ざざむし。

ベニテングタケの塩漬けは意味あるのか

ザ・毒キノコ的に誰でも知ってるベニテングタケ。
マリオのキノコの原型もこれなんじゃないかという配色。
ベニテングタケ1有名なわりにその毒性は上位群から少し落ちたところにいる。
かといって毒性が弱いということではない。
他の上位陣がバケモノなだけだ。

その毒成分はイボテン酸・ムッシモール・ムスカリンなどで、テングタケ属の学名Amanitaにある通りアマニチンも含んでいる。

テングタケやベニテングタケが物凄く美味いという話は、このイボテン酸がグルタミン酸の10倍の旨味を呈することに由来する。
あまりの旨味成分の強さにハエも寄るが、それを食べたハエが死ぬということでハエ取りに世界中で使われた毒キノコ。

イボテン酸は乾燥することでムッシモールに変化し、毒性が上がる。
神経伝達物質の放出頻度を落とすように作用するので脳の活動が鈍ることで幻覚も現れる場合があるのだと思われる。
食用にするならば乾燥保存は絶対ダメってことは言える。

ムスカリン自体は致死率も高い猛毒だけれど、ベニテングタケには微量なので食後短時間で現れる症状の原因と思っていいかもしれない。

α-アマニチンは熱に対して安定で遅効性、症状が出た際には気休め程度の対処療法しかなく、あとは排出されきるまで耐えるしかない。
取り込まれたα-アマニチンは蛋白質の合成に必要なmRNAの合成反応を阻害し細胞組織を壊死させる。
症状は数時間~24時間で現れ、その時には既に多くが吸収された後で解毒剤も無い。
遅効性なだけに最も厄介なのがこの毒なんじゃなかろうか。
一定量を超えてしまうと多臓器不全に至り、10日前後で5割は死亡、生還しても後遺症が残るそうだ。
α-アマニチンの致死量は0.1mg/kg
私の場合は7mgで死んでお釣りがくる訳です。
(ちなみにアマニチンが発見されたタマゴテングタケの場合、最初の写真くらいの幼菌1本で致死量のアマニチンを含むし、ドクツルタケなら2~3人は死ねるんだとか)

この致死量が基準なんでしょうが、ネットに溢れている情報ではベニテングなら2本までは大丈夫という。
実際に食べた例も多く残っていて信憑性あるものは多いのですが、忘れてはいけないのは前述の通り、この「大丈夫」は決して「何も起こらない」というものではない。
必ず体内では細胞が戦っていることを忘れてはいけない。
また、キノコの個体差・地域差による毒性の差も十分にありうるので安易に試すべきものではないと思う。
1日に何本も食べて良いのはマリオだけ。

しかしこのキノコ、実は一昔前まで合法ドラッグであったマジックマッシュルームの一つとして販売されていた。
乾燥2本で3000円くらいだったかな。
先にも書いた通り、乾燥することでムッシモールが増加するので幻覚作用を上げたものと想像できる。
18年くらい前に近所にも売っていることに気付いたのだが、試しに買ってみる前に禁止の流れで店が消滅。
20年くらい前はまだコンビニで売っている雑誌にも使い方が載っていたような時代。
そのレポ見るだけで、これアカンやつやろと。
トリップした後、気付いたら部屋の中がゲロまみれとかも書いてあったね。
しかしその後遺症などに関する記載は見たことがなかったんですよね。
「売ってるから大丈夫」という安易な考えが通用しない、悪い例だったなぁと今では思います。

内臓がズタボロになるのも省みず、着地の衝撃や敵の攻撃を幻覚で誤魔化しながらピーチ姫を救いに行くマリオがだんだん美談に見えてきました。
ベニテングタケ2で、そのものの味を試したいなら生鮮物以外にないのですが、今回は塩漬け。
開いたものと幼菌を塩漬けしてあったものです。
開いたほうは柄の虫食いが酷すぎたので傘だけですが、試したい内容には差し支えないので良しとします。
蓋を開けただけで猛烈なキノコ臭がしますね。
辛すぎてわからないけど、多分、この黄色い汁が旨味なんじゃないかなぁ。

