先日、キノコを探してふらふらしている時にわりと有名な虫に出くわした。
アケビコノハの幼虫だ。
まったくもって何なのこのフォルムw
畑の鳥避けに目玉風船が流行った時期もあったが、大きな目玉ってのは何故か危険を感じさせるものらしい。
でも本当に目玉な訳ではなく、こいつの場合は顔を隠すように頭を巻き込んで隠している。
構造がわかってしまうとシャイな感じでとても可愛い。
しかも、実はとても手触りがいい。
シルクの眼鏡拭きのようなしっとりとした肌触り。
そして手にとっても微動だにしない。
尻の上げ方がだんだん江頭2:50に見えてきた。アケビコノハっていうと成虫はこれ。
結構見かける蛾だし、アケビもそれこそ山に限らず市街や河川敷などいたるところにあるんだけど、何故か幼虫はあまり見かけない。
実のなる時期か新芽の時期しか見ようとしないからかな。
蛾の成虫って交尾してるのをよく見るし、アケビコノハも例外ではないんだけど、まさかの幼虫でもイチャコラしてやがるではないか。(濡れ衣
ドロンパともムーミンともゲルニカともつかない見た目しおってからに。
リア充爆発しろということで、少し持ち帰ってみることに。
エサ用のアケビもある程度持ち帰り、もぐもぐを眺めながら数日が経過。
あ、終齢幼虫が部屋作ってる!
しかしエサが不足していて他の幼虫に部屋の上部を食われてプライバシーがなくなってしまった。
それでもなんとか蛹になり、エサも追加したからなんとかなるかと思ったら糞を投下されて蛹部屋に積もりはじめてしまった。
あちゃー
とりあえず避難させて掃除するか
ぷちっ
あぁぁぁぁぁぁっ!!!!!
尻の先が糸でくっついていたらしいが、まさかこんなに柔らかくて簡単にちぎれてしまうとは思わなかった。
まだこのままピクピク動いていて痛々しい。
せっかくだから食べよう。
火にかけて茹でると中身が流出してしまいそうだったので、温めた器に熱湯を注いで投入。
やっぱりちょっと体液が流れ出てますね。
2分放置。
テレレッテレー!
ゆーでーさーなーぎー
うん。
入口の蛋白質が熱湯で固まって蓋になってくれましたね。
早速食べてみましょう。
うん!?
濃いっ!
節分の豆のような炒った大豆の香ばしい香りと、その大豆を2倍くらいに凝縮したような濃い豆の旨味。
この芯にある透明な部分が脂なのか、ほんのり香るアケビの青い香りとアケビの芽のおひたしのようなほろ苦さを含んでいるが、警戒したほど濃縮された感じではなく大人ならば美味しく食べられるバランスに収まっている。
殻はとても薄く、茹でただけでも問題なく食べられるが炒るなどすれば更に食べ易くなるのではないか。
正直、かなり美味しい部類に入る。
食草からして全く予想していなかった。
でもまだ幼虫いるんだよね。
終齢幼虫は1匹だけだったのだが、同じ頃に脱皮してこいつも終齢に。
そしてモグモグとアケビの葉を食べ続けて更に数日後
あ、このアワアワうんこってもしかして・・・
やっぱり糞を出しきったところだったんだな。
何気に最後のうんこシーン初めて見たわ。
蛹の味を知ってしまうと、前蛹の味も気になってくるね。
幼虫は吐き出せる糸があるうちは絹糸腺が体内にあって硬くて食感が悪いという知見があるのでしばし待つ。
部屋が出来上がったのか、おとなしくなったところで部屋を開けます。
縮み方が違います。
もうちょっとで蛹になるんでしょうね。
茹でました。
ゆーでー
大きさのわりに腹脚が大きく目立ちますが、食感の邪魔にならないでしょうか。
頭からいってみましょう。
うーん
頭は大きいわりにペキペキいう感じでちょっと口に残り、あまりよろしくないな。
しかし揚げたら爆発して中身なくなるのは目に見えてるし、これは仕方ないか。
しかし味濃っ!
蛹の時のような大豆っぽさは非常に弱く、どちらかというとナッツっぽさのほうが強く主張する。
そして中心液体のアケビの芽っぽいエグ味が蛹よりも強い。強いといってもそれだけ舐めるとちょっと痺れるくらいで、アケビの芽より弱い程度。
前蛹なので変態前のタンパクがギッシリ詰まっていて糞もなく、それ自体の旨味が強いので普通に全体を咀嚼すればなかなかに良いバランスの味だ。
懸念した皮や腹脚も薄くて弱く、食べていて気にさわるほどのものではない。
食草に由来する味になる傾向があるとはいえ、まさかアケビの実の味にはならないだろう。
どちらかというとアケビの種の味になったら嫌だな・・・などと思っていたのだが、全く杞憂だった。
この見た目だけからこの味は全く想像できなかったが、やはり見た目で決め付けはよくないな。
これならまた食べてもいいなぁと思うが、糞ぎっしりの通常の幼虫はエグ味の塊な粉砕アケビ味だと思われるのでオススメはしない。
今更ですが、漫画の集中線のような素敵な器ですね。(ゆでさなぎの写真)
ええなナッツ味は概ね共通か
でもアケビの芽をくうたことがないから一般の野菜とかで例えて
あとは固さ(歯触りと舌触り)も興味ある
アケビの芽が一般野菜で代用できる味なら山菜としての立ち位置は完全になくなるんやで。
舌触りは茹で時間にもよると思うけど、今回のは柔らかくあれど滑らかというほどではないです。
どうしても茹でてタンパクが固まってしまうからで、茹ですぎれば売ってるカイコのようにスカスカに傾いていくと思います。
皮の食感は、サナギは「軽くパリッ」前蛹は「ムパスッ」
ちぎれた蛹を見て、友達に貸したまま返ってこない図鑑(?)を思い出しました。
その中に蛾の蛹を切断する実験があったのですが、切断面を蝋みたいな物で塞ぐと、
頭の方はそのまま羽化して成虫になる(!?)という驚愕の内容でした。
また、切り離した前後の蛹を透明なアクリル管のようなもので繋ぐと、
パイプの中の空洞部分に神経節のような物が延びてきて前後を接続、
そして1匹の蛾として成虫になる(!!?)という写真もありました。
食とは関係ありませんが、あれは本当にびっくりした(^^;)。
検索したら本のタイトル出てきました。
『ライフ/ネーチュアライブラリー 昆虫』という本でした。
「ウィリアムズ博士のサナギ実験」でぐぐると画像も出てきますね。
これ案外有名だったのか(^^;)。
ありましたねー
繋がるやつはあまり記憶に残ってませんが、それとイモリの細胞接着の実験はフシギダナーと記憶に残った覚えが。
「死への羽ばたき」でしたっけ
なかなか衝撃的ですよねー
さなぎのほうが美味いですか?
どちらも問題ないのであとは好みの問題だと思いますが、個人的にはサナギのほうがバランス良いかと思います。
透明な液体の苦味もサナギのほうが明らかに弱かったですが、今回のはちぎれたのを茹でた際に流出した可能性もあるので断言はできないかなぁ。