ヤドカリはハサミや脚にカニ風味、腹部は内側から貝殻をしっかり掴むようエビに似た筋肉があり、カニ味噌ともエビ味噌ともつかない濃厚な肝膵臓が覆っている。
食用としてマイナーなのはやはりサイズの問題が第一なのではないか。
そして多くのカニやエビと対等に戦えるまでの風味があるかというと、少々弱いものが多いように思う。
そんな中でも各地で細々と食べられてきたヤドカリがいるのだが、三浦のオニヤドカリ、通称「あまがに」なんかもそのひとつ。
なんだかよくわからないがこのヤドカリを食べると水が甘くなるというから「あまがに」。
効果はまちまちな感じがするが、舌から喉にかけて膜で覆われるようなミナミコメツキガニと似た不思議な感覚が残り、人工甘味料のような化学的な甘さを感じるようになる。
味噌汁や茹でヤドカリでも効果はあるが、刺身のほうがより効果を感じる気がする。
ただ、どうもこの甘味の素が人工甘味料と似た傾向があるのか、ヤドカリのカニミソは食べ過ぎると腹を下す人もいるらしい。
ヤドカリといえばヤシガニもそうだが、確かにミソには見るからにカニとは比べ物にならないくらい油分を含んでいる。
はっきりしたことは言えないが、楽しむにもほどほどの量が良いかもしれない。
・・・なんてことを書いておいてなんだが、今回はそのヤドカリの腹だけで塩辛を作ってみる。
ヨコスジヤドカリやオニヤドカリではたまに作っている人を見かける。
ミツカドホンヤドカリを潰して塩蔵熟成させたものは平安時代の朝廷に献上されていたこともあるという。
現在では天然記念物指定で採取不可能となったオカヤドカリも塩辛を作られていた歴史はあるようだ。
作り方は、だいたいが丸ごと潰して塩と混ぜ込み、熟成させるだけというもの。
でもなー
シオマネキのがん漬けでもそうなんだけど、食べてる時の殻感があまり好きじゃないんだよね。
旨味だけにしたい。
ということで、今回は腹だけ使うことにした。
いつもなら1時間で4~50個採れる場所なんだけど、不漁でちょっとしか採れんかった。
家賃未納なので出ていってもらいます。
未納分を頂きます。
中身を引っ張ると、いわゆるカニミソの部分がツルンと出てきます。
ここで背ワタも取り去ります。
残った皮の内側にはエビのようなしっかりした筋肉があります。
刺身で食べるならここですが、今回はここも漬けます。
今回は少々小型だったこともあり、9匹から肝・内子・外子・筋肉を集めてもたったこれだけです。
味見程度には十分でしょう。
目分量で20%弱の塩を入れてシャッフルします。
もっと薄くしたいところだけど、いつ食べるかわからないのでビブリオや雑菌の繁殖を抑える為に濃い目です。
ちなみにこれから船に乗るので、ここまでは車内で行いました。
ひとまずクーラーに入れ、持ち帰ってからは冷蔵庫で寝かせます。
2ヵ月後。
なんだか全然変わったように見えませんが大丈夫でしょうか。
フォォォォォォッ!
めっちゃ海の匂いがする。
牡蠣を剥いた時の第一牡蠣汁の匂いに生ホヤを足したような強烈な香りがアッパーカットしてきます。
最初はこんな匂いじゃなかったから発酵なり腐るなりしてるのは間違いないな。
どうでしょうか。
ミソ部分・・・でろり濃厚、見た目ウニっぽいが全く別物。
外子・・・まとめて咀嚼するとジャクジャクいうが、細かくバラして噛むとプチプチ感が良い。
筋肉・・・サクリと噛み切れる感じでエビ感はなくなり、塩分吸いすぎで塩辛い。
液体・・・めちゃくちゃ旨味濃厚だけどエビでもカニでもホヤでもない。
全て潰して漬けるのが正解だということがこの時点ではっきりわかる。
つまり半分失敗だ。
そして筋肉を食べ飲み込んだ直後に現れた違和感。
これは!
レモンを齧ります。
すっぱくな!っっっぱい。
あれ?
もいっかい齧る。
んー
もっかい。
効果なし!
