び海に戻って泳いでいるものもいるのでどうしても砂噛みを100%は避けられないというのが砂浜際の最大の欠点といえます。浜でも突き出た石積みや堤防で採れば砂噛みは殆ど避けられますけど、それでもね。
自分の目的や装備に合わせてどこへ行くか決めるとよいでしょう。


大は小を兼ねる観点からどこでも通用するように考えると最低装備はこんな感じで選ぶと良いでしょう。
ウェーダーは港なら不要ですが浜なら圧倒的有利。若干高くなるけど寒い時期なら素材はネオプレンがいいですけどね。
網は10㎜前後の目の網を磯玉の柄につければだいたいどこでも通用します。
ヘッドライトは最低300ルーメンあれば疲れにくいですが最近は安くて高機能、明るさがおかしい。
ライジャケは自動膨張式が便利ではあるけど1年毎の検査に出す気もない人は従来のシンプルなものが安くても安全です。特に目を離した隙に何か起こる可能性のあるお子さんには着せておいたほうが確実ではあるでしょう。子供用なら保険としては格安ですしね。
クーラーは実は安い発泡クーラーが便利だったりしますが、実際使えばどうして便利なのか気付くでしょう。

とれたてホタルイカは一味違うんです

「ホタルイカ如きにそんな面倒な思いするくらいなら買えばいいし。」
って思うじゃん?

採りたては全然違うんですよ。
とはいえ、ホタルイカには低確率のアニサキスのほかに、もっと高確率で危険性の高い旋尾線虫という奴がいて踊り食いはできません。
旋尾線虫の幼虫は大きくて10mm✖0.1mm程度と小さく細すぎて目視しにくい上、死滅させるには-30℃で4日以上、-40℃で40分の過程が必要とされるので安全に生食するにはアニサキスよりもハードルが高い。消化管に寄生するらしいので身だけにしてしまえば低リスクなんでしょうが、正直こんな小さなイカにそこまでしなくてもヤリイカやケンサキイカが沢山釣れるので意味を感じない。というか、大漁な時にそんなことしてたら鮮度よいうちに処理しきれないんですよね。
販売されている刺身用ホタルイカは急速冷凍されているという話も聞きますが、店で食べる際などは信用のおける店を選ぶようにしましょうね。

黒造りなどの塩辛や沖漬けも美味いけど、これも個人的にはそんなにしょっちゅう食べたいとは思わない。鮮度の落ちやすいイカゆえ、作るなら採ったものを手際よく仕込まないといけないので、沖漬けなら現場で漬け液に仕込んで冷蔵して持ち帰り、自宅でしばらく冷凍・解凍を経てから食べればわりと安全でしょう。
ということで私自身は専ら加熱派なんですが、採りたては加熱しても味が別格なんですよ。こんな味してるというのは初めて採って食べるまで想像してなかったことでした。浜で生きたまま茹でるのと近所に持ち帰って茹でるくらいなら誤差なので幸いです。


大量に茹でるならやはり大きな鍋かつ大火力で茹で上げていくのが効率よくていいですね。
海水程度の塩分濃度で沸騰したら投入、再沸騰から2~3分しっかり茹でます。鮮度がいいからって中途半端な茹で方だと肝がうまくない。ボイルされた色も真っ黒になったようなのがよく売られていますが、特に肝の味が全然違います。


見てこのプリップリ感
しかも富山で採れるホタルイカは大きい。5月に向けて大きくなっていきメスは胴長7㎝くらいになります。
酢味噌でも生姜醤油でも堪らないけど、茹でたてはそのままでも十分にうまい。採れたて限定の不思議にカニミソめいた風味を孕んだ肝は濃厚でありながらくどすぎない。

でも茹でてしばらく冷蔵していると次第に売ってるものとの差が縮まってきてつまらなくなる。それはそれで美味しいんだけどさ。目玉とってタコ焼きみたいにホタルイカ焼きにしても美味しいけど大漁の時は全然減らないのでオススメできない。大きなメスが10gとすると10㎏とれたら1000匹もいる訳で。

肝をニンニクバターで炒めて鰹出汁で溶きまとめ、別茹でしたホタルイカとコシアブラとパスタを和えるだけの簡単パスタが1人前50円なのにバカみたいに美味い。
いくらくどすぎないとはいえ濃厚すぎる肝の旨味、それだけでは飽きるけどコシアブラが一口毎に爽やかな香りでリセットしてくれて無限に食べられる。入手しやすい野菜なら春菊なんかのホロ苦で香り高い菜物が合うと思います。菜花なら茎が肉厚のものがいいかも。


クーラー何杯も持ち帰る人達って一体どうやって処理してるんでしょうね。
いくら美味しいとはいえ一人暮らしだと茹でただけで当日に食べきるのは無理な話で、先日も9㎏あったので半分保存食にしました。