昔から長野県の一部などではベニテングタケも塩漬けで保存して食べていたという話は有名。
「1年以上塩漬けして毒を抜いて食べる」
などとよく聞きますが、詳細も不明なら理屈も不明。
キノコを飽和状態の塩に漬けてるだけで乳酸発酵とかするでもなし、身上であるはずの旨味も塩抜きで抜けてしまうのではないか?
やる意味あるのか?というのが知りたかったところ。
正直、1年も塩漬けする理由がイマイチしっくりこないので、今回は塩漬け期間1ヶ月です。
アマニチンは熱で分解できなくても水溶性らしいから多分抜けるでしょう。
ベニテングタケ3塩を洗い流した状態です。
だいぶ脱色していますが、幼菌にはまだテンクタケらしいブツブツが見られますね。
卵の殻部分は溶けてなくなってしまいました。
水を代えながら塩抜きを繰り返します。
ベニテングタケ4途中で幼菌を割って舐めてみて、まだ辛かったので裂いて繰り返し塩抜き。
これで水代え4回目ですが、まだ水がオレンジになってきます。
これじゃ旨味も抜けまくりな気がしてきます。ベニテングタケ5 塩分は少し残っているだろうから、バターと胡椒だけでサッと炒めてみる。
塩抜き前に感じたような猛烈なキノコ臭はもう殆ど感じられない。
部位ごとに食べ比べてみる。

開いた傘
うん。
まぁ・・・キノコだよね。
多少の歯応えはあれどチャキチャキするでもなく、タマゴタケの傘と変わらないくらい。
旨味はやはり抜けてて薄い。

幼菌の傘
適度なボリボリッという歯応えが残っており、キノコ臭に落花生の皮を混ぜたような土臭さが少し感じられる。
さほど強くないんだけど、舌のどこに訴えてるのかわからない重い旨味が感じられる。

幼菌の柄
歯応えザクザク。
特に根元の玉付近はジャクジャク。
一般の人にわかり易く例えると、ゴボウの繊維密度を薄くして超水っぽくしたらこんな感じか。
食べ応えは感じるが、べつに取り立てて言うほどのことはない。
旨味もあるにはあるが全く傘に及ばない。

考察
やっぱり塩漬けは塩抜き工程でかなりの旨味が流出している。
僅か1ヶ月でこれだから、1年でも同じだろう。
しかしベニテングタケの場合は旨味=毒成分でもあるので、ある程度毒が抜けている基準にはなるのかもしれない。
美味さは間違いなく生鮮に比べるべくもないが、たくさん採れた時でも絶対に一度に食べてはいけないキノコだから塩漬けで保存するというのは仕方なく生まれた保存方法なのだと思う。
ただ、塩漬けにしたら上限どのくらいまで大丈夫なのかというのが全く不明。
正直、味は少量食べるだけで満足できるものではなくなっているので、ある程度の量がまとめて食べられるまでの安全性があるのならば、保存食としてもアリだろうなと思う。
同じ塩漬けにするなら他のキノコで十分なんじゃないかと思うので、やはりあくまでも食料が少なかった時代に生まれた知恵なんだろうね。

何の症状も現れなかったけど、美味くもなくなってるから真似する必要も感じないですよ?

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Comments & Trackbacks

  • コメント ( 4 )
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  1. よだれきのこのレポ待ってます。

    • いやもう今更あれ特定できないし。
      あったとしても大量に食べて初めて発症して壁超えたのがムスカリンだったら終わりなんやで

  2. 何の責任も持てない話ですが、以前キノコ通なヒトに「生をスライスして舌に乗っけてしばらくして吐き出すんよ」と教わりました。確かに旨味は強いけど、醤油とか塩気がないとイマイチ満足感が無いなという感想です。

    • キノコに限らずだけど、生でぐしゃぐしゃ噛んで味確認するのはよくやりますしね。
      でも旨味感じてもあれで満足はできませんよね。
      フグも同じく。

コメントしたければしてもいいのよ?

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