いや、間違いなく喉は何かに覆われたような違和感があるんだけど。
この後飲んだ麦茶も何かクッションに当たりながら喉を通過するみたいな感じだったし。
でも舌は普通に酸っぱさを感じてる。
なんだこの中途半端。
これはこのまま食べるならやはり全て擂り潰してガン汁みたいに濾してから塩漬けするべきで、それならば冷奴に合わせたりドレッシングに使ったりと使い道はありそうだ。
しかし今回はそう使うにはちょっと微妙な感じ。
生クリームと合わせてヤドカリ塩辛パスタにしてみた。
風味濃厚な汁もたっぷり入っているので旨味が濃い!
甘い小ネギがめっちゃ合う。
カニでもエビでもない、やっぱりよくわからない海の塊的な不思議な味。
そしてやっぱり喉に僅かに残る不思議な感じ。
いきます
んー・・・・・・・!?
いや
ちがうな
異常なし。
単に生クリームの乳成分が味蕾をガードしていただけでした。
やっぱり効くのは生か濃度の高い味噌汁くらいっぽいですね。
アマガニ効果がないんだったらミツカドホンヤドカリで作りたいよなぁ。
毎回創作料理がパネェです
なんとなくですよ
はじめまして。前のサイトの頃からROMっていました。
レモンやタバコを甘く感じるようになるアマガニ効果ですが、もしかしたら亜鉛が関係しているかも知れません。
亜鉛めっき鋼板(いわゆるトタン板)を溶接していて飛散した亜鉛を含む煙を吸うとまさにそんな状態になります。
何故かバジルでもなったことがあります。
とりあえず情報提供まで。
それはまた興味深いですね。
亜鉛は必須な金属だからか不摂生極まりない時に舐めると甘く感じることがあるけど、何か関係あるんでしょうか。
バジルはてんこ盛りファイヤーしてみましたが足りなかったのかとりあえず効果わかりませんでしたw
すっぱくな!っっっぱい。
行きますん的なもの好きです。
時間差攻撃にはどうしようもなかです
ゴウナ漬けが復活して商品化まで待ったなしですね。
何でも同じだけど、結局はどうアピールするか、受け入れられるか、底力があるか、そんなとこですよね。
美味くても楽な代替品があるとよほどじゃなきゃ普及しないし。
ざざむしさんを見ていると子供の頃もっと自然と遊べばよかったと後悔します
今からやろうにも虫取りぐらいしかできそうにないし・・・
私達でもブランクありすぎるものは再開するのに抵抗あったりするんでお気持ちはわかります。
でも、虫とりでも始めてみると切欠になってどんどん転がっていったりとか。
昔よりも情報が入手しやすくなったので効率よく遊べるし、その分、最近の若い人達が羨ましいなぁと思うことも多いですね。
偶然ですが、じつは先日私も、行きつけの物産館で大きなヤドカリを購入いたしました。
大きさは10cmほどで上記と同じくらいのサイズだと思います。
しかし、色合いがもっと、こう、南方系と申しましょうか・・・紫系のギラギラした模様が尻尾にあり、色合い的に少し心配でしたが面白かったので、結局、友人たちの酒の肴にと、オリーブオイルで素揚げにして頂く事となりました。
若干、口の中で痺れを感じ、多少の危険も感じましたが酒の勢いもあり、結局完食。
で、結果、僕以外全員が口内から胃までの痺れと激しい下痢に襲われたらしくノックアウト。
翌日、友人と、残ったヤドカリを分解しながら痺れの原因部分を探して見ると、おそらくですが、かに味噌?もしくはウ○コの部分。であろうという結論に至りました。
小さいヤドカリは、たまに“ビナ”とともに茹でてしまったものを食すことはありましたが、このようなことは初めてでした。
で、
ここで、せつな様に質問です!(極めて不躾な質問で申し訳ございません。)
・・・毒?なのかなぁ・・・?
な に か ご 存 知 あ り ま せ ん で し ょ う か?
調べても事例が見当たりませんでして・・・・
まずヤシガニ以外で食用に生鮮ヤドカリを見かけたことがないのでなんとも。
そのヤシガニでもソテツの実を食べてたものに当たれば中毒するのが有名ですし、やっぱり何か食べてたんじゃないでしょうかね。
こゆの、最高です。
失敗はつきものです