茹でたホタルイカからひたすら目玉と軟甲を取り去り、持ってる干し網達をフル動員して風通しの良い外で軽く干していく。
1日干したら定番の甘露煮に。

でも当たり前すぎてつまらないので今回は

燻製にしてオリーブオイルに漬けたり


更に1日干したものを濃縮した茹で汁で軽く戻してから、ゴマ油・唐辛子・乾燥ニンニク・フライドオニオン・山椒・葱・生姜・胡麻で食べるラー油を仕込んで

一杯やったりなどして楽しんでました。
乾燥したことで変化するイカの旨味と内包されてる肝がいい仕事しますね。

1瓶50杯入りの保存おつまみもしこたま出来たので満足ですが、全然足りない感じがするので次に湧くタイミングにも行くハメになりそうな雰囲気です。

と、いう感じで採りたては採りたてでしか味わえない別格の美味さがありつつ、保存食もできて美味しく長く楽しめるのがホタルイカ爆湧き体験の良いところでもある訳ですが、それは長々と書いた前半の前置きを意識して守れてこそ末永く楽しめるものでもあるはずなのです。
誰にでも楽しめる権利は「今は」あります。
それを守っていけるかどうかはおそらく参加する皆さんの守るべき倫理観次第だということを忘れないでもらえるといいなぁと思います。

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Comments & Trackbacks

  • コメント ( 6 )
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  1. 返信ありがとうございます。
    地元の魚菜市場や角場魚類サンなどに鮮度保持の勉強をさせて頂きました。
    得た知識が正しいか正しくないかは行動してみないと分かりませんが
    せつなサンにヒントを頂き新しい知識を得る事が出来ました。
    ありがとうございます。
    初めてのホタルイカ掬いで人の多さに驚きましたが、それよも驚いたのがホタルイカの接岸の数より煙草の吸殻の爆湧きでした。
    富山県におじゃました時は、持ち帰り処分できるゴミの量は限られていますが微力ながら協力させて頂きたいと思います。
    一年の中でホタルイカにも人間にも特別な期間。
    地元の方の生活やそれを生業にしている方々に迷惑をかけないように節度を守って楽しみたいです。

  2. 我が家も今年で3回目の富山でホタルイカ探しにいく予定ですが、2回とも子供たちはホタルイカミュージアムで生態を知ってから、海に行ってます(笑)

    今年もミュージアムに行くつもりな子供らですけど。

    確か、マナーなんか見てると三番瀬を見ている気持ちになります。

    子供の頃から三番瀬で潮干狩りで遊んでた人間なんで、今の漁師のような人がごった返す三番瀬は少し悲しくなりますね。

    食べれるもの生態を知ってから、採ったり、料理するのも大切じゃないかと思います。

    まぁー、私は釣り好きなんで魚の寿
    命、産卵、水温、漁業権なんか調べるのが当たり前だと思っているけど、せつなさんのブログは考えるきっかけになると思います。

    昨日、卒業式を迎えた子供ら4人を連れて、珍しい食べ物がある居酒屋へ行って、ざざむし、イナゴ、メダカの佃煮を食べさせました‼️

    このブログでざざむしを知ったから、食べさせたい気持ちになりました。

    多少なりとも、このブログを読まなければ、食べないような食材を知れたり、マナーなんかを示してくれたり、皆の考えが自然に共存できる優しいものになるといいですね。

  3. スパゲッティ美味そうってレベルじゃねーぞ!><
    羨ましくて死んじゃう

  4. 内容にあまり関係ないのですが、給食に出るホタルイカのケチャップ和え(富山だけ?)
    が見た目がグロくなんとも不気味でしかも不味いのでホタルイカ嫌いになり
    まともに食べられるようになったのは大人になってからでした。
    そんなわけでケチャップ和えおすすめです!

  5. 初めてコメントさせていただきます。
    群馬の秘境からホタルイカ掬いにお邪魔させてもらってるモノなんですけど。
    掬ったホタルイカを6時間鮮度を保ったまま持ち帰る方法はありますか?
    初歩的な質問で申し訳ないです。

    • うちも以前は6時間コースだったんですがその頃は現地で食べきれるくらいしか採れないタイミングばかりだったので遠方輸送してないんですよね。
      基本的にはイカなので水には極力漬けないことだと思います。真水は厳禁。死ぬと浸透圧もガバガバなので海水たっぷりのまま持ち帰るのもよくないのではないかと思います。水と隔離を条件にキンキンに冷やして帰る訳ですが、ホタルイカは鮮度低下が激しいので実際どこまで温度を下げてよいのか、どの温度帯がベストなのかは知見がないです。このあたりは近年物流が発達したことでホタルイカの運送も発達しているから、その方法にヒントがありそうですね。急速冷凍ばかりは何の参考にもなりませんし。

コメントしたければしてもいいのよ?(カエストハイッテナイ)